Lenovo ThinkPad T61p

評価
GPUQuadro FX 570M
CPUCore 2 Duo
DRAM2 GB
OSVista
投稿者TOMO
2007-10-19 00:36:54
◆ 購入のきっかけと価格

日本にいたころは、ThinkPadを使っていた(735ceの頃から毎年新しいモデルにしていました。)のですが、USにきて、貧乏生活がスタートしてThinkPadは高嶺の花でした。仕事柄、3Dの処理が多く、CPUとVPUはそれなりものが必要で、DellのInspiron8000->8100 Hypersonic (CLEVO) Acer Ferrariと転々としてきましたが、そろそろThinkPadの値段が普通になってきたので、ThinkPadに戻ることにしました。

すぐに必要だったので、構成済みモデルを購入後HDDを交換しました。メモリが不足するようなら、いずれメモリも追加しますが、ノートでは重い処理はしないので32bit環境で十分で、今のところメモリはいらない感じですね。

メモリリーダーは必要となると15インチモデルになり、WUXGAモデルになりました。$2700位だったと思います。Seagateの新しい200GB 7200RPM HDDもあわせて購入し、こちらは$200程度でした。昔ならThinkPadのフラッグシップはすぐに$4000コースになるところでしたが、$3000コースという我々の予算内で買えたのは時の流れを感じました。

Vistaに関しては、別に慣れればなんてことはないと思い、そのまま使っています。いくつかのFIXは入れましたが、特に不満はありません。ただ、デスクトップサーチはGoogleの方が使い慣れているので、今度のSP1で取り替えることができるようになるのはうれしいですね。ガジェットはWindowsでもGoogleでもどちらでも特にかまいませんが、今はWindowsのほうを利用しています。といっても、天気予報、時計、カレンダーだけです。ユーザーインタフェースは慣れるものなので、必要なものが動けばそれほど気になりません。

Vistaがよくないという意見は多かったのですが、このノートでの動作に関しては、DHCP周りの動きがXPとは異なって、NETGEARのルーターで指定したアドレス以外のものが取れてしまうという不具合がまだありますが、気になるのはこれだけですね。

◆ 体感速度の変化

今まではフェードなどのエフェクトはOffにしていましたが、VistaではOnですが、あまり気になりません。CPUに負荷をかけて2コアを使い切っても、C2Dは速いですね。前のAthlonはシングルコアでしたが、複数スレッドを使うような開発が多いため、2Threadのときの安定度は重要ですが、どこかが熱くなる事もなく、あっさりこなしてくれます。
また、体感が遅くなった感じもありません。もっとも、私の環境ではウィンドウを閉じたり開いたりの頻度が少ないためでしょうか。Meadow、Visual Studioのデバック環境、メール、FireFoxの4つ以外のアプリはほとんど動かしていません。これらのアプリはウィンドウの開閉が少ないものなので、動作はVistaのもっさり感とは無縁ですね。充分にきびきび動きます。ウィンドウの開閉が多いアプリを使われているともう少し気になるのかもしれませんね。

AcerのFerrariモデルは、バッテリモードのときとACの速度差が結構あり、外で使うときには覚悟がいりましたが、T61pではそんなことはありません。バッテリも3時間は楽に持つのはありがたいですね。Ferrariはバッテリ容量の大きなものがないため、1.5時間程度しか持ちませんでした。出っ張るのは不恰好ですが、長い時間動くのであきらめています。

◆ 液晶の質

ThinkPadということで青みを覚悟していましたが、それほどひどくありません。デフォルトの輝度はちょっと高めに感じ、黒が少し浮いています。いずれキャリブレーションしてみようと思います。

普段使うには問題ありません。オフィスでは映り込みは気になりません。外の車の中で利用すると向きによっては見えにくいこともありますが、そんなときは向きを変えて見やすい方向を向くことにしています。

WUXGA(1920x1200)のモデルですが、文字の小ささは気にならないので、私は大きな表示領域に満足しています。3Dモデルを拡大していったときの精細さは大きなドット数があることのメリットですね。そのうち子供のサッカーの写真も取り込むのに使うようになりますが、このときも解像度が大きい方が使いやすいとおもいます。

ドット欠けはないようです。

◆ キーボード:配列やタッチ

キーボードは、ちょっと軽いですが、充分なストロークがあり、感触はいいです。

配列は、余分なキーがEnterの右にない、昔ながらのThinkPad配列で、使いやすいです。CtrlとCapsLockはレジストリで交換して使っているので、配列で気になるところはありません。やはりTrackPointはいいですね。私のようにテキスト系の処理が多いときにはTouchPadより使いやすいと思います。

◆ サウンド

スピーカーはつかっていません。

ヘッドフォンジャックにノイズは載っていません。プログラム作成の合間に聴く程度なら問題ありません。ADですが悪くないと思います。


◆ 筐体:質感や強度

質感はヒンジが金属色で安い感じもしますが、昔ながらのお弁当箱ですね。慣れれば邪魔にならずいいかと思います。ただ高級感はありません。職人さんの道具という感じでしょうか。強度は上がっていますね。昔はバックパックに入れておくと、TrackPoint の痕が液晶にすぐについてしまいましたが、今回のものは使って3週間になりますが、そのような痕はありません。クリアランスなども含めてうまく設計されている感じですね。

