08
01
2016
東芝、64層の3D NANDサンプル出荷開始 遅れは「半年」

東芝、64層の3D NANDサンプル出荷開始 遅れは「半年」

いよいよ64層の3D NANDフラッシュが秒読みに。




64層未満の3D NANDはすでにサムスンが製品化済みで、搭載SSDも発売されています。


ちょっとふり返ってみます。

32層

2014年に32層 3D NANDを載せた「850 EVO」をリリース。




48層

2015年には名前は同じ「850 EVO」ですが、48層 3D NANDを搭載したモデルがリリースされています。

850 EVOは2014年12月に発表された32層の積層構造を採用した3D V-NANDを使用する3bit-MLCのSSDで、2015年7月に2TBモデルが発表されていた。今回それを倍増させた4TBモデル(積層数は48層に増加)が特に正式なリリースを行なわずに登場
 → 4TBのSamsung製SSDが1,499.99ドルで発売 - PC Watch



Samsung 48層 EVO SSD
出典: Samsung Newsroom "stacks cell-arrays in 48 layers"



64層

そして、Samsungは先月7月28日の決算発表会で、64層版の年内リリースを告知しています。NANDのサンプル出荷ではなく、SSDでのリリース。

サムスン電子は業績発表の場で、「年内にも64層のSSDを発表する」と説明した。
 → サムスン4~6月期は18%増益、スマホ好調 - NNA ASIA




東芝も2017年前半に量産体制を整えるべく動いてますが、Samsungよりは遅れてます。副社長の弁を借りれば「半年」の遅れ。

東芝 世代
出典: 東芝IR資料 参考: Samsungは48層を第3世代と位置づけています



なぜSamsungより遅れたのか?

なぜに東芝が出遅れたかといえば、ローリスク路線をとったのが大きいと思われます。

東芝-SanDisk連合による開発の進め方は、NANDフラッシュメモリ大手の中では最も保守的である。3D NAND技術への切り換えは最も遅く、プレーナ技術での微細化をギリギリまで突き詰めてきた
 → 福田昭:東芝-SanDisk連合の超高密度3D NANDフラッシュメモリ技術 - PC Watch




対するSamsungは赤字を垂れ流してでも3D NANDの量産に邁進。

元エルピーダの湯之上さんのコラムによれば、Samsungは中国政府からの補助金で3D NANDの赤字を補填しつつ、量産ノウハウを積み上げていった模様。これが“半年の差”を生んだ可能性はあります。

 → 中国メーカー参入で3次元NAND市場が爆発か? 再び起きようとしているイノベーションのジレンマ | JBpress
 → goo news の転載版


ただこの話、オチがあり、中国工場で現地オペレーターを大量採用し補助金を得るまでは良かったですが、今度は中国系の新興NANDメーカーがそのオペレーターを根こそぎ採用し、ノウハウの流出も起きているようです。かつての日本と韓国の関係のようですね。

サムスン電子の西安工場に在籍している1000人規模の中国人オペレーターを、根こそぎ採用しているという。さらに、サムスン電子やSKハイニックスのNAND技術者を高年俸でヘッドハンティング
 → 中国メーカー参入で3次元NAND市場が爆発か?(JBpress) - goo ニュース