07
15
2014
SIMロック解除と発送電分離

SIMロック解除と発送電分離

SIMロック解除の義務化を決定か。

「SIMロック」の解除を義務付ける。2年に一度しか違約金なしで解約できない「2年縛り」の見直しは結論を先送りした。大手3社の寡占にメスを入れたが、実際に低料金でサービスを乗り換えるには課題も残る。
 → SIMロック解除決定、「2年縛り」は結論先送り - 日経新聞



この件に関しては一部ライターさんの意見がどうもキャリア寄りなのが気になります。例えば、神尾さんのこの発言。



神尾さんは百も承知のはずですが、かつてそうしたことがあります。
2005年にイーアクセスをはじめとする新規事業者 3社、2007年には2社に携帯免許を与えています。

イーアクセス パネル
出典: 総務省 000161570.pdf 参考1 / 参考2

結果どうなったか。

上のパネルにあらかた書かれていますが、ウィルコムはソフトバンクに、UQはKDDIに実質吸収。最後にこのパネルを作ったイーアクセス自身もソフトバンクに買収されたのは周知の通りです。
 → 蹴茶: ソフトバンク、イーアクセスを2000億円で買収 電波でKDDI抜く [2012.10.1]

新規組にばらまかれた周波数は
ばらまかれた周波数

結局3大キャリアに収斂
結局3大キャリアに収斂した

総務省の「周波数割り当ててMNOをやらせてみろ」作戦は見事な失敗に終わってます。

“競争” 促進が仕事の総務省が何を狙っているかといえば、次の一文だと思います。

総務省 資料 サービス分離
出典: 総務省資料

インフラとそこに乗っかる端末・サービスを分離するというものです。

欧州でも寡占に繋がる買収の条件として、ネットワーク容量を一部他社に売却することを条件付けるなど、MVNOを利用した競争促進策がとられています。
 → 欧州委員会、ネットワーク容量の30%売却を条件に買収承認


考え方としては昨今話題の発送電分離に似てます。
こういう反論が出てくるあたりも同じです。


自らインフラを持たないMVNOとの接続を半ば義務とすることは以前から行われていましたが、MVNOが事業展開してもユーザーが流れ込まない現状に、総務省が業を煮やしたとも言えます。

解除義務化といっても当面のロックは認めていますし、劇的にかわるかというと微妙ですが、今後はイオンやコンビニ系列など異業種の参入がより本格化するのではないでしょうか(既に足を突っ込んでますが)。

総務省は端末を不正に転売したり犯罪に使ったりされるのを防ぐため、販売後の一定期間はSIMロックを認める。どれだけ期間をおくかは年末までに詰める。
 → SIMロック解除決定、「2年縛り」は結論先送り - 日経新聞




個人的には石野氏の意見に同意。


石野氏は欧州のMVNO事情もレポートされてます。
 → 欧州のMVNO市場をレポート(前編)|ONLINE デジモノステーション


関連
 → 総務省の中間まとめ案解説:SIMロック解除に強い意欲。携帯会社の懸念を「根拠なし」と一蹴 - Engadget Japanese
 → スマホの高額キャッシュバックはSIMロック/2年縛り/自動更新が原因、総務省が指摘。改善を提案 - Engadget Japanese
 → ニュース - 「携帯事業者はMVNOに対して接続義務」、IP懇談会で総務省が見解:ITpro
 → ドコモのアテ外れ「MVNO潰し」:FACTA online