Lenovo ThinkPad W700

評価
GPUQuadro FX 3700M
CPUCore 2 Duo
DRAM4 GB
OSVista
投稿者bp5c
2008-10-23 09:16:32
◆ 購入のきっかけと価格
現時点においてパーソナルユースでW700をリーズナブルに手に入れる唯一の機会だった思いますが、モニタープログラムです
結構手をかけてデスクトップPCを改造してきましたが、設置場所を確保するのが難しくなったため、デスクトップリプレースとして購入することにしました
皆さんが書かれているように、モニター価格通りです

◆ 体感速度の変化
既存デスクトップPCがQ9450とRadeon HD 4850なので、劇的な差はありませんが、ノートPCでほぼ最新のコンポーネントで構成したデスクトップPCとそれほど性能的にも差を感じられないのは素晴らしいと思います
もちろん所有しているモバイル機であるX61sやRXとは比較にならないほど速いです
(しかし、X61sにはPatriot MemoryのSSDを入れているため、RAID0構成のW700よりも起動スピードやアプリの立ち上がり等は速いです)
ノート用デュアルコアの最高峰であるX9100を搭載しながらVistaのCPUエクスペリエンスインデックスが5.7というのはちょっと意外でした
(クロックよりも同時に処理できるタスクに左右されるのかな・・・)

◆ 液晶の質
X61sと比較すると比べものにならないぐらいの表示能力で視覚野も申し分ないレベルです。
また、キャリブレーションという行為の重要さを教えてくれる機種でもあると思います。
実際にキャリブレーションの前後では色合いが全く変わり、グラフィック用途などでは結構重要な機能だなと痛感させられます。

◆ キーボード:配列やタッチ
皆さんがThinkpadに惹かれる大きな理由の一つでもあるキーボードですが、当方が触ってきたThinkpad(X20系統、X61s)と比較して最下位のレベルです。
X61sにあるキーをたたいたときの「カチッ」とした重厚感は無く、どちらかというと「カチャカチャ」という軽いキータッチになっていますし、押したときの重厚感が失われている気がします。特に「P」や「@」キーの部分のたわみが特に気になります。
当方X61sレビュー時にウルトラナビ付きのキーボードを購入しましたが、X61sにあるような剛性感と押したときの重厚感が無く、売却してしまいました。このW700も同等の感触で、皆さんがご指摘のようにこのキーボードの作り込みはThinkpadを名のる機種としては残念だと思います。
やはり新設計の筐体なので作り込みが甘かったのでしょうか・・・

◆ サウンド
ノートPCのスピーカーなのでそれほど期待はしていませんが、モバイルワークステーションのステレオスピーカーとして、問題のない音量、音質だと思います。
Bluetoothも付いているので、DVD鑑賞等では外部Bluetoothスピーカーを接続して使用していますが、特に問題はありません。

◆ 筐体:質感や強度、コネクタ配置
W700はTシリーズやXシリーズのようなRollCage等、剛性をあげる機構は採用されているようですが、少なくともキーボードの作り込みを見るとちょっと剛性の確保が甘かったのではと感じてしまいます。
また、あの右側側面手前に配置してある3つのUSBポートの位置はデスクトップリプレース目的でマウス操作をする私には致命的な位置です。
正直マウスのレシーバー等のケーブルのない物ぐらいしか付けられず、USBメモリもあまり長い物は付けられないです。
3Dタイプでコネクタ部分が回転できるUSBケーブルでしのぐことも考えましたが、DVDドライブ側に干渉する可能性や、マウス操作に干渉する可能性もあるため、今は左側側面のUSBポートにUSBハブを付けて対処している状況です。
(右側手前配置のUSBポートについてはX61sでも指摘した内容です)
根本的な解決のためにはドック購入ですが、そのためにあれだけの投資は難しいですね。安くなったら購入しようかと思案中です。
モバイルワークステーションと言う位置づけなので、デスクトップリプレースとして使われる可能性があると言うことを考えなかったのでしょうか。(Bluetooth等を使えと言うことなのかな・・・)
これは当方の趣味ですが、正直X20系統にあったピーチスキンのパームレストが欲しいなぁと思います。(あの触感は心地よかった)

◆ 排熱・静粛性:筐体の温度
CPUとGPUで独立した冷却機構を持つおかげで非常に冷えます。
しかも静粛性も確保され全く不快感がありません。
ハイエンドGPUを搭載したノートPCは廃熱と静粛性のどちらかが犠牲になっているケースが多い中、トータルバランスを考慮した設計がされているのはThinkpadならではだと思います
(その分価格も張るわけですが)
HDDは低発熱の5400rpm320GBが2台がパームレスト左側に搭載されていますが、熱を感じることは皆無です。
発熱と速度のトレードオフをうまく解決する手法としてRAID0という選択をしたのもうなずけます。
DVDドライブはノート用の12.5mm厚のフルサイズですがちょっと音は大きめですね。
DVD鑑賞中に気になるというレベルではないですが・・・

◆ モバイル:軽さ、ACアダプタやバッテリーなど
17インチのPCですので、モバイル性を求めるのは酷です。
ただ、ハイスペックを持ち歩けるという事、特にターゲットとするビジネス分野において商談成立のチャンスを得られるということを考えれば重さは気にする要素ではないかもしれません。
ACアダプタは流石に大きいですね。(X61sの65WACアダプタの3~4個分ぐらい)
バッテリーも9セルで試しにゲームをプレイして放置してみたところ2時間程度は持ちました。

◆ その他
欲を言えばこれだけのスペックを生かせるHD動画のキャプチャ機能や東芝のSpursEngineのような動画特化のプロセッサ等もあると良いなぁという気がしますが、スペース的に厳しいかな・・・(Cellベースなので、旧IBM時代に開発に関与した事を考えると可能性はあるかも)

余談ですが、公式ショッピングサイトはあまり使い勝手が良くないですね。ユーザー登録をしても、ユーザー用の専用ページがあるわけでもなく、何のためにやっているのかよく分からないです。(この点は他社の方が確実に優れてます)
特に製品と周辺機器とのリンクが結構いい加減なものもあり、W700の周辺機器を選択した場合に表示される3つのドックは全てW700には未対応の物が表示される始末です。
購入を思案中の方は注意した方が良いと思います。(ちなみに機種を指定せずにドックカテゴリを表示させればW700専用のドックが表示されます)

◆ 総評
モニター回答が終了したため、投稿させていただきます。(それにしてもレポートのメールが来るのは遅かったですね)
新世代Thinkpadの新規開発品として、これまで既存筐体を流用していたことによる制約が無くなり、妥協のない意欲的なモバイルワークステーションになったと思います。
搭載する機能やスペック的には申し分ありません。
ただし、Thinkpadのアイデンティティーが犠牲になっている感が否めません。あのキーボード、USBポートの位置などThinkpadらしからぬ細かな不満があります。しかし、デスクトップリプレースの位置づけとして割り切っているので、あまり不満には感じませんし、長く使っていく予定です。
後日XPに換装して再度変化等あれば報告したいと思います
しかし、プライベートで買うにはモニター価格じゃないととても手が出ませんね・・・