◆ 筐体:各種コネクタの位置

コネクタは電源とEther以外は使わないのでなんともいえませんが、Etherはできたら後ろの電源の横にあるほうが邪魔にならないと思います。

◆ 静粛性:HDD, 光学ドライブ, 冷却ファン

HDDをSeagateの新しいモデルに換装したところ、静かで温度も下がりました。右側のパームレストが日立の100GBのときはあったかい感じがありましたが、今はその他の部位と特に買わない温度です。HDDの動作音も気にならない感じで、このHDDはあたりかなと思っています。

光学ドライブは、特にうるさい感じはありませんが、書き込み速度はノートなので遅いですね。これはあきらめるしかないでしょうね。

冷却ファンは常に動作しているようですが、音は大きくないようです。

◆ モバイル:軽さ、ACアダプタやバッテリーなど

軽さは、15インチモデルとしては並だと思います。ACアダプタも特に熱くなるようなことはないですが、特に特徴はないとおもいます。

◆ その他

レスキューCDを作るときにDVDを入れてもCD容量で書かれてしまいました。これはちょっと悲しいですね。おかげでレスキューCDが9枚にもなりました。これだけは減点です。後のユーティリティはどんどん外して使っているのですが、もともと入っているものが少なめなので、あまり気になりません。

自宅のP5BのAtherosのEtherと相性が悪いのか、大きなファイルの転送時にCopyに/vをつけると時々失敗することがあります。これは個体差なのかドライバのせいなのかはちょっと不明です。

◆ 総評

C2D+OpenGL VPUというMobileWorkstationには HP、ThinkPad、DELLと3つの選択肢がありますが、昔ながらのKeyboard配列とTrackPoint付の両方を満たすのはT61pだけですね。17インチはあまりに重く大きいので、車での移動が多いといっても、駐車場から歩く距離も馬鹿にならない環境では無理です。ということで、ほどほどの重さで、かつ3時間くらいバッテリで利用できて、OpenGLの表示時のデフェクトが少ないこのモデルは私の用途では非常に使いやすいです。オフィスでもデスクトップではなくノートで仕事している時間が増えました。これは今まででは考えられなかったことです。

2年使うことを考えて購入しましたが、このノートなら充分一緒にやれそうですね。まずは満足です。ThinkPadでコストパフォーマンスを問うことができるのは新しい経験でした。

------------------------ 2007.11.20 追記 ------------------------

えーと、およそ1ヶ月がたち、冷静に見れるようになってきました。

◆ 液晶の質

Spiderで調整しました。やはり青かったようで、調整後はいい感じになりました。

◆ オーバークロック

Qさんに先を越されましたが、nvidia の169.04にしたところ、nTune でオーバークロックできるようになりました。8700M相当(core 625, memory 800 出荷時は475と702)に上げたところ FFベンチで6167 と6000台にようやくとどきました。

FFベンチ終了後でもGPUの温度は68度でしたので、充分実用に使えますが、バッテリーの持ちはどうなるか不明です(9セルだと普通にプログラムを書いてデバックしていても3-4時間持ちます)。デモの時とかにグラフィックスのスピードアップができるのはいいですね。

3DMark06だと終了時に78Cになりましたが、ファンの音などが大きくなった感じはありませんし、筐体も表側は熱くなっていません。この筐体は熱的にはかなり先まで見越して設計してある感じですね。ゆとりがあります。8800GTのモーバイル版でもクロック次第では入れれそうな感じですね。ただバッテリの持ちは短くなりそうですね。

◆ 総評

スリープが遅いので、三日月マークが点灯するのを待つのは急いでいるときにはいらいらします。
先のレポートにも書きましたが、Etherがスリープの後、時々DHCPでうまくアドレスを取れないで169でスタートするプライベートアドレスになってしまいます。(取れるときもあるので、何が原因かよくわかりません。XPと同じようにする等レジストリの変更も加えてみましたが、うまくいきません。)

この2点だけが減点材料ですね。

あと気になるのは、右のUSBのところにあるLED(USBのパワーインジケータでしょうか?よくわかりません)がスリープ時もつきっぱなし(BIOSにあるUSBのパワーの設定をいじると直るのかも知れません。)

FX570Mは、あまり速い感じはありませんが、描画品質を安定して、いい感じですね。ポリゴン境界の塗り方などは、GeForce系の隙間みたいに見えてしまうような描画とは違い、しっとりと塗ってくれます。デスクトップでもQuadroが欲しくなりますね。ただ、256MBしかGPUローカルメモリがないのはCAD用途としてはちょっと不足かもしれません。もう少し大きなジオメトリ用のメモリが欲しいところです。複数のDisplayListを作って表示を切り替えるような処理にすると、GPU側のメモリが不足するのか、途中で速度が落ちます。

T61pにしてから、Desktopに移動せずにノートのままで仕事をしている時間が増えました。はやり、持ち歩ける環境(キィ入力の快適さも重要)が、一定のレベルに達していると便利だと思います。

このノートで、また2年程は使い続けるつもりですが、ここまで1ヶ月経ったときの感じでは、大丈夫な感じがしています。