富士通 LOOX LOOX U/C30N

評価
GPUIntel US15W
CPUAtom Z500
DRAM1 GB
OSXP
投稿者伊織
2009-01-25 19:57:24
◆ 購入のきっかけと価格
 とにかく小型軽量、スタミナのあるフル機能PCが欲しかったので。
 X61のレポートの際にも書きましたが、旧LOOX-U(U50XN、Vistaモデル)は所有していたことがあり、その小ささに存在意義を見いだしていたので、それとの比較もあります。

 X61の時にも『新幹線のテーブル』を基準にしていましたが、『N700系以外の新幹線のテーブルに”飲み物と一緒に”無理なく置ける』サイズとなると、現行機種ではこのシリーズか工人舎のSCシリーズ、あとはEverunNoteがぎりぎりかな、といった具合です。
 SCシリーズはキーボードのキーピッチが狭いことと、大容量バッテリーでもスタミナに不安がある(公称6.2時間)こと、そして何よりも、液晶の縦解像度が600ドットしかない(昨今は普通のWebサイトでも縦768ドット以上が前提となるサイトがちらほら……)ことがマイナスでした。
 EverunNoteの性能はすばらしいと思いましたが、SCシリーズと同様の液晶解像度の問題と、『熱い』『うるさい』『スタミナがない』『代替ACアダプタが存在しない』という評判を、このサイトを始めあちこちで見ていたので、モバイル機としては真っ先に候補から落ちました。最大の理由は『地方では現物を見てから買えない』ことでしたが(笑)

 富士通WebMart経由で代引き購入し、大容量バッテリー+天板色カスタマイズで、7万2千円でした。


◆ 体感速度の変化
 Atom/1.33GHzということで、旧LOOX-U(A110/800MHz)と比較するとCPU自体の速度は落ちている(SuperPI 104万桁で1分38秒>1分53秒)のですが、SSD(SAMSUNG MCBQE32GEMPP-01A、32GB)に換装しているので、体感速度としては旧モデルと大して変わりません。
 旧機種では何とか完走していたFF11ベンチが、低解像度でも完走できなかったのは意外でした。ビデオドライバの完成度が低いという噂があり、3DどころかDirectXを利用する2Dゲームでも動かない物が多々あるので、それが原因ではないかと思いますが。

 ただ、それでも普段使う分には何の問題もありません。初代PSのエミュレータも走らせてみましたが、FF7やグランツーリスモ2を動かした限りでは、実機と遜色ない動きをしてくれました。


◆ 液晶の質
 このサイズでWXGAというのが最大の魅力です。タッチパネル採用の割には映り込みも押さえられていると思います。
 輝度はやや低いように思えますが、ある程度上げれば外光にも負けないぐらいになるので、あまり不満は感じません。


◆ キーボード:配列やタッチ
 いわゆる『変態キーボード』です(笑) ただ、旧モデルに比べるとキーの数が10個ほど増えているので、不評だった『カーソルキーがFn併用』などの点は解消され、普段使うキーはほとんどFnなしで入力可能となっているので、旧モデルに比べれば大幅に満足度は上がってます。
 これ以上のキー数の増加は、キーピッチを犠牲にすることになる(現状でまともな入力が可能な最小サイズだと思います)と思うので、筐体サイズを考えれば精一杯だと思います。


◆ サウンド
 モノラルですが、スピーカーがヒンジ横に上向きについている分、X61よりはましです(笑)
 ヘッドホン出力端子もありますし、Bluetoothも内蔵していますので、不満ならそちらで補なってほしいという意味だと思っています。


◆ 筐体:質感や強度、コネクタ配置
 富士通のタッチパネルPCはけっこうかっちり作られている事が多いようですが、この機種も例外ではなく、回転させるために遊びが必要な液晶ヒンジ以外は、かなりしっかりしています。タッチパネル機共通だと思いますが、ヒンジが堅いので片手オープンは不可です。
 ポートリプリケータの端子と併用のため、LAN/CRTアダプタを本体正面に接続する必要がある点以外は、必要最低限の拡張性が確保されているので、この機種の位置づけを考えれば、特に不満はありません。LANはUSBタイプのアダプタを別に購入して解決しています。

 タッチパネルモデルということもあり、液晶周りにカスタマイズ可能なボタンが多数配置されている点や、このサイズにもかかわらず『Fn併用ではないボリュームスイッチ』『無線ハードウェアスイッチ』が存在する点、旧機種では存在しなかったストラップホールが用意されている点など、かなり真剣に考えて作られたモデルだと感じています。
 あと、旧機種よりはねじの本数が多くなりましたが、HDDの換装は相変わらず底面のふたを外すのみで行えます。


◆ 排熱:筐体の温度
 ここが旧機種からの最大の改善点だと思います。
 Atomの中でも低消費電力なZシリーズを採用していることもあり、普通に使っている分にはファンが回ることはほとんどありませんし、回っても用が済んだらすぐに止まります。回り出すとなかなか止まらなかった旧モデルとは大きく異なります。

 冷却ファンの排気口が底面にあるので、置く場所には注意が必要です。


◆ 静粛性:HDD, 光学ドライブ, 冷却ファン
 前述した通り、冷却ファンが回る頻度が大幅に減ったので、旧機種よりかなり静かに感じます。
 SSDへの換装もしているので、これ以上の静粛性を求めるにはファンレスしかないですが、ファンレスには何となく不安を感じるので、現在求めうる最高クラスの静粛性を実現しているのではないかと思います。


◆ モバイル:軽さ、ACアダプタやバッテリーなど
 無線を切っていれば実働でも8時間以上使える大容量バッテリーを装備しても、700gを切っています。底面積の小ささと相まって、フル機能のPCとしてはこれ以上ないモバイル性能を持っていると思います。SSD換装済みなのでラフに取り扱っても安心です。

 本体が小さい分、決して大きくはないACアダプタが、大きく感じられます。あとモバイル性を考えるのであれば、LaVieやVAIOのモバイル機にあるような、ウォールマウントプラグを添付してもらってもいいような気がします。私は秋葉原のFIRSTPOINTで購入しました(^^ゞ


◆ その他
 SSDに換装しましたが、64GB以上のSSDでないと付属のリカバリディスクは使えないようです。私は元のHDDからTrueImageでHDDイメージを吸い出し、SSDに書き戻すことで解決しました。出荷時のHDD使用容量が約6GBと少なめのため、書き戻しの際の領域サイズ自動調整も問題なく行ってくれます。


◆ 総評
 まったくもって3Dには不向きな(というかまともに動かない)機種ですが、モバイルするにあたってはこれ以上ない機種だと思います。無線WANモデルで常時接続可能にするともっと用途が広がったかもしれません。
 購入直後にVAIO-Pの情報がちらほらと出てきましたが、キーボードの使いやすさと横幅がトレードオフになっている(その分液晶の横解像度も高いですが……)ので、用途を考えればこちらでよかったと思っています。なんといっても、『デフォルトでXP搭載』なのは大きなアドバンテージです。

 これからも筐体サイズの大幅拡大を行わず、熟成を図っていって欲しいと思いますが、AtomのZシリーズ後継モデルはWindowsをサポートしないという噂もあるので、今買わないと同等のPCが購入できなくなるかもしれないのが、残念ではあります。