シャープ Mebius PC-MP50G

GPU
MobilityRadeon 7500
◆ 購入のきっかけと価格
 前使っていたVAIO VXが遅いのと,持ち運ぶには重いと感じるようになってきたので(まだ20代前半ですが^^)買い換えることにしました.CPUはPentiumIII-Mの850MHzと遅くはなかったのですが,グラフィックにはIntel815EM内蔵の3Dは言わずもがな,2Dも明らかに遅くていらいらする代物でした.当時は,ほぼ唯一の大画面モバイルノートということで選びましたが,今となってはこのタイプには,Let's note Y2やVAIO typeSがあるので珍しくないですね.

 ひどかったIntelの内蔵グラフィックもIntel830M以降のIntel Extreme Graphics2コアからは大きく改善されたようなので,別にゲームをするわけではなくRadeonなどの単体GPUが載っていなくても良かったのですが,珍しいEfficeon,それもB5サイズモバイルノートではおそらく最も高性能な1.6GHzということで,PC-MP50Gを選んだらRadeon7500が付いていたという感じです.上位機種のMP70Gに載っているマルチドライブは,DVD-RAMでのデータのバックアップ目的で欲しかったのですが,デスクトップでやれば良いと考え,安いが性能の変わらないMP50Gを選択しました.
以下,2ヶ月間ほど使っての感想です.非常に長いです(^^;

◆ 実際の体感速度
 前と比べれば,CPU以外にもメモリ,グラフィックなど総合的に性能が上がっているので動作は快適に感じます.Efficeonは動作が遅いといわれることが良くあり,確かに時々動作がもたつくようなところはありますが,十分許容範囲です.むしろ,WindowsXPの動作自体が遅いと思います(特にSP2になって).

 一応FFXI認定モデルになっている本機種ですが,Radeon7500の性能はB5サイズノートでは高いほうだと思いますが,ベンチマークを動かしてその動作を見る限り,今となっては3Dゲームには明らかに力不足です.チップセット内蔵グラフィックよりはマシという程度だと思います.Efficeonがあまりマルチメディア関連の処理を得意としていないことも3D性能に影響しているでしょう.確かにこのサイズのノートPCでは3D性能は高いほうですが,3Dゲームを動かせることを謳うのなら,最低でもMobility Radeon9000やXGI Volari XP5(旧Trident XP4)を載せるべきであったと思います.

 ただ,性能の強化が買い替えの主な目的の一つだったのですが,確かにAC動作時には非常に快適に動くものの,バッテリー動作時にはクロックを最低の533MHzに落として動作するので前とあまり変わらず,ということに買ってから気づきました(^^; このあたりは,PentiumM機でもクロックを最低の600MHzに落とすので結局同じですね.
 
◆ 液晶の質
 依然使っていたVAIOノート VXの液晶が白っぽくて発色も鮮やかではなかった(赤がピンクっぽく見えた)のに対し(評判の良くない低温ポリシリコン液晶?),発色という点ではデスクトップで使っているSamsungのSyncMaster 171Tと比べてもそう悪くはないです.ただし,特に上下方向の視野角が狭いので,視線との位置を合わせないと画面がきれいに明るく見えません.

 一番の問題はこの光沢液晶ですね.かなり写り込みしやすいので,光沢液晶を採用するのならもう少し写り込み防止の処理をして欲しかった物です.ACアダプタで使うときは消費電力など気にしないでバックライトの輝度を最大にすれば写りこみもあまり気になりませんが,バッテリー動作時にはデフォルト設定では輝度がかなり抑えられるので,照明が明るい部屋や屋外では,画面がもともと暗い上に写り込んで非常に見づらいです.輝度を上げればある程度解決しますが,バッテリー駆動時間が大きく低下するのが難点です.本当に屋外でのDVDを見る用途を想定していたのなら,液晶のバックライトの効率やバッテリーの効率を上げて,同じ消費電力でもバックライトを高輝度にするか,従来のアンチグレアの液晶を採用すべきであったと思います.

