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ソフトバンク、イーアクセスを2000億円で買収 電波でKDDI抜く

ソフトバンクがイーアクセスを買収。
iPhone 5 でイーモバイルのLTEを活用する方向で調整。

これに伴い LTEテザリング開始を前倒し、2012年12月15日から。
パケット制限も緩和し、1.2GB/月から 1GB/3日間を超えた場合に速度制限へと変更
(これはドコモ、auと共通の制限だそうです)。
 → ソフトバンク、イー・アクセスを買収 2000億円弱 :日本経済新聞

1.7GhzがLTEの世界標準バンド 30000局へ
1.7Ghz対応はおそらくは来年春ごろになる。今後アップルと詰める(孫社長)
対応周波数
出典: ソフトバンク(SoftBank), Ustream.TV

テザリングへの動きで叩かれていたソフトバンクですが、起死回生の策を打ち出してきました。



プラチナバンド買収という裏ワザ

この買収のポイントは iPhone 5 のLTEエリアの話だけでなく、孫社長が言うところの “プラチナバンド” を買い取ったことにあります。これは別の意味で問題になってきます。

イーモバの資料をベースに、各キャリアの所有周波数を整理してみると、

NTTドコモが800M/2G/1.5G/1.7GHz帯で合計140MHz幅を、
KDDIが800M/2G/1.5GHzにUQの2.5GHz帯(WiMAX)を合わせて120MHz幅を、
ソフトバンクが2G/1.5GHz帯に加えて、2.5GHz帯でA-XGP、さらに1.9GHz帯でPHSを合わせると104MHz幅を使っている現状が紹介された。
 → イー・アクセス決算、千本氏がソフトバンク孫氏に「遺憾」 - ケータイ Watch


となります。
上記に加えて、2月に 900Mhzがソフトバンクに割り当て。

 2月の900Mhz割り当て
 出典: 900MHz帯の認定について:電波改善の取り組み | ソフトバンクモバイル

6月に 700Mhzをイーアクセス、ドコモ、KDDIに割り当て
 イーアクセスの持つ700Mhz帯
 出典: 総務省|3.9世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画の認定



3大キャリアの帯域を比較すると

UQやウィルコムなどのグループ企業も含めると、3大キャリアの帯域は以下のようになります。

・ NTTドコモ 700M / 800M / 2G / 1.5G / 1.7G 計160MHz幅

・ KDDI 700M / 800M / 2G / 1.5G / 2.5G(WiMAX) 計140MHz幅

・ ソフトバンク 700M / 900M / 1.7G / 1.9G(PHS) / 2G / 2.5G(AXGP) 計154MHz幅

移行処置がまだで使えない帯域もありますが、ザックリ計算してソフトバンクの所有帯域はKDDIを上回ります。(合算契約数 3911万人 もKDDI 3589万人を抜く)

今年2月に 900Mhzを得たソフトバンクは総務省との阿吽の呼吸で、6月の700Mhz割り当てでは申請すらしなかったわけですが、結局 700Mhzを買ったことになります。即座に「俺のもの!」とはならないでしょうが、MVNOするなり、やりようはあります。
 → 20120229 “プラチナバンド”900MHz帯はソフトバンクへ
 → 20120627 700MHz帯プラチナバンドは申請3社へ

なぜ割り当てというまどろっこしい電波行政をしてきたかといえば、新規参入者を優遇し “競争” をもたらすという大義名分があったわけです。ところが大手キャリアが後発キャリアを電波ごと買収するという事態がウィルコムに続いて起きたことになります。



“競争” は何処へ行く?

個人的な感想として、孫社長の決断の早さは賞賛されていかるべきものだと思いますが、太陽光発電の固定買取制度といい孫社長に制度の隙を突かれすぎでは。

スティーブ・ ジョブズは製品の革新性で商売をしましたが、孫社長は制度の隙を突くことで商売をしているように見えます。突かれる総務省&政府が問題とも言えます。

電力行政では競争の重要性を語る孫さんですが、自らの事業ではどんどん寡占へ突き進んでいくのは皮肉な話です。 総務省もそろそろ本腰を入れてキャリアの利益をユーザーに還元させるべく、制度設計を考えないとマズイと思います。


SBに限りませんが、携帯キャリアは電波の独占という優遇策を受けた企業としては稼ぎすぎです。
もっと国民に還元していただかないと。
国内営業利益ランキング
出典: ソフトバンク 通期(2012年3月期)決算資料より


※ 2012/10/20 追記

700MHzの割り当て辞退はしない。

「他社(ドコモとKDDI)は、以前から保有する800MHz帯の15MHz幅×2に加えて、今回の700MHz帯で10MHz幅×2を得ている」と語り、ソフトバンクの900MHz帯の15MHz幅×2とイー・アクセスの700MHz帯の10MHz幅×2でちょうど釣り合っていると主張。700MHz帯を辞退する考えがないことを示した。
 → ソフトバンクによるイーアク買収の舞台裏、iPhone 5の1.7GHz対応が契機:ITpro



空気読んだ辞退などしないと孫社長。違法でもなんでもないので、その主張はもっともです。責任があるとすれば、空気読むことを前提にしたショボイ制度の方でしょう。