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新Kindle Fireは広告付きモデルのみ、初代の逆ざや説をふり返る

しかし、新 Kindle Fire HD の価格には驚きました。
Google Playに対応しない、Amazon特化仕様とはいえ 299ドルは安い。

 HD 8.9インチ 1920×1200 299ドル~
 HD 7インチ 1280×800 199ドル~
 旧 7インチ改 1024×600 159ドル~

ちなみに今回は広告付きモデルオンリーとのこと。

「広告なしモデルは誰も買おうとしない」とベゾス氏は述べ、最新版のキンドル・ファイアには「広告なし」バージョンがないことを強調した。【WSJ日本版


日本でも回線契約で安くなることはありますが、広告で安くなるのは羨ましい。

このリーク情報はドンピシャでしたね。
 → 蹴茶: Foxconn、7型 Kindle Fire製造を2012年Q1から開始 8.9型も [11.22]


■ 初代 Kindle Fire の逆ざや説

ふり返ると、初代 Kindle Fireは「赤字ではないか?」と言われていました。

定価199ドル
 → 1台50ドル損失説 by アナリスト(製造原価 250ドル)
 → 1台10ドル損失説 by IHS iSuppli(製造原価 209.63ドル)

逆ざやで端末を販売し、コンテンツ販売で収益を上げようとするAmazon。Kindle Fireは1台ごとに100ドル以上の利益をAmazonにもたらしているようだ。【ITMedia


PS3のようなゲーム機と同じで、ハードを赤字で販売し、コンテンツで元を取るビジネスモデルでは?という見方です。

一方で「(製造原価上は)逆ざやではない」とする見解もあります。

UBM TechInsightsは、Amazonのタブレット「Kindle Fire」の分解調査を行い、その部品コスト(BOM)が約143米ドルであることを明らかにした。【EE Times




■ 決算は悪化中

決算はここしばらく悪化の一途を辿っています。
 → Amazon 4四半期連続の減益、2011年通期の営業利益 8億6200万ドル
 → Amazon 6四半期連続で減益、Q2の純利益は700万ドル

直近の第2四半期も大幅に悪化。前年同期にあった1億9100万ドルの黒字は跡形もなく消え去り、今季はわずか700万ドルの黒字のみ。次の第3四半期も赤字予想です。

アマゾンの今年4~6月期の決算は、売上高が128億3400万ドルと1年前に比べ29%増加したものの、純利益は96%減少し、わずか700万ドルだった。

 同社は6四半期連続で減益を報告しており、その要因は物流施設や技術基盤、コンテンツにかかる費用が増加して営業経費が膨らんでいること。

 同社は今期(7~9月期)営業損益が5000万~3億5000万ドルの赤字になると予測しているが、それでもベゾスCEOは「今は顧客基盤を強化する時期」と、この先も投資を続けていく姿勢を崩していない。【JBpress


ただ今季の赤字については、物流ロボット企業「Kiva Systems」の買収コスト(約7億7500万ドル)を理由に挙げています。Kindle Fireは出てきません。株主訴訟の恐れがありますので、巨額損失があれば出てきます。
 → アマゾン、倉庫オートメーション化企業のキバ・システムズを買収 - Computerworld

Net income decreased 96% to $7 million in the second quarter, or $0.01 per diluted share, compared with net income of $191 million, or $0.41 per diluted share, in second quarter 2011. The second quarter 2012 includes $65 million of estimated net loss related to the acquisition and integration of Kiva Systems, Inc.【Q2 2012 Financial Results


Kiva Systems Unit

セグメント毎の結果を見ると、北米の営業利益はかなり好調です。2011年Q4を下回っていますが、あちらはQ4に売上が爆増するのが常なのでこんなものですね。

アマゾン 2012 Q2 決算 US

海外部門の方が苦戦。内訳は書いてませんが、世界的な不況が影響したか?
それでも赤字にはなっていません。

アマゾン 2012 Q2 決算 海外

もともとAmazonはGoogleやAppleと較べて利益率が低く、簡単に赤字に転んでしまいます。投資を減らせば黒字化するのでしょうが、そこで止まらないのがAmazonのAmazonたるゆえんではあります。

普通はこれだけ投資にかまかけていたら株主から突き上げを喰らうところですが、将来性を認められているのと、なによりAppleのジョブズ氏同様に、ベゾス氏の存在が大きいですね。(Appleはジョブズ氏亡き後、配当を開始した)
 → GoogleとAmazonは配当を支払っていない

関連
 → Kindle Fire 店頭販売開始
 → アマゾン増収減益、2012年第2四半期のGDP - 若林哲史のアメリカ流通最新情報