09
08

テクスチャ圧縮技術をサポートした新生代 Mali-T600

「S3TC」

と聞いてピンと来るのは古参ゲーマー or ゲーム製作に属している方だと思いますが、初登場は20世紀に遡ります。1997年とか1998年頃から名前が出始めますが、製品デビューは「Savage 3D」というビデオカードになります。

Savage 3Dに搭載されたテクスチャ圧縮技法の「S3TC」は、マイクロソフトがDirectXでの標準テクスチャ圧縮技法のひとつとして採用するなど、追い風もあった。
 → ASCII.jp:覚えてますか? Windows初期に一世を風靡したS3を


登場してから10年以上経つS3TCですが、3D描画には必須の技術となり、その後も系譜を重ね、最近ではHTCの対Apple訴訟ウェポンとして登場したりもしています。

S3 Graphicsは、テクスチャー圧縮方式「S3TC(S3 Texture Compression)」として知られる技術に関する特許を保有しており、米Microsoft、ソニー、任天堂などにライセンス供与している。これらの特許を巡っては2011年7月1日に米国際貿易委員会(ITC)が、米Appleによる2件の特許侵害あったとする仮決定を下している
 → ニュース - スマートフォンメーカーのHTC、S3 GraphicsをVIAから3億ドルで買収 - ITpro


上で書かれているようにコンシューマーゲーム機にも採用されています。
おかげでWikipediaで酷い書かれ様ですが(笑)

S3社はもはやグラフィックスアクセラレータ市場において、リーディングカンパニーではないが、例えばコンソール用に使われているDXTC技術のライセンス料でいまだ生き長らえている
 → DXTC - Wikipedia


そして、このS3TCに類する技術がARM陣営にやってきたというのが本題。

また,第2世代Mali-T600シリーズにおける重要な革新ということになりそうなのが,新しいテクスチャ圧縮技術「ASTC」(Adaptive Scalable Texture Compression)のサポートだ。これはARMが開発し,(米国時間8月6日発表の)「OpenGL 4.3」や「OpenGL ES 3.0」での採用が発表されたもので,ロイヤリティフリーなのが大きな特徴である。
 → 4Gamer.net ― ARM,最大8コアの第2世代「Mali-T600」GPU IPを発表。新世代テクスチャ圧縮技術「ASTC」に対応


これまで圧縮技術が無かったわけではなく、ETCという共通フォーマットの他、Tegra、Snapdragon、PowerVRなどGPU毎にそれぞれ独自の圧縮技術が存在しています。

今後はARM自身のプッシュによってASTCが業界標準へと育っていくかもしれません。
(ETCはエリクソン作。ASTCはARMとNVIDIAによる協業)

 ARM Mali-T624/Mali-T628 スマホ、テレビ向け
 ARM Mali-T678 タブレット向け

Mali T600 選択

OpenGL 4.3 リリース関連
 → OpenGLに新たな規格、「OpenGL 4.3」と「OpenGL ES 3.0」が公開 | マイナビ
 → OpenGLの新規格がリリース, モバイル用はセンサーとグラフィクスの連動を重視

テクスチャ圧縮関連
 → Savage3Dの後継「Savage 4」 S3TCサポート - AKIBA PC Hotline
 → テクスチャ圧縮(PVRTC)のクオリティを徹底比較してみた - 強火で進め
 → 「OpenGL ES 2.0 では使用可能な圧縮テクスチャ形式が GPU 毎に異なっています。」
 → AnandTech - Khronos Announces OpenGL ES 3.0, OpenGL 4.3, ASTC Texture Compression, & CLU

 → Mali-T624 - ARM
 → Mali-T628 - ARM
 → Mali-T678 - ARM

追記:oga氏ブログ、「ホイール欲しい ハンドル欲しい」より
 → OpenGL 4.3/GLES 3.0 次の圧縮テクスチャ ASTC
 → OpenGL 4.3/ES 3.0 ETC2 Texture 圧縮の仕組み (PVRTC2,ASTC)