03
06
2013
シャープ、Samsungからの出資受け入れの記事まとめ

シャープ、Samsungからの出資受け入れの記事まとめ

シャープ、Samsungからの出資受け入れ
 → サムスン電子との液晶事業分野における協業関係を強化 同社日本法人のサムスン電子ジャパンと資本提携 | ニュースリリース 公式リリース

なぜにリリース文を画像にする。しかもJPEG。
シャープに限りませんが、この悪癖はどうにかならんもんでしょうか。

より詳細なリリースはPDFで。
 → 協業関係の強化に向けた第三者割当による新株式の発行に関するお知らせ

約100億円ということで金額は少額です。Qualcommと大差ありません。
リリースによれば人材の派遣等々も無し。


少し整理

 ・ Samsungへのパネル供給は以前からある
 ・ Apple偏重からSamsungへの重心移動
 ・ メリットはSamsungへの出荷強化
 ・ デメリットは鴻海とAppleとの関係悪化リスク



工場で作る物が無いシャープ

シャープ自身はどうコメントしているかというと、

「液晶パネルを供給できればいい」。シャープの幹部は6日、記者団に提携の狙いをこう説明した。
 → シャープ、「下請け」で再建目指す サムスンに部品供給 - MSN産経ニュース


なんとも切実です。
背景には「工場で作る物がない」という惨状があります。

(空気清浄機など家電は輸入品なので円安に振れると損失が出る)

一方、円安相場で追い風になるのは円建て比率が高い国内生産の液晶ディスプレイ事業だ。

 そこで大赤字の液晶事業が“追い風”に乗れば相殺できる。しかしこれは液晶ディスプレイに売り先があり、工場の高稼働率を維持できることが前提だ。

 現実には主力の亀山第1工場は目下、アップルのiPhone5用の生産が激減しており、

「3月には作るものがない」(同社関係者)。

2月下旬には一部メディアで、2000億円の公募増資など資本増強策が話題になったシャープ。しかし定まらぬ経営計画にカネを出すほど、市場は甘くない。
 → 鴻海破談だけでは終わらない シャープ再建を揺るがす“誤算”|ダイヤモンド


今話題の空気清浄機などは輸入品のため、円安になると逆に利益が減るとのこと。円安のメリットを享受するにはとにかく国内の液晶工場を動かすこと。

シャープ加湿空気清浄機、中国製



Samsungへのパネル供給に既に行っている

Samsungへの液晶パネル供給は既に行っています。

まずテレビ用。

シャープが、テレビ用大型液晶パネルを韓国サムスン電子とともに、米国ビジオ(カリフォルニア州)とソニーに出荷していることが明らかになった。複数の関係筋がロイターの取材に答えた。 大型液晶は、堺工場(大阪府堺市)で生産。関係筋によるとパネル外販は7月以降に拡大。シャープはサムスンから直接受注したが…
 → シャープ、サムスンやソニーに大型液晶パネル供給=関係筋 | Reuters



そしてスマホ用。

今月1日、同社が「世界最高レベル、リアリティあふれる映像」と発表した小型液晶パネルも、実はサムスンのスマートフォンの大ヒット作「ギャラクシー」の次世代機に使うもの。うまくいけば月産200万台近く受注できるとあり、目下、多気工場(三重県)でサンプル生産が始まっている。
 → シャープの液晶事業が掴んだ サムスン向けという“命綱”|ダイヤモンド・オンライン



リリース文には100億円の使い道も書いてあります。

 1.液晶ディスプレイ高精細化のための新規技術導入
 2.モバイル機器関連の液晶製造設備の合理化費用

書面上はパネル供給強化を目的としています。

技術開発の類には触れておらず、その辺がシャープを安心させたのかもしれません。
実際の契約はどうかわかりませんが。



Samsungのコメント

Samsung側のコメントをNHKがとってきています。

資本提携は「液晶パネルの安定した調達先を確保するための取引先の多様化が目的だ」と説明しました。 さらに、「今回の資本提携は、シャープの核心事業である液晶パネル事業の収益改善にも寄与し、今後、両社の確固たる信頼関係の構築に寄与するだろう」としています。 一方、サムスン電子は発表の中で、「今回の資本提携はシャープとの協力関係の強化が目的であり、経営には関与しない方針だ」と説明しています。
 → サムスン 液晶パネルの安定調達が目的 NHKニュース


ある意味、金額の少なさが深入りしないというスタンスを物語っています。
 → 「逆に、この程度の金額ということであればサムスンでさえフルコミットメントしないというメッセージにも」



鴻海との関係はよりリスキーに

さきの技術流出よりも、“そこにある危機”を漂わせているのがこちら。
Samsungをあからさまにライバル視しているFoxconnこと台湾の鴻海。

今回の件、郭会長には内緒で話を進めていたらしく、5日に来日していた郭会長に説明するつもりがブッチされてます。これ、確実に怒ってると思うんですが。

ホンハイの郭台銘会長が、シャープ側にトップ会談を申し入れ、5日に来日していたことが分かりました。郭会長は、シャープと共同運営している大阪の堺工場で、シャープの奥田社長らと会談する予定でしたが、郭会長が、直前になって会談をキャンセルしたということです。

シャープ側は、この会談で韓国の「サムスン電子」と資本提携する方針を、郭会長に、直接、伝える予定でしたが、会談が中止になったため、ホンハイの別の幹部に文書で伝えたということです。 シャープは、サムスン電子との資本提携を決める一方、ホンハイによるシャープへの出資の期限は今月26日に迫っており、今後のホンハイの出方が注目されます。
 → ホンハイ シャープとの会談をキャンセル NHKニュース


「勝手に話を進めて何が悪い」という話ですが、信頼関係という点では大打撃な気がします。

去年3月の合意で、ホンハイからシャープへの出資の払い込み期限が今月末となっていることについては、「シャープとの交渉に3月末というタイムリミットはない」との認識を示しました。
 → ホンハイ シャープとの交渉続いている NHKニュース


天秤にかけることで鴻海が焦ってより良い条件を出してくれればいいのですが、見切りをつけられると痛いところです。



Appleとの関係

こちらもマイナス要因。

だが、アップルとの取引に悪影響が出る懸念もある。アップルが製品情報の流出などを警戒すれば、取引の拡大は望めない。シャープ再建は「スマホ2強」との協業は成り立つのかどうかにかかっている。
 → シャープ、脱「アップル依存」へ危険な賭け - 日経新聞


Appleにも出資の話は持っていっているでしょうし、今回Samsungに転んだのはAppleに頼り切れない現状があるからなのですが、Appleにしてみれば最大のライバルから出資されている会社というのはどう考えてもポジティブではないです。

BGCパートナーズのアジア株式担当マネジャー、アミール・アンバーザデ氏は「iPhone(アイフォーン)の出荷減に伴い、シャープからの部品供給は一番先に止められた。サムスンや鴻海などの電子機器大手の一部にならない限り、シャープ単独で復活の可能性はゼロに等しい」とコメントした。
 → シャープ:サムスンと資本提携-104億円受け入れパネル供給 - Bloomberg




 → シャープとサムスン資本提携 きょう決定へ NHKニュース
 → シャープ サムスンと資本提携へ NHKニュース
 → NHK NEWS WEB シャープ ライバルと提携の狙い
 → シャープがサムスン電子日本法人と資本提携、出資比率3%受け入れ | Reuters
 → シャープ、「サムスンから出資」との報道を否定 - Yahoo!ニュースマイナビニュース