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Kindle2 日本導入は険しいか 産経新聞が鍵を握る?
Kindle2の日本での展開は敷居が高そうというお話。ハードを買ってもらうためには文庫本の電子化だけではやはり厳しいと思われ、新聞という目玉商品が欠かせないと思います。ただ、どの新聞が電子版を提供するのかが大きな問題です。
→ 電子新聞端末は日本に上陸するか - @IT
アメリカでは有力紙がKindle配信に乗り出してますが、日本と較べると発行部数が少ない。発行部数最大のUSA Todayでも約220万部。最近は新聞離れが進み身売り話も飛び交うほどです。Kindleでもなんでもすがれるものはすがりたい状態に追い込まれています。
→ USAトゥデイ - Wikipedia
→ On Off and Beyond: アメリカの新聞の凋落
→ 新聞社の身売り買収が続く米国に、日本の近い将来を見る|メディア激動時代を読む 山口一弥
一方、日本は販売店ネットワークによる販売部数が半端なく多い。新聞社の公称値ですが、最大の讀賣新聞は1000万部を超えています。Kindleなんぞで電子新聞を発行しようもののなら、販売店の猛反発を受けるのは目に見えてます。(新聞代の約半分が販売店ネットワークの維持に費やされている)
ひとたび電子化に流れ出せば、電子新聞に移行せず残った読者への宅配コストは雪だるま式に増えていきます。昔新聞配達をしてましたが、100部が200部になっても集合住宅の多い都会だと配達時間はあまり変わりません(2,3割増し程度かな)。部数が多いほど配達コストは下がり、部数が減るほどコスト高になります。
産経新聞がiPhoneやPC向けにフルスペックの電子新聞を出せたのは、ひとえに発行部数が讀賣新聞の2割程度と少なく反発が少なかったからです。発行部数の多い讀賣や朝日の方が電子化へのハードルは高い。讀賣や朝日にとっては再販制度の死守、現状維持がベストです。
→ 蹴茶: 日本の新聞の電子化 2009.2.4
→ 大学教授のぶっちゃけ話: デジタル新聞 城戸教授のようにさっさと移る人は移る
◆ 新聞朝刊の発行部数
1.読売新聞 1002万部(参照)
2.朝日新聞 806万部(参照)
3.毎日新聞 388万部(参照)
4.日本経済新聞 304万部(参照)
5.産経新聞 219万部(参照)
Kindle2が日本上陸を果たし、産経新聞や他ネットワークへの委託販売の多い日経新聞が電子版を手頃な価格で提供し始めれば、そのとき新聞業界の崩壊は目に見える形ではじまるかもしれません。
配信用の回線も必要ですが、携帯業界は競争が激しいのでなんとでもなるでしょう。
レーベルに気を遣い続けたウォークマンがiPodという時代の波に乗ったライバルに足下をすくわれましたが、Kindleが日本で成功すればまたしても感は拭えませんね。電子ブックも、ハードだけなら日本勢が先んじてましたからね。再販制度の意義もわかるのですが、なんとも。
→ 蹴茶内のKindleネタ検索