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Apple vs Samsung 訴訟 陪審員の動き、そして海外の反応

※ 8月28日 改訂 ちょくちょく更新するかもしれません。

Samsun x Apple 訴訟。
判決は陪審員によってもたらされましたが、その内幕が記事になっています。
 → アップルVS.サムスン、陪審員室の中で起こっていたこと - WSJ日本版
 → 「Samsungを軽い罰で許したくなかった」陪審員長インタビュー - ITmedia


と、その前に、訴訟対象となったパテントの中身については以下ブログが詳しいです。
 → これがアップル対サムスン裁判で問題になった特許・意匠です - 栗原潔のIT弁理士日記

パテント侵害が認められた機種。Galaxy S IIIのような最新機種は入ってません。from cnet
Apple パテント 侵害認定表

不思議なのは同じ Galaxy S II でもバージョン毎に侵害の判定が異なります。
また tap to zoomのような基本的な動作が Nexus S 4G で侵害認定されていません。

訴訟対象がAndroid(Google)ではなくSamsungなので、Samsungが手がけた部分しか見てないから?と思ったりしますが仔細は不明です。ただ今回の判決でGoogleも訴訟リスクに晒されるのは必至。クロスライセンス契約を模索することになるのでは。


■ 陪審団の構成、審議の様子

 ○ 陪審団はサイクリング愛好家、技術者、ソーシャルワーカーなど男性7人・女性2人

  具体的な職種として挙がっているのは
   ・ 回路基板製作のマーケティング
   ・ 動画圧縮技術の専門家
   ・ AT&Tの製品マネジャー
   ・ 自転車屋
   ・ 新興IT(情報技術)企業の給与担当マネージャー
  記事にもありますが、ITに関わっている方が多いですね

  
 ○ 陪審員長は動画圧縮技術の専門家であるベルビン・ホーガン氏
 ○ 画面の端までいくとポヨンと戻ってくる「バウンスバック」で意見が分かれた
 ○ それ以外ではかなり早く「Samsungが侵害している」との評決に至った
 ○ 決め手はiPhone登場前後でSamsungの製品デザインが変わったとするスライド

こういうスライドでしょうか? from AllThingsD
Apple、Samsung 製品デザインスライド

アイコン、ホーム画面の比較 from The Verge
Apple、Samsung ホーム画面の比較


 ○ AppleがSamsungの特許を侵害しているという訴えはあっさり棄却
  
  「Intelが製造しているのだから」のくだりで頭が「?」になると思いますが、
  おそらくは「Intelの子会社であるInfineonが製造した」が正しい。
   → サムスン、アップルとの訴訟で無線技術特許をターゲットに - CNET Japan
   → インテル、インフィニオンの無線事業を買収



■ 10億5100万ドルで終わるとは限らない

今回の損害額=Samsungが支払う賠償金とは限らず、模倣の悪質さ度合いによって、懲罰的損害賠償金としてさらに2倍、3倍と金額が増える可能性があります。
 → サムスン敗訴はAndroidの終わりの始まりなのか | 栗原潔のIT弁理士日記
 → 損害賠償額が3倍に膨らむ可能性

仮に3倍になったとすれば、日本円換算で約 2500億円となります。
ただSamsungの手持ちの資金は豊富ですし、今年だけで180億ドルの黒字見込みなので賠償金自体は大きな問題にはなりません。問題はブランドイメージと今後どのようにライセンス契約を結ぶ or 特許を回避するかでしょうね。


■ 海外ではAppleバッシングが主流?

日本では反韓ムードもあって「Samsungザマミロ」的な反応が多いですが、海外では少し風向きが違います。

アップルとサムスンの訴訟の件でいくつかのサイトや動画サイトのコメント欄を見てたんですが、なぜかアップルが相当叩かれてました。
 → 海外反応! I LOVE JAPAN  : サムスンに825億円の賠償命令。 しかし海外では叩かれるアップル。 海外の反応。


Engadgetのコメント欄を見ても判決に失望している人が少なくありません。

Samsungのブランドイメージが高いのかもしれませんし、訴訟の中身がピンチやタップズームなど、現在では極めて “当たり前” のUI操作での侵害を認めているためかもしれません。「人類の敗北だ」とコメントしている人もいます。


■ 次は販売差し止め

次なる動きは販売の差し止めです。
 → アップルとサムスン、9月20日の審問で販売差し止めの争いへ - CNET Japan

Samsungが上告することで差し止めを保留することができますが、

サムスン電子は異議を申し立て、認められない場合は控訴する方針を明らかにした。ただ、1審の評決が覆る可能性は低く、場合によってはサムスン電子への賠償金が増額されることもある。
 → 聯合ニュース


逆転勝訴する可能性は非常に低いと言われています。
そして負けるとさらに賠償金がアップ。引くも進むもイバラの道です。


■ 最終的にはライセンス契約?

最終的にはライセンス契約しかないわけですが、実はこの裁判がきっかけで、ポロリとMicrosoftがAppleとクロスライセンスを結んでいる事実が判明しています。
 → 今度はAppleとMSのUIクロス特許協定の存在が判明 - Apple対Samsung裁判

これがまたSamsungにとっては苦汁の如き契約でして、

 「両社が互いにその領分を侵さない」

という条件付き。

仮に同じ条件で契約できたとしても、Microsoftが Modern UI(旧Metro UI)をデザインしたように、見た目からして全く別個のUIをイチから構築しなければならないということにもなりかねません。そうなるとかなりキツイ。

Samsung独自OS「Bada」も危ない? アイコンの形状が違えばいけるのでしょうか。
Bada
出典: bada Wave - Samsung's Smartphone Platform

世界中の携帯キャリアを巻き込む激震です。

すぐ回避した製品を作れるという意見もありますが、どうでしょうねぇ。
 → 焦点:サムスン電子、アップル全面勝利の米評決の影響は限定的 - Reuters


関連
 → サムスン・アップル特許訴訟 韓米で見解分かれる - 中央日報
 → アップル対サムスン特許裁判、泥沼のやり取りに判事が嫌気 - Computerworld
 → サムスン、証拠採用を却下された書類をメディアにリーク、判事立腹 - WirelessWire
 → 「読ませる」訴状で陪審員の共感を - ITPro
 → 「バウンススクロール特許」がAndroidを脅かす - ITPro


判決の詳細
 → 速報:SamsungがAppleの特許とデザイン多数を侵害したと陪審員が評決
 → Apple Samsung patent trial verdict: Samsung loses big, $1B in damages
 → ギャラクシー・タブの販売差し止め、米訴訟評決受け再考も - Reuters
 → タブレット端末のデザインに関する特許についての侵害は無いとされた。 - ITPro