Apple、ネバダ州に新データセンター 既存DCも再エネ導入進む
Appleがネバダ州に新データセンター(DC)を建設。4つ目です。18~20MWという大規模な太陽光発電所を併設し、DCの消費電力を賄います。
Appleのデータセンターはすべて、再生可能エネルギーを100%使用する。当社は、高効率の集光型ソーラーパネル分野における最新技術を使って、新たなリノのデータセンターでこの目標を達成しようと取り組んでいる。
→ アップル、ネバダ州の新データセンターも再生可能エネルギーだけで稼働へ - CNET Japan
一般的な平板型ではなく集光型(CPV)にするようです。地熱発電も行い、なんと100%再エネで賄うとのこと。100%自社発電、しかも再生可能エネルギーというのも珍しい。
出典: アップル
Appleのデータセンター
計画中のものもあわせると、Appleのデータセンターは4ヶ所。ニューアークのDCで長いこと間に合わせて来ましたが、メイデンを皮切りに急速にDCを増強しています。
→ Apple Facilities Report 2013
1.カリフォルニア州 ニューアーク (2006)
自社発電は無し、代わりに風力発電から電力を100%購入
2.ノースカロライナ州 メイデン (2012)
自社のクリーン発電で60%調達だったが、現在は100%?
3.オレゴン州 プラインビル
建設中、地元の風力、太陽光、マイクロ水力発電から調達予定
4.ネバダ州 リノ
建設予定、太陽光と地熱による自社発電で100%カバー
Appleの全施設でみると、消費電力のに占める再生可能エネルギーの割合は2011年の35%から、2012年には75%へと大幅上昇。
出典: アップル
運用開始しているメイデンDC
Appleにおける本格的な再生可能エネルギー活用の皮切りとなったメイデンDC。
ノースカロライナ州メイデンのデータセンター
データセンターの横に大規模(20MW)太陽光発電所と、反対側には燃料電池が設置されています。
20MWともなると相当にデカいです。年間供給量は 4200万kWh超。
(今後さらに拡張予定)
もちろん太陽光だけでは電力供給が安定しないため、バイオガスを燃料とする燃料電池も大量設置。これが10MWで年間 8300万kWh超を供給(PVより稼働率が高くなるので総発電量は多い)。
巨大なタンクに冷却水を貯めこむことで消費電力の平準化を図っています。
これらでトータル 約1億2500万kWh/年の発電設備を保持しています。施設レポートによるとメイデンDCの消費電力は1億400万kWhと、既に必要量を超えているそうです(単純な比較ですが)。
ただ今後もデータセンターを拡張するため、2013年後半に20MWの第2太陽光発電所を建設。年間の電力供給量を1億6700万kWhまで伸ばすとのことです。
→ Apple Facilities Report 2013
余談
米国では日本のように高価格で再生可能エネルギーを買い取ることはしていません。そのため、Appleのように自産自消を見据えた再エネ戦略が主となってきます。
→ “米国の住宅向け余剰電力買い取り制度は日本と大きく異なっており、売電で収入を得ることが難しい”
日本でもソフトバンクがメガソーラーをあちこちに建設していますが、これらは全量売電。肝心の自社データセンターは韓国に移したりしているため、自産自消とは対照的です。利益だけを考えると正解なのですが、もう少し系統と庶民の電気料金に優しい(高価買取り分のツケは消費者に回される)自産自消を行なって欲しいものです。
関連
→ メイデンDC、6割を自社で発電、残りを買電
→ CNETニュース - アップルの巨大データセンター建設--クラウド市場参入への布石か:ITpro
→ Feb 26, 2006 Apple Computer pays $45M-$50M for data center in Newark
→ Apple、メイデン・データセンターに太陽光発電併設を計画=地元住民から批判も | HDT.jp
→ アップル、新たなデータセンターの建設をオレゴン州で開始 - CNET Japan