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BCN「Nexus 7、iPadを逆転」報道へのツッコミ

以前、iPadを色・容量ごとに分けて順位付けするなど、突っ込みたくなる集計で話題を振りまいてきたBCNですが、何やらまたちょっとした騒ぎになっています。

問題になっているのは昨年12月のタブレット販売動向。BCNによると Nexus7をリリースしたASUSがシェアを44.4%に伸ばし、iPadを売るAppleが40.1%。よって「ASUSがAppleを抜いた」と報じています。
 → BCN、2012年の年末商戦を分析、タブレット端末で波乱

BCN記事を受け、他メディアも報道
 → 読売新聞: BCN、2012年末商戦を分析…タブレット端末で波乱
 → MSN産経: 活況タブレット市場で、アップル首位陥落
 → 日本経済新聞: グーグル、タブレットでアップル逆転 低価格武器に
 → 日経トレンディネット: タブレットに新潮流、7型NexusがiPadをついに逆転

補足:台湾ASUS社が作った「Nexus 7」をGoogleが「Google Nexus 7」として販売してます

日経トレンディの「iPadを駆逐」というサブタイが過激です。
ちなみに、ソニーや富士通など国内メーカーはわずか 2~3%だそうです。



首をかしげるライターの本田さん





どこから集計しているのか?

違和感の元として一つ考えられるのはPOSデータのかたよりです。

BCNが集計しているのは以下の店舗。

POSデータ提供店(50音順) 2012年10月現在

アベルネット(ボンバー各店舗)
アマゾン ジャパン(Amazon.co.jp)
エディオン(エディオン、エイデン、デオデオ、ミドリ)
NTTレゾナント(NTT-X Store)
大塚商会(P-tano)
ケーズホールディングス(ケーズデンキ)
サンキュー(100満ボルト)
上新電機(上新電機)
スタート(onHOME)
ストリーム(ECカレント)
ソフマップ(ソフマップ)
ZOA(ZOA)
ドスパラ(ドスパラ)
ナニワ商会(カメラのナニワ)
ビックカメラ(ビックカメラ)
ピーシーデポコーポレーション(PC DEPOT)
ベスト電器(ベスト電器)
三星カメラ(三星カメラ)
ムラウチドットコム(ムラウチドットコム)
MOA(A-Price)
ユニットコム(パソコン工房、Faith、TWO TOP、FreeT、グッドウィル)
ラオックス(ラオックス)=(50音順)の22社
 → BCNランキングとは | デジタル生活応援サイト BCNランキング


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
 → BCN、2012年の年末商戦を分析、タブレット端末で波乱


量販店シェアトップのヤマダ電機やヨドバシも入っていないほか、auショップやソフトバンクなど携帯ショップも入っていません。またiPadを大量に売っていると思われるアップルストアも入っていません。



Kindleは除外されている

Nexus 7 と並び今年の主役だったKindleですが、ランキングからは除外されています。

「Kindle」の販売データ除外のお知らせ 2012年12月19日18時30分更新

 これまで「Kindle」シリーズは、Amazon.co.jp以外の家電量販店で販売された分は集計対象としておりましたが、各店舗での販売データが十分に取得できないことが判明したため、週間ランキングは2012年12月18日更新分(集計期間2012年12月10日~12月16日)から、月間ランキングは2012年12月度(2013年1月更新予定)から、下記製品を集計対象から除外することといたしました。
 → BCNからのお知らせ | BCNランキング


総合オンラインストアのAmazon.co.jpは、POSデータ提供店(集計対象店)の一つですが、「Kindle」シリーズに関しては、Amazonのポリシーに基づき、現在、集計対象から除外しています
 → BCNからのお知らせ | BCNランキング


引っかかるのは Amazonからデータが貰えないので Kindleを集計から外す一方、本家アップルストア、au、ソフバン抜きの状態で iPadを入れている点ですね。どういう境界の引き方をしているのか、もうちょっと説明が欲しいところです。

量販店曰くKindleは「Nexus 7、iPadの次に売れている」そうです。

主にネット通販で販売される米アマゾン・ドット・コムのタブレット「キンドル・ファイア」や電子書籍端末「キンドル・ペーパーホワイト」は対象外。取り扱う大手家電量販店によると、ファイアはネクサス7、アイパッドに次いで健闘しているという。
 → グーグル、タブレットでアップル逆転 低価格武器に  :日本経済新聞





朝日新聞は調査方法に着眼

BCNのリリースを受けて「iPad超え」を主題に書くメディアが多いですが、朝日新聞は別の調査会社であるGfKを引き合いに出し、「iPad首位陥落?」と?を付け一歩引いた報道となっています。

一方、GfKのデータでは、12月もアップルが首位を維持した。調査対象の家電量販店はBCNの約2400店に対し、GfKは約4千店。BCNの調査対象に、iPadの入荷が多い複数の大手量販店が含まれていないことが、結果の差に表れたとみられる。
 → 朝日新聞デジタル:iPad首位陥落? 調査会社、判断分かれる - 経済・マネー


GfKの調査結果は見つけることができませんでした。
有償のデータ提供しかないかな。



他の調査

BCN、GfK以外の調査としては、MMD研究所が「タブレット端末所有者666人を対象」にした調査を公開しています。
 → タブレット端末で圧倒的人気は iPad のシェア62.7%、2012年が普及スタート - インターネットコム

購入ではなく所有を調べているので、あまり参考にはなりませんが。



BCN過去の騒動

2005年、ウォークマン発売日直後の瞬間風速を取り上げ「大逆転」で話題に。
 → ウォークマン大逆転、ついにiPod Shuffleを抜き一躍トップに
 → 「ウォークマンがiPodを逆転?!」の数字はこうして作られる | デジモノに埋もれる日々

2009年、2010年、iPhone発売による iPod失速時も話題になっていました。
タイトルが問題な気がしますが。
 → iPodがウォークマンにシェアで敗れる、約4年8か月、242週ぶり
 → 1年ぶりにウォークマンがiPodを逆転、2週連続でソニーがトップ

2011年、iPadを色・容量毎に別モデルとし、ICONIA 1位と報じ話題に。
 → 日本エイサー「ICONIA TAB A500」がタブレット端末シェアで1位に - インターネットコム
 → Aerのタブレット「ICONIA」の販売台数グラフが面白すぎる [ ガジェットさん家 ]
 → ICONIA TABがiPad2を圧倒?!~BCNランキングを利用した提灯記事 - わぱのつれづれ日記



雑感

Nexus 7 が大躍進しているのは間違いない事実だと思いますし、数値を偽っているとも思わないのですが、Kindleが対象外でiPadが入っている点や、あとBCNの話の持って行き方に「あれ?」となってしまうのですよね。


※追記

本田さんのコラム発見。
 → iPhone、iPadが売れてない?アップル製品沈没、不思議報道のメカニズム(本田 雅一) - 個人 - Yahoo!ニュース

こちらも。
 → 牧ノブユキの「ワークアラウンド」:“あの製品”がトップの座を明け渡したわけ - ITmedia


 → 家電量販店業界 売上高ランキング一覧-業界動向サーチ-