◆ キーボード
 キーストロークは浅いですが,キータッチは固めとなっています.まあ,悪いというほどのものではないでしょう.キーボード自体が安っぽくてちゃちに見えるのが難点かと.

◆ サウンド
 他のこのサイズのノートPCと同じく,内蔵のスピーカーはモノラルとなっているので「鳴るだけ」だと思ったほうが良いです.特に,内蔵のスピーカーでは,音量を最大に設定しても普通程度の音量で,音が小さいです.ヘッドホンをつなぐと,同じ音量でも結構大きな音が出るので,内蔵スピーカーで音を聞くということを想定していないのでしょう.専用のイヤホンも付属するくらいですし.でも,問題はスピーカーとイヤホン使用時で音量が大きく違うことですね.

 DVDを見たり,FFXI(こんなのでも一応認定済みPC)をやったりするのなら,ステレオでも良かったかもしれませんが,本当に外で使うのなら,音を鳴らしたいときは周りに迷惑になるので,イヤホンやヘッドホンを使いますよね。まあ,スペースや消費電力の限られる小型ノートPCではこういう選択もありかと.

 音源はサウスブリッジ内蔵でRealtek製のAC97コーデックで,ドライバのソフトウェアレベルでの対応のようですが,ゲームでの音のエフェクトにはEAX2.0が使えることを確認しています.

◆ 筐体:強度と質感
 本体はマグネシウム合金のようで結構しっかりしていて強度は問題ありません.ただ,液晶側の厚みが5,6ミリしかなく非常に薄いので心理的にちょっと不安です.でも,厚ければ良いというものでもなく,キーボード側は光学ドライブを内蔵している関係上厚すぎです.あと数ミリ薄くならなかったものか.

 塗装は,キーボード側はマット塗装で汚れにくい塗装となっています.しかし,天板は光沢塗装なので,汚れや傷が付きやすいです.色が黒系ではなく白なので目立たないのが幸いでしょうか.

 他に気になる点として,光学ドライブの右側が0.4mmほど出っ張っています.これには個体差があるようで,1mmほど出っ張っている個体もあるようです.

◆ 筐体:各種コネクタの位置
 私は右利きなので,マウスをつなぐために右側にUSBポートがあるのは良かったです.ちょっと気になるのは,外部ディスプレイ接続端子にネジ穴がなくてケーブルを固定できないことでしょうか.まあ使うのはプレゼンを行うときくらいですし,抜けないように注意すればよいので困りません.あと,強いて言うのなら,イヤホン端子は左側ではなく右側にあってくれれば良かったと.

なお,マイク端子はないので,音を取り込みたい場合はUSB接続のサウンドプロセッサなどが必要です.

◆ 筐体:発熱と冷却ファン音
 ファンが"うるさく"高速回転に回ってくれるおかげで筐体はあまり熱くなりません.やや暖かいくらいです.
 CPU温度が55度を超えると急にファンが高速に回りだし,50度未満に下がって止まるまでファンがうるさいので,もう少し低い温度でも静かに回せなかったものでしょうか.このサイズのPCとしては高速なCPUを積んだので仕方ないのかもしれませんがこの点も大きな課題ですね.なお,CPUファンとヒートシンクのみで放熱するよう設計されたためか,筐体を使うパッシブな放熱が良くないようで,533MHz動作のアイドル時でもCPU温度が上がっていくため,2分おきくらいに30秒間ほど定期的にファンが回る形となります.MOBILEモードに設定しても,バッテリー動作時もファンが回るのでうるさいです.せめて,バッテリー動作時のMOBILEモードくらいはファンの回転を抑えるような設定になっていればよかったのですが.
 ファンがうるさい割には,排気口から出てくる熱風が少ないようなので,冷却の効率はあまり良いとはいえなそうです.

◆ ACアダプタ:大きさや発熱
 大きくもなく小さくもなくといったところです.触ってもやや暖かいくらいで発熱もあまりしません.
 
