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Intel、ASMLに総額33億ユーロを投資 ニコン株価大幅↓

IntelがオランダのASML社に出資。

今回の目的は、これらの技術を採用した露光装置の導入スケジュールを最大で2年、前倒しすることにあり、今回の支援により半導体メーカーは大幅なコスト削減と生産性向上を図ることができます。
 → 4Gamer.net ― Intel,蘭AMSLの450mmウェハ露光とEUV露光の技術開発促進を支援


市場ではニコンの露光装置事業は大ダメージ…と受け止められているようです。
 → ニコン株が大幅下落、インテルが競合の蘭ASMLに出資で-東京市場 - Bloomberg

かつて、半導体露光装置の世界2強といえば、オランダのASML社と日本のニコン。
ニコンはIntelから出資を受け、毎年のように優秀サプライヤに選ばれるなど蜜月関係にあったと言っても過言ではないのですが。

ニコンにとっては,Intel向けの量産用ArF液浸露光装置を,ASMLと分け合うのは痛い状況といえよう。32nmや45nmのプロセス向けでは,量産用の露光装置をニコンがほぼ独占していたからである。

さらに,2015年以降に量産が開始されると見られる16nmのプロセス向けでは,IntelはEUV(extreme ultra violet)露光装置を採用する可能性がある。EUV露光では,ASMLとニコンの取り組み姿勢に,大きな差が生じている
 → Intelを巡るニコンとASMLの攻防 - 半導体製造 - Tech-On!


事情が変わったのは次世代のEUV露光装置の開発。ここでニコンが躓きます。
ASMLも手を焼いたと思われますが、ニコンに較べれば着実に開発を進めています。
 → [ニコン] 2009年、Intel納入予定のEUV露光装置のアルファ機の開発状況を紹介

 → [ASML] 2006年、業界に先駆けα機を納入
 → [ASML] 2009年、量産用装置の製造を開始
 → [ASML] 2010年、Fab 12に導入
 → [ASML] 2010年、EUV露光装置 6台受注と発表(ニコンは16nmへ先送り)
 → [ASML] 2011年、IMECが「NXE:3100」を導入、量産技術の課題克服へ

ASML露光装置モデル
 NXE:3100 27nm対応
 NXE:3300B 22nm対応
 NXE:3300C 16nm対応

ASML 露光装置ロードマップ
出典: Taiwan, Technology and Beyond Conference Bank of America Merrill Lynch (March 15, 2011)

結果、大手半導体メーカーが雪崩を打ってASMLに流れています。
 → TSMC、ASMLへ出資か、世界3社連携も
 → 東芝、ASML共同投資プログラムに「参加を前向きに検討したい」
 → Samsung、ASMLと出資交渉

露光装置は他と違って中台韓の存在感が薄く、うまく開発すれば高コストの日本メーカーでも大きな利益を得られる分野です。ニコンには “2強” で踏みとどまって欲しいものですが。


※ 追記
Intel、ニコンにもテコ入れか?(社名の明言は無し)
 → ニコン、米インテルと次世代半導体露光装置を共同開発 | Reuters



関連
 → 蹴茶: 2009年のリソグラフィ装置市場 ASML 51%、ニコン 43% [5.1]

 → ASML社の強さの秘訣 - セミコンポータル 露光装置シェアのグラフあり
 → Intelを巡るニコンとASMLの攻防| nikkei BPnet
 → EUV露光装置開発はASMLとニコンで大きな差
 → みずほ情報総研、EUV露光装置の動向調査