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MacBook Pro with Retina シャープのIGZO液晶なのか?
厚さ 2cmを切る薄型 MacBook Pro with Retina 登場。解像度は 2880 x 1800。昨年12月のDIGITIMEリークは見事的中でしたね。
→ 投稿 MacBook Pro のRetina化計画 - 蹴茶掲示板
また、解像度と同じぐらい目に付くのが IPS の採用。
→ アップル - ノートパソコン - MacBook Pro Retinaディスプレイモデル - 技術仕様
これまでの MacBookは「液晶は普通。悪くもないが特別綺麗でもない」でしたが、IPSの採用で一段高いところへ上がった感があります。製品ページも “広視野角” を前面アピール。
出典: アップル http://www.apple.com/jp/macbook-pro/
さらにグレードアップさせるなら “色域”。次点で “応答速度” ぐらいですね。
ディスプレイ解説
さて、これは噂のシャープ IGZO液晶なのでしょうか。
通常、解像度を上げると光透過率が落ちるので、輝度維持のためバックライトを強化します。すると芋づる式に 消費電力UP、発熱UP、バッテリー容量UP、厚みもUP、コストもUPと非常に面倒くさい展開になります。
IGZO液晶の利点は単純に透過率が高められるだけでなく、性質的に省電力に向いているため、高解像度化によるデメリットを緩和できる点にあります。高解像度志向のAppleにうってつけのパネルです。
公式にはAppleもシャープも何も言いませんので、採用の有無は推察するしかありません。
試しに採用・非採用、両方で考えてみます。
■ IGZO採用されず説
・ 発表会では「IGZO」に一度も触れなかった
・ 「IPS」方式はシャープは通常使わない方式(シャープは「VA」が得手)
・ Retinaだけバッテリー容量が大きい
Retina | 非Retina | |
サイズ | 15.4インチ | |
解像度 | 2880x1800 | 1440x900 |
表示方式 | IPS | 不明 (TN?) |
バッテリー | 95Wh | 77.5Wh |
駆動時間 | 最大7時間 | 最大7時間 |
光学ドライブ | - | SuperDrive |
質量 | 2.02kg | 2.56kg |
MBP Retina だけバッテリー容量が大きく、iPad3同様、シャープの売り込んでいる IGZOではなく非IGZO+バッテリー強化で実現された可能性は十分考えられます。
■ IGZO採用された説
・ シャープがIPSパネルを作らないわけではない
シャープは自社製品ではVA推しですが、“新しい” iPadにIPSパネルのサプライヤーとして参加していると報じられています。
→ 蹴茶: iPad用液晶、7月から生産開始 [2012.5.23]
@rokuzouhonda 立ち上げが遅れたようですが、採用になったと聞いています。効率が良すぎて、わざわざ抵抗を取り付けて消費させて他社と稼働時間を揃えてるとか。
― シエロ洋介さん (@e_yoosuke) 3月 24, 2012
となれば、Apple専用の「IPS」の製造ライン、そしてノウハウもあると考えることは可能です。サイズを拡張してMBP用 IGZO-TFT IPS パネルを作ることも無理な話ではなさげです。
・ 高解像度の分、GPUが余計に電力を喰う
バッテリー容量が大きい理由ですが、周知の通り、消費電力は液晶だけでは決まりません。
特に今回、画素数は非Retinaの実に 4倍。GPU大忙しです。
液晶自体の消費電力を抑えても、GPU負荷が常時高い=電力消費大という説明は付きます。
・ 説明会でIGZOに触れなかった理由
なんでしょうねぇ。これが一番理由付けしにくいかもしれません。
IGZOの製造がトラブった時に、代替えプランを使えるよう敢えて「IGZO」に言及しなかったという言い訳はできます。供給が万全ならPRに使わない手は無いと思うのですが。
これはIGZO液晶のサプライヤーがシャープ1社だけなのか、SamsungやLGも供給可能なのかという話にも繋がってきます。
→ 「(IGZOを)最初に問い合わせてきたのは日本企業でなくサムスン電子とLG電子だった」(細野教授)
(ちなみに、最初にIGZOのライセンスを受けたのもSamsungです)
・ MacBook Airに採用されなかった
MBAに採用されなったことも興味深いところです。
コスト、GPUの問題はありますが、MBAに採用するのも魅力的です。
もし、IGZOのマルチベンダー方式が難しく、シャープ1社供給の場合、リスクを最小限にするため、MBP Retinaという独立したモデルだけで先行採用したと考えることはできます。
以上、採用・不採用、双方の理由を考えてみました。皆さんはどう思われたでしょうか。
今後も公式にサプライヤーが明らかになることはないでしょうが、分解レポやリーク情報で徐々に情報が集まってくるのではないでしょうか。ちょっと楽しみです。
関連
→ 高性能の薄膜トランジスターに関する特許のライセンス契約をサムスン電子と締結
→ 高性能の薄膜トランジスタに関する特許のライセンス契約を日本のメーカーと締結
→ シャープ、IGZO-TFT液晶パネル関連のライセンスをJSTから取得 - Tech-On!
→ 株式会社ステラ・コーポレーション