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ウルグアイが方針転換。日本式 地デジが南米制覇 恩恵は?

南米ウルグアイがデジタル放送で方針転換。
これまでの欧州方式から日本方式へと変わり、一応は日本方式が南米をほぼ制覇したことになります。
 → ウルグアイが地デジ放送で日本方式の採用を決定,前政権が選んだ欧州方式から変更 - Tech-On!

総務省 地デジ放送方式

日本では「日本方式」と呼ばれることが多いですが、ブラジル大統領が「日本・ブラジル方式」と言うだけあって中身はかなり違います。肝心要のコーデックに日本は「MPEG-2」を使っていますが、後発となる南米では画質を維持したまま圧縮率の高められる「MPEG-4(H.264)」を使用。動画サイトのユーザーには馴染み深いコーデックですね。

※ H.264がITUで勧告されたのが2003年。日本が地デジの技術検討していた2000年前後にはまだ選択肢にはなり得ませんでした。


■ 欧州方式、日本方式どっちでもいい韓国勢

これで苦境の日本の電機メーカーにも商機が?と思うところですが、そこはなかなか難しい。

日本の家電メーカーは市場規模の小ささを理由に南米への本格的な進出には慎重姿勢だ。すでに放送が開始されているブラジルでは、自国では米国方式を採用する韓国のメーカーが日本方式の地デジ対応テレビを開発。ウォン安を背景に大幅に値引きをして売れているという。南米での日本方式の普及は存在感の誇示には役立っているが、今のところ商売に結びつけるのは難しいようだ。(毎日新聞


平然としていた韓国勢
筆者は今年の初めに、日本方式を採用していない韓国のメーカーの様子を見るために、サンパウロ市内のショッピングに設けられた、Samsunのショウルームを訪問して、同社のデジタルテレビの方式に関して、念のために聞いてみた。その答えは“われわれはすでに日本方式が採用されることを想定しており、すでにコンバーターも開発して、方式が決定されてお客さまから要求があれば400レアルで売ります”であった。LGには確かめていないが、Samsunと同じでフィリプスのように騒いではいない。
 → ブラジル・サイト(経済&ビジネス)


毎度のことながらしたたかな韓国メーカーです。価格だけではなく、Samsungはブラジル第2の都市マナウスに研究施設を設立し、ここで開発された‘ブラジル製’チューナーとセットボックスを武器に、初の公開デモ用機材にも選ばれています。
 → ISDB-T International - Wikipedia, the free encyclopedia

ちなみに韓国本土は日本、欧州とも違う、米国方式のデジタル放送。


■ ブラジルの思惑

先頭を切って「日本・ブラジル方式」を採用し他国への説得まで買って出たブラジル。欧米への技術依存を避け、ゆくゆくはテレビ機材を国産化し、他の南米諸国に輸出したい思惑もあって他の南米諸国に勧めて回ったようです。勧められる側の南米諸国としては、南米としてまとまる利点、また成長著しいブラジルに恩を売っておくという面もあったと思われます。
 → ウルグアイのKey's Days: 『ムヒカ大統領からルーラ大統領へのお土産を差し出したとも見ることができます。』


■ 日本国民への恩恵は?

技術料的なお金が入るかどうかわかりませんが、もしあったとしても売り込んだ経緯からして大した金額ではないと思われます。売り込み資金を税金として提供した我々国民への恩恵があるとすれば、Felicaのように国際的に孤立する可能性が減り、将来ワンセグ対応のiPhoneやGalaxy Sが出てくる可能性が高まったという点が一番身近な恩恵かもしれません。

これで「日本・ブラジル方式」だけ対応して「日本方式」非対応というオチだと悲しすぎますが(^^;


地デジ参考記事
 → ISDB-T とは - ワンセグの理解を深めるキーワード解説:ITpro