11
20
2013
Nexus 7 に色域で劣る iPad mini Retina

Nexus 7 に色域で劣る iPad mini Retina

高解像度化した iPad mini Retinaですが、色域が弱点だと話題に。
 → こぼねみ
 → iPad mini Retina モデルのディスプレイは、iPad Air よりも劣っている?

↓ iPad Airが本来の色()に近い色を出している(●)のに対し、iPad mini Retinaはずれた色になっている。

iPad mini Retina iPad Air との比較
出典: AnandTech

iPad mini に限らずノートパソコンでもそうですが、製品ページやリリース時に色域に言及しない場合はあんまり期待しないほうが吉です。
 → アップル - iPad mini Retinaディスプレイモデル - 特長

Google Nexus 7 は発表会で色域の拡大について言及(YouTube)。

iPad mini Retina 2

Amazon Kindle HDX は製品ページに明記。

iPad mini Retina 3
出典: Kindle Fire HDX 7 16GB タブレット




IGZOとLTPSについて

こぼねみ氏の訳にちょっと補完。IGZOがLTPSに敗れ去ったような話になってますが、そもそも性能(電子移動度)ではIGZOはLTPSより劣ります。IGZOの利点は大型の生産ラインを使えること(低コストの可能性)、そして省電力性。

その省電力性が新型 iPad mini で全く感じられない理由ですが、DisplaymateはAppleがIGZOとアモルファスシリコン両方のパネルを採用しており、両パネルの差異はバックライトで揃えられているとしています。iOS7のParallax Effectもアレですが。
(LGがタブレット用のIGZOパネルを生産できていない)

So how can Apple use both display technologies in the same product? I’ve been told by using much higher performance (and cost) White LEDs in the Backlight of the a-Si panels, which equalizes the power efficiency for both types of displays in different ways.

(異なる液晶パネルを採用した)Appleが同製品で2つのディスプレイ技術をどのように使っているのか? アモルファスシリコンパネルにはより明るい白色LED(高価)をバックライトに使っており、それにより異なる手法で2つの異なるディスプレイの電力効率を揃えている。
 → Mini Tablet Display Technology Shoot-Out


アモルファスシリコンに合わているのであればわかる話なのですが。

そもそも iPad mini Retinaにアモルファスシリコンを採用しているのか疑問です。この高精細さだと相当なものです。私が最近見た最も高精細なアモルファスシリコン液晶は12.3型 2,880×1,080ドット。これも試作品ですし。
 → 車載向けには12.3型で2,880×1,080ドット

文中の「現行iPad (current iPads)」が何を指しているのかもハッキリしないので、ちょっともにょる記事です。



Quantum Dotsについて

これはIGZOやLTPSとは異なる部分の話ですが、西川さんの解説を引用しておきます。

量子ドット(Quantum Dots)とは、ナノスケールの半導体結晶からなるマテリアルで、入射してきた光を別の波長(色)の光に変換する量子力学レベルの現象を引き起こさせることを実現する。光学特性はその半導体化合物結晶の分子構造や粒径に依存し、QD Vision社のような物性化学メーカーは日々、新しい特性を生み出すためのレシピを研究している。

 今回ソニーがTRILUMINOS Displayに採用したのは米QD Vision社が開発した「Color IQ」と呼ばれる量子ドット技術で、主にカドミウム(Cd)とセレン(Se)の化合物でできた結晶を用いている。

 機能だけに着目して簡単に言うと「白色LEDの出力白色光をRGBバランスの取れた純白色に変換する拡散・導光部材」のようなイメージだろうか。
 → 西川善司の大画面☆マニア



計測結果でも白色LEDバックライトの弱点である、緑と赤が強化されています。

Kindle HDX 7 クォンタムドッツ
出典: DisplayMate

同じくQuantum Dots 技術を採用したというソニーBraviaの色域解説。
緑と赤が拡張されています。

トリミナスディスプレイ
出典: 液晶テレビ BRAVIA ブラビア | ソニー

iPadとは関係ないですが、この量子ドット技術を用いて、太陽光発電の効率を劇的に改善しようという試みもあります。色々と画期的な技術です。
 → 変換効率75%、量子ドットが実現する究極の太陽電池(前編) « WIRED.jp


関連
 → iPad mini Retinaの一部に残像問題が発生?(検証サイトあり) : ギズモード・ジャパン