護衛艦 22DDH「いずも」は空母と呼ばれるほどデカイのか？

全長や排水量もそうですが、建造費、乗員の規模からしてもだいぶ違います。

較べるなら 強襲揚陸艦 の方が近いです。



米軍の強襲揚陸艦

これが米軍の強襲揚陸艦。見るからに似てると思われるのでは。

米軍の強襲揚陸艦ワスプ


米軍の強襲揚陸艦は元々ヘリコプター運用の必要性から生まれたそうですが、揚陸艇の他、ハリアーやF-35Bなど垂直/短距離離着陸機（S/VTOL機）の運用も可能になっています。
　→　強襲揚陸艦 - Wikipedia

ワスプに着艦するハリアー


揚陸艇も運用
　

現在主力のワスプ級もF-35Bの離着艦をしてますが、後継のアメリカ級もF-35Bを視野に入れてます。調達コストは $3,830.1 million、約3700億円。

ワスプ級は8隻保有。新型のアメリカ級は3隻を調達予定。最終的に12隻建造するという話もありますが、予算逼迫で削減されるかもしれません。進水の様子。

アメリカ級１番艦、２番艦は揚陸艇なし。３番艦から揚陸艇に再度対応。

出典: www.gao.gov/assets/660/653379.pdf　P93

米軍は「いずも」より一回り大きい強襲揚陸艦を10隻前後保有し、そして二回りはデカイ正規空母をこれまた10隻前後抱えてることになります。



米中以外の空母型艦艇

米中以外に目を向けると、例えばイギリスが現在建造中の空母クイーン・エリザベス。これもいずもよりだいぶ大きいです。もう1隻、同型艦のプリンスオブウェールズを建造中です。



遠方のフォークランド諸島の火種もあってかイギリスの次期空母はかなり大きいですが、その他は300mを超える船はほとんど無く似たようなサイズに収まっています。

こちらは2004年に進水、2008年に就役させたイタリアの空母カブール。
ジュゼッペ・ガリバルディに続く 2隻目の空母。強襲揚陸艦ではなく「Portaerei（空母）」と呼んでます。スキージャンプ台を持ち、ハリアーを運用しています。将来的にはF-35Bを運用予定です。



中国のメディアは「敗戦国のくせに」と言ってますが、イタリアも敗戦国です。
しかも中国の友好国であるリビアとの不可侵条約を一方的に破棄してます。
　→　イタリア、リビアとの友好条約凍結　：日本経済新聞

フェラーリ買いまくってる場合じゃないですよ。
　→　朝日新聞デジタル：フェラーリ、「売れすぎて」生産抑制へ　中国で販売過熱


次はオーストラリアが建造中のキャンベラ級強襲揚陸艦。こちらもスキージャンプ台が備わっています。艦橋が乗った写真もFlickrに掲載されています。



日本も海外に倣って「強襲揚陸艦 (Amphibious assault ship)」でも良かったかもしれませんが、それはそれで「assault（攻撃）とは何事か！」と批判されるのでしょう。

※ 揚陸艇を抱えていない船を「強襲揚陸艦」と呼ぶのも若干違和感ありますが、イオージマ級やアメリカ級のようにヘリコプター揚陸任務のみの艦艇も「強襲揚陸艦」に分類されてます。



建造費1200億円

新聞はいずもの建造費 約1200億円と報じてます。（※予算の読み違えを訂正）
平成22年度から平成26年度まで予算を計上。平成26年度末に引渡し予定。

平成23年度の支出先上位

出典: 平成２４年行政事業レビューシート（防衛省）



中国はメディアが代弁

中国はいつものように政府は黙したまま、メディアが代弁する形です。



中国も空母を保有してますし、公に批判するのは避けているようです。

ちなみに「いずも」の建造費が認められたのは平成22年度（2010年度）予算です。社民党の福島瑞穂も入閣していた鳩山政権下での予算ですので、鳩山氏訪中時に直談判されるのが良いかと。



参考記事