独り勝ちTSMC ライバルに勝ったもう1つの理由
JBpressに台湾の半導体大手 TSMC がなぜここまで強くなったかという分析記事が掲載されています。以上のようなエピソードから透けて見えてくる日本半導体メーカーの2つ目の病気とは、「自分で決断できないこと」、および「横並び思想」である。このような病気に冒された経営者が、まともに会社を経営できるとは、筆者には思えない。
→ 一人勝ちの仕組みをつくってしまった台湾ファンドリーTSMC SoC生産に見る日本メーカーとの大きな違いとは JBpress(日本ビジネスプレス)
記事では経営者の素質が大きく問題視されていますが、もう1つ大きな差となったのが税制です。立命館大学 研究員 立本氏のまとめによれば、TSMCは全くと言っていいほど税金を払っていません。
水色がTSMCが台湾当局に支払った税額。
オレンジはTSMCが仮に日本企業だった場合の税額。
(参照:制度による技術伝播の促進)
黒字なのに還付を受けさらに利益が増えるという凄まじい制度です。最近、日本でも法人税引き下げ論議がよくニュースに出てきますが、ぶっちゃけ多少下げたところで相手にはならないでしょう(実効税率はさらに低いとしても)。韓国も間接的な支援策などでこれに近い半導体メーカーへの優遇策をとっているとのこと。日本ではさらに人件費や為替などのハンデがかかってきますので、経営判断が同質であっても負けて何ら不思議でない状態です。
財務副大臣が「法人税引き下げ競争やめようぜ!」と提言してますが、新興国が見返りもないのに言う事を聞くわけもなく、当面この法人税引き下げ競争は収まりそうにありません。比較的身軽なシンガポールや台湾と違って、日本は社会保障や農業など背負う物が多いだけに、法人税引き下げ競争に参戦するのが正しいのかどうかは議論のあるところです。
下げるならどこまで下げるのか? 他国がさらに下げた場合は追随するのか? 代わりの財源をどうする? 赤字企業の扱いは? 法人税をどういじっても大変そうです。最近、台湾が法人税を17%に下げるというニュースが出ていますが、これは極端にIT産業が優遇されていた法人税をみなおし、全体のバランスを取るのが狙いとのこと。TSMCにとってさらに法人税が安くなると言うわけではないようです。
→ 【台湾】法人税17%台、週内にも最終可決[経済]NNA.ASIA