◆ モバイル性
 重量は1.26kgと軽く小さいので持ち運びしやすいでしょう.でも,個人的には光学ドライブはソフトのインストール時以外はあまりいりませんね.前使っていたVAIO VXは光学ドライブは外付けでしたし.この性能で光学ドライブを省いたモデルがあればそれを選んだでしょうが,メーカーが意図したこのPCのターゲットが外でDVDを見る人ですからね.

 バッテリーですが,あまり持つほうとはいえません.Efficeonなどの個々のパーツは消費電力は低いと思いますが,MOBILEモードでは暗くて見にくい液晶のバックライトの効率や,バッテリーの効率が悪いのかあまり持ちません.バックライトの輝度のデフォルト設定では,MOBILEモードで4.5時間程度,NORMALモードで2.5時間程度でしょうか.VAIO typeTやLOOX T,Let's noteのようにデフォルトで大容量バッテリーならもっとがんばれそうですけど,この機種には今のところ大容量バッテリーがオプションにはないですし.と,バッテリーの持ちについて文句を言ってきましたが,私の用途ではまず問題なかったりします.持つに越したことはないですけどね.

◆ その他
 気になったことをいくつか挙げます.

 Efficeonは3Dゲーム(特にFPS)には適しないと思います.その理由は,EfficeonはFPUやSSEの実行速度が遅いことと,EfficeonはCMSでx86コードをネイティブコードにリアルタイムに変換して最適化しつつ実行しているのですが,当然ながらネイティブコードへの最適化が十分でないときは実行速度が遅くなります.画面の切り替えや読み込みが起こると,また新たに最適化しなければならないので,十分に最適化して速度が落ち着くまで2,3秒の時間がかかります.Ys6では画面の切り替えごとにFPSが落ちました.

 Officeなどの使用時に気になった点として,文字入力時に手のひらでタッチパッドに触ってしまい,別の場所にカーソルが飛んでしまうことがあります.以前使っていたVAIOでは,文字入力中はタッチパッドを一時的に無効にする設定があったのですが,この機種のユーティリティにはそのような設定はないようです.ぜひ対応していただきたいのです.

 ユーティリティ関連で,この機種には省電力設定を行うユーティリティが付属していません.Windows標準の設定でもある程度は省電力設定を行うことができますが,きめ細かい設定を行うには不便です.この機種は色々なところで詰めが甘いですね.

 最後に,WindowsXP SP2で対応したデータ実行保護機能DEP(Data Execute Prevention)について.DEPの詳細については他を参照していただくとして,EfficeonはDEPに対応していますが,デフォルトではシステム部分のプログラムのみの適用にとどまっています.これを全てのプログラムに適用すれば,バッファーオーバーランでのウィルスの実行のほとんどを防ぐことができないかと考え,全てのプログラムに広げました.が,アプリのインストーラーで引っかかる物が多く(Adobe Readerでさえも引っかかりました),いちいち例外リストに入れないとならないため不便で元の設定に戻してしまいました.セキュリティと便利さは両立が難しいと実感.

◆ 総評
 メーカー側は,屋外でDVDを見たり,FFXIができることを売りにしています.しかし,バッテリーの持ちが良いとはいえず,バッテリー駆動時の画面が暗くて映り込みが大きいのでDVDを屋外で見るには適しません.ファンの動作音もうるさいですし.また,FFXIもベンチマークを見る限り,とりあえず動きます程度でプレイするにも適さないと思います.どちらの方向性も中途半端です.

 ライバル機の超低電圧版PenM 1.1GHz程度と比較すると,Efficeon 1.6GHzというのは整数演算が速いようなので,皮肉ですがビジネス用途に有利ではないかと思います.現在シャープがIntel CPUを採用していないのはどういう方針かわかりませんが,MPシリーズの用途にはPentiumMを採用した方が良かったのではないでしょうか.

 まあ,Officeなどの通常の処理性能は十分だし,珍しいEfficeonが載っているので私は良しとします(^^;
評価は,様々なところで詰めの甘さが見られるので,厳しめにつけて70点です.MPは初めてのシリーズなので,この詰めの甘さが次回以降に改善されると良いですね.