検索エンジンの次はAndroid OS、何が独禁法に抵触したのか?
EUにおけるGoogle独禁法提訴。新たに浮上してきた、Android OSの独禁法違反について。
欧州委員会は Androidの何が独禁法に抵触したと見ているのか?
欧州員会は調査の焦点として次の3点を挙げているという。
・グーグルがAndroid端末を製造するメーカー各社に対し、自社のアプリ/サービスだけをプリインストールすることを奨励するなどして、競合他社によるアプリ/サービス開発や配布を阻害していないか。
・Android端末メーカー各社が、グーグル製アプリやサービスを利用できるカスタマイズ版Android OSを開発することをグーグルが邪魔していないか。
・グーグルがAndroid端末メーカーに自社製アプリやサービスのバンドル提供し、競合他社によるアプリやサービスの開発・配布を妨げていないか。
→ 欧州委員会、グーグルを「Android OS」関連でも本格調査へ - WirelessWire News
つまるところ、標準メールがGmailだったり、標準検索がGoogleだったり、ブラウザがGoogle Chromeだったりするのがダメなようです。
かつてMicrosoftがIEのバンドルで怒られたのに似てます。
これに対するGoogleの反論。
Androidについては、パートナー契約によるアプリのプレインストールは、消費者が購入してすぐに使い始められるようにするためのもので、契約は排他的なものではなく、メーカーは他のアプリをインストールすることができると説明。
→ EU、Googleを競争法違反の疑いで警告、Androidについても調査を開始 -INTERNET Watch
アプリ認可でライバルを阻止するApple
これは非常にグレーな話だと思うのですが、たとえばAppleも同様のことをしています。
デフォルトの地図アプリをApple製にしたのもそうですし、ブラウザもある種の製約があり、Operaなどは認可されてますが、FirefoxやChromeは存在しません。
→ iPhoneで『Firefox』が使える日がやってくる? 関係者が開発に言及! | AppBank
今回の定義に従えば黒です。提訴される前にAndroidにシェアを崩されたがために、依然グレーであるとも言えます。
→ アップルの地図アプリが大躍進!独禁法違反と言われてしまうのか? | ReadWrite Japan
BingをバンドルするMicrosoft
一方Microsoftは検索エンジンをバンドルした、Windows with Bingを欧州で販売しています。IEバンドルが問題視されていた時代であれば、袋だたきでしょう。
出典: ASUS Shop
ギルティか否かは当局の胸先三寸
結局、白か黒かの明確な線引きがあるわけではないので、ギルティか否かは当局の胸先三寸、担当官次第でも対応が変わってしまうことになります。
欧州委員会では昨年、独禁法関連の問題を担当する責任者がアルムニア氏から、マルグレーテ・ヴェスタ(Margrethe Vestager)に交代。このヴェスタがグーグルとの問題解決について、当事者間の和解よりも法廷での判断のほうが好ましいと発言していたとWSJでは記している。
→ グーグルの独禁法違反問題、欧州委員会が競合他社に苦情公開の働きかけ - WirelessWire News
こういった話は欧州に限った話でもなく、中国や米国でもこの手の判断は政治的な判断になりがちです。あまり酷ければWTO提訴もありなんでしょうが、膨大な時間を要するWTOへの提訴自体、ドッグイヤーのIT業界では負け戦です。
被せUI禁止も今後は禁止?
以前、SamsungがTAIZENにAndroidユーザーを誘導すべく、TAIZEN風のUIをAndroidに被せたりしてましたが、ああいった行為を禁止することも先の2番目に抵触することになります。
→ 蹴茶: SamsungはGoogleに手綱を握られたのか? [2.21]
Googleがどういった舵取りをしてくるのか。興味深いところです。