シャープ支援、Intelに続き Dell, Appleなども名前挙がる
シャープ再建の行方が大きな動きを見せています。ここ最近、シャープが台湾Hon Hai Precision Industry (鴻海精密工業)からの出資受け入れ交渉とは別に、米国の関係各社をまわって出資を打診している噂が出ていたが、その名前が具体的に挙がってきた形だ。
WSJによれば、まずDellがその筆頭として名前に出ており、そのほかビッグネームとしてIntelやQualcommとの交渉も行っているという。DellとIntel両社からは200億円(2億4000万ドル)の出資を見込んでおり、Qualcommはそれよりも幾分か低い金額での出資を打診しているようだ。これら資金は株式発行あるいは債権の形で受け入れることになるとみられる。
以上の会社の資金拠出交渉のほか、シャープはAppleから20億ドル規模の支援を受け取った可能性が指摘されている。
→ 経営危機のシャープ、DellやIntelに出資を打診か - WSJ報道
Apple | 液晶パネル提供 |
Dell | 液晶パネル提供 |
Intel | 株式・債権 |
Qualcomm | 株式・債権 |
AppleやDellは液晶パネルを必要としていますが、IntelやQualcommは直接的にはシャープ製パネルは要らないのでシャープの株式または債権を譲渡。
Intelまではわかりますが、なぜにQualcommが出資?
「1999年以来、当社は特定の端末・部品メーカーとは組まないことを基本方針にしてきた。上場企業への多額の出資というのも、恐らく前例にない」
経営危機のシャープが、米インテルとともに数百億円の出資を要請中とされる米クアルコム。クアルコムジャパン幹部は、「日本では状況を把握できていない」と断りつつも、こうコメントする。
→ 家電2社、苦肉の資金調達:日経ビジネスオンライン
まだリーク報道だけで確定したものではないですが、出てくる顔ぶれには驚かされます。
背景にある片山元社長の動き
この急展開の背景には、片山元社長の動きがあると一部報道は伝えています。
片山氏はシャープの技術畑出身で堺工場を推進した前社長。言ってみればシャープを苦境に陥れた経営陣の筆頭なのですが、ここにきて片山氏が米国企業を口説いて回っているようです。
(鴻海CEO 郭台銘氏の会見ドタキャンを機に、鴻海との提携交渉は実質凍結)
一方、奥田から委任を取り付けた片山は猛然と走り始める。行き先は米国だ。
■人脈生かし米企業と交渉
インテル、アップル、デル、ヒューレット・パッカード、マイクロソフト。高精細で消費電力が少ない新型液晶「IGZO」を核にした業務提携を結ぶため、社長時代の人脈を活用して精力的に交渉を始めた。
→ 混迷シャープ、追い込まれ「片山復活」(ルポ迫真):日本経済新聞
なぜ社長在任中に出来なかったのか?と思わずには要られませんが、いろいろと社内政治があるのかもしれませんね。
堺工場の稼働率は改善
堺工場の稼働率は急速改善中です。年末には8~9割にまで達する見込み。
これにより7―9月期の堺工場の稼働率は、会社計画の8割に近い水準を維持できる見通し。シャープは、10―12月期の堺工場の稼働率を8―9割に高める計画だが、別の関係筋によると、10―12月期の稼働も高水準を維持するため、シャープは中国の液晶テレビメーカーの受注拡大を目指している。年末商戦を前に、鴻海が別のテレビメーカーを注文を取り次ぐ可能性も高いという。
→ シャープ、サムスンやソニーに大型液晶パネル供給=関係筋 | Reuters
おそるべきは鴻海の営業力。
鴻海がライバル視しているSamsungだけはシャープが直接受注していますが、ソニー、米VIZIO、さらにもう何社か契約を取り付けて来そうな勢いです。
鴻海側は稼働率が低迷していた夏の時点で堺工場の能力増強(!)を検討するなど、営業力には圧倒的な自身を持っています。
→ シャープ堺工場の能力増強を検討、投資規模1000億円以上も=鴻海 | Reuters
強さの秘密
この流れで思い出したのがこの記事です。
→ 米・台・韓の「密約」に負けた日本のテレビメーカー :日本経済新聞
無料会員でも月20本まで読めますので登録して読んでもらうのが手っ取り早いですが、日本企業と台・韓企業との違いが指摘されています。
そんなもんだろうか?とぼんやり思ってましたが、鴻海が絡んで以後の動きを見ると納得せざるを得ないですね。
こちらも
→ 鴻海流で赤字工場再生 シャープ混迷(ルポ迫真):日本経済新聞