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有機ELテレビ LGは白色OLED、SamsungはRGB方式で

CESにてSamsungとLGが55型の有機ELテレビを公開しています。
2012年中に発売予定。
 → LG、世界最大の55インチ 有機EL テレビを公開。厚さ5mm
 → サムスンも55インチ 有機ELテレビを公開、2012年後半に発売
 → LG 、55型 有機ELディスプレイ、酸化物半導体TFTで実現

2社とも同じように見えますが、中身が結構違います。
LGは白色有機EL(OLED)、SamsungはRGB方式。

LG方式は従来より液晶で使われているようなカラーフィルターを通して色を出しています。有機EL自体は白一色を発光。そのため技術的なハードルは低く(ベタで成膜できる)、寿命面でも有利です。代わりに有機ELの利点の1つであった高い色再現性を半ば捨てることになります。

一方、Samsungは有機ELの発色の良さを最大限活かせるRGB方式。ただこちらは製造が難しく歩留まりが悪い問題(色ごとに塗り分け必要、高コスト)、そして寿命の問題もあります。
 → Samsung「(歩留まり向上など)課題を克服できた」

発色方式の違い
出典: TDK

経年劣化は大きな問題です。LG方式では白一色で揃って劣化するため大きな問題になりませんが、SamsungのRGB方式だと色の材料ごとに劣化速度が異なるため、何も対策をしなければ数年後にはカラーバランスは総崩れです。

2007年発売のソニー有機ELテレビでもこの問題は指摘されています。

XEL-1のパネル寿命は30000時間、すなわち毎日8時間使用しても輝度が半減するのは10年後であるとされてきました。一方DisplaySearchの実測では、1000時間後に青の輝度が12%、赤が7%、緑が8%低下しており、一般的な動画の表示で寿命を迎えるのはおよそ1万7000時間後(公称の約56%)であると予測されています。
 → ソニーの有機ELテレビXEL-1、寿命は公称の約半分という予測 -- Engadget Japanese


数万時間の寿命を謳う有機ELもありますが、そもそも「寿命」の定義が各社バラバラなため、あまり比較にならなかったりします。

人間の目で認識できる明暗の違いは、輝度にして5%程度という。出光は使用開始から輝度が5%落ちるまでの時間「95%寿命」を測定。深い青色を発光する蛍光青材料で2000時間まで延ばした。
 → 違和感ない明るさ2000時間、出光、有機EL「高輝度」寿命4倍


業界の雄、出光でも95%寿命だと2000時間というのが現状です。少々色が崩れてもいいのであれば「数万時間」を達成できるかもしれませんが、厳密な色を維持しようとするとなんらかの対策が必要になってきます。

同様の問題は有機EL搭載スマホやPS Vitaなども抱えていまが、スマホやゲーム機よりも製品寿命が長く、色にうるさいテレビでSamsungどのように折り合いをつけたのかは気になる所です。

関連
 → 【CES】Samsung、55型の有機EL TVを発表 -AV Watch
 → 【CES】LG、55型で薄さ4mmの有機ELテレビを公開 -AV Watch

追記
 → 【麻倉怜士CES報告6】なぜLG Displayは「白色有機EL+カラー・フィルタ」方式を選んだのか - FPD - Tech-On!