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Google Maps 国内でも渋滞情報、30歳以下はカーナビ買わず

※ 11日14時 海外の渋滞マップを添付


Google Mapsが国内渋滞情報サービスを開始しました。
 → Google マップに交通状況の表示機能、モバイルにも対応 -- Engadget Japanese


■ 海外では2007年からサービス開始

海外では2007年から米国の主要都市にて渋滞情報の提供を開始しています。
 → 「Google Maps」が米国でリアルタイム交通渋帯情報の表示を開始

その後、順次ヨーロッパ、アジアなどにエリアを拡大し、このたび日本に到達。

◆ パリ シャンゼリゼ通り周辺
Google Maps パリ渋滞
◆ 台北
Google Maps 台北渋滞
◆ バンコク
Google Maps バンコク渋滞


■ 既存の渋滞情報サービス

行政や警察と連携しているVICSは毛色が違いますが、パイオニアやホンダなどは自社ナビ搭載車から情報を収集。日立などは提携しているタクシーから速度情報を集め、渋滞予測に活かしています。

渋滞予測 プローブ

VICSビーコン VICSは警察、道路管理団体から情報を得て、ビーコンで配信。


■ Googleはスマホから

Googleは車載ナビでも、街角モニターでもなく、スマホから情報収集しています。

 交通状況は、スマートフォンでユーザーがMy Location (現在地)の機能を有効にしている場合にのみGoogle に送られる、匿名化された位置情報と速度データを利用して通行の状況を計算、表示しています。
 → Google Japan Blog: 交通状況がGoogle マップで見られるようになりました


巧いというか、ずるいというか、それってありなんだと思いましたが、収集するデータに個人特定要素が無ければ違法ではないと判断しているようです。

この技術、さかのぼると2005年にそれらしきベンチャー企業を買収しています。

(Googleが)密かにカリフォルニアのベンチャー企業(Zipdash社)を買収して子会社化していたことがわかった。(略)
 利用者の位置を匿名でGPSから割り出し、そのデータを定期的に更新することによって利用者の移動速度を割り出す。その速度の変化から現在走っている道路が渋滞してるのかどうかを識別し、渋滞している道路は赤色で、そうでない道路は緑色で地図上に表示する。これにより、ドライバーが渋滞状況を把握できるようにする。
 → 米Google、密かに会社買収を行なっていたことが年次報告書から判明



Google IMEもそうですが、旧来の手法ではなく、Googleの土俵である情報解析と規模のメリットを活かした手法です。対象車がトヨタであろうがホンダであろうが関係ありませんし、追加の通信契約も必要ない。スマホが普及すればするほど精度が上がるという将来性、世界各国で適用できるというある種のスケーラビリティもあります。

地道に通信キャリアと交渉して特別プランを作り、カー用品店に足を運んで営業、1台1台サンプルを増やしてきた国内ナビメーカーからすれば、チートのような話です。

(渋滞サービスを開始した2007年当初はiPhoneも無い時代ですので、情報源はスマホでは無いかもしれません。)


■ 30歳以下はもうナビを買わない

話を変えますが、今回のニュース以前から、既存のナビが売れなくなっています。
後付けナビに流れたとか低価格化などという話ではなく、そもそもナビを買わない。

パイオニアのカーナビ関係者は「最近、30歳前後以下の人は全くカーナビを買わない。カーナビ機能はスマホで代用している。
 → スマホがクルマを潰す時――日本は勝ち組か負け組か 自動車産業激変期に第3の波「テレマティクス」が本格化|ダイヤモンド


昔からGoogle Maps、携帯をナビにしようという試みはありましたし、よりハードルの低いGPS内蔵のiPhone+Google Mapsが出た時点でナビの苦境は確定したともいえます。
 → 蹴茶: Googleカーナビで既存カーナビ会社の株価暴落 [11.1]
 → 蹴茶: スマートフォンに侵食されるPND市場、崩壊の危機 [7.22]

今後は日産アラウンドビューモニターのように、カメラと連携した安全機能が従来型ナビの砦になるかもしれません。車載LSIも、車両周辺情報の表示機能を特に強化してきています。
 → 東芝、カラーカメラとトップビューに対応した車載用画像認識LSI
 → 車載向け高性能画像表示LSI新発売 : 富士通セミコンダクター
 → Car Watch インフォテインメント・システム



ただ、最近のスマホの性能アップを見てると、専用LSIが無くても映像処理できそうな勢いです。そのうちバックカメラと組み合わせて使うアプリがでてきてもおかしくないですね。


■ スマホのコンソールと化すナビ

スマホをライバル視せず、積極的にスマホの波に乗る動きもあります。
12月8日にデンソーが発表した「アルペジオ」もその1つですし、パイオニアなどもスマホを核にした製品を販売中です。
 → Car Watch デンソー、カーナビ画面でスマートフォンを操作する「アルペジオ」開発

アルペジオ

パイオニアが米国で発売中の製品(SPH-DA01)。
 → 蹴茶: 米パイオニアがiPod・iPhone用 2DIN ガジェットを発表 App Radio [5.26]

App Radio

日本ではスマホをナビに転用する専用クレードル&サービスを展開。
 → 蹴茶: スマートループ対応、ドコモ「ドライブネットクレイドル 01」 [9.10]


■ スマホのコアファイター化

ゲーム機になるスマホ、iRobot社のスマホロボ(iPadですが)、最近話題の放射線測定機などもそうですが、コストカットの切り札として、ディスプレイとプロセッサ、用途によってはセンサーもスマホ内蔵パーツを利用する使い方が急速に広まっています。
 → 蹴茶: iRobot CEOインタビュー iPadを頭脳にもつAVAという新製品 [11.9]

スマホがあらゆる分野の共通コンポーネントとなりつつあります。
スマホのナビ化はその典型例と言えます。