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アメリカの民間ロケット Falcon 9 初号機打ち上げ成功

アメリカはスペースシャトルを引退させる予定なのですが、後継シャトルは開発打ち切り。代わりのロケットと宇宙船の開発も遅延が生じ、金融不況を機に仕切り直すことになりました。次は2015年に具体像を示すそうです。

結果としてスペースシャトル引退後、後継機が完成するまでアメリカは自前の打ち上げ手段が無くなることから、その間は宇宙への輸送業務を民間企業に外注することになりました。ここで民間企業が出てくるのが米国らしいというか。

そのうちの1社が今回Falcon 9初号機の打ち上げを成功させた SpaceX社。
CEOはPayPalの創設者イーロン・マスク氏。
 → ファルコン9ロケット初号機、打ち上げ成功 | ファルコン | sorae.jp

ケープカナベラル空軍基地からの打ち上げですが、種子島宇宙センターなんかをイメージしていると驚くほど設備が何もない射場です。殺風景ですらあります。


日本のH-IIA、H-IIBロケットは打ち上げ台の側で組み立てたのち、そろりそろりと専用トレーラーで運んでいきますが

H2B移動中

Falcon 9はどうしているかというと、

引っ張り出して
Falcon9 2 Falcon9 2

ヨイショ
Falcon9 1 Falcon9 2

なんでしょうね、この雰囲気の差(^^; (公式動画
引っ張ってるトラックも飛行機を押している汎用のトーイングカー



■ エンジン

Falcon9 Merine Engine

このファルコン9は同じエンジンをクラスター化、9つ束ねて使っています。クラスター化したロケットエンジンは制御が難しいとされていますが、SpaceX社によるとフライト中に1つのエンジンが壊れたとしても、ミッションを完遂できるとしています。つまり冗長性を持たせているそうです。
 → Space Exploration Technologies Corporation - Falcon 9

当然故障したエンジンを放置するだけではあらぬ方向へ飛んでいってしまいますので、その穴を埋めつつ全体のバランスを保たなければならないのですが、今後の成功率が見物です。


JAXAのH-IIAはエンジン1基ですが、大型のH-IIBはエンジン2基のクラスタ構成です。
こちらは片一方が故障するとたぶん無理かと。

H2B エンジン JAXAフォトアーカイブス


■ 二段目

Falcon9の2段目もSpaceX曰く「1段目を短くしただけ」というコストを意識した設計。
これにより材料や製造技術、工作機械などを共通化でき大幅なコスト削減に繋がったとのこと。

エンジンは1段目で使われているマーリン・エンジンをベースに、宇宙空間に適応させたマーリン・バキュームエンジンを使っています。極力同じ物を使い倒してます。


■ 大型化

将来的には両脇に1段目と同じものを2基、ブースターとして使う「Falcon 9 Heavy」というのが計画されています。1段目に9つ、ブースターそれぞれに9つ x2、計27基のマーリンエンジンを使ったまさにヘビー級。打ち上げ能力はH-IIBの1.5倍超。なにそれ。

Falcon9 Heavy
衛星を相乗りさせてもまだ余りそうな能力です。
おおまかに打ち上げ能力を較べるとこんな感じに

 〔小〕 Falcon 9 ≒ H-IIA < H-IIB < Falcon 9 Heavy 〔大〕

衛星も小型化を模索するような動きがあるので、大きければいいというわけでもないでしょうが、色々と夢のあるお話ではあります。