①EeePC901-Xからの世代交代
②Atom+Geforceの奇抜な組み合わせに対する好奇心
③N10Jcの評判が案外良い
上記の3つの理由で購入。値段は送料込みで51500円程度でした。
■レビューにあたって
N10JbはスイッチャブルグラフィックスというASUS独自のシステムにより、
Geforceとインテルのオンボードに切り替えることができますが、私は
既に「EeePC901-X」を持っていますので、下記全てGeforceを稼動
させた状態でのレビューとなります。
CPUはASUS独自のツールにより、1.66GHz→1.74GHzに上げた状態で調査しました。
◆ 体感速度の変化
901-Xと比較すると若干マシな程度で、劇的な向上はありません。
しかし、GPUを要する動画やゲームとなると断然体感差が違います。
■Fantasy Earth Zero
○EeePC901-X
軽量化パッチをすべて適用し、設定をすべて最低にして、やっと僻地で少しは戦える程度です。勿論16bitで解像度も最低にしなければなりません。
上記の作業を終え、ゲームでグラを見ると、かなりひどい見栄えになっています。
デフォルトでやると僻地の歩行でもコマ送り状態で掘り程度しか役に立たないでしょう。
○N10Jb
軽量化パッチは当てずに設定を低めにしても僻地での戦闘はスムースですが、短い間隔でカクッとカクつきます。密集地だと、ややコマ送り状態になりまともに戦うのは難しいでしょう。
■WarRock
○N10Jb
設定を低めにすると移動はスムースに動きますが、銃撃戦になるとややカクつきます。FPSにとっては致命的です。
以上から、このマシンのCPU性能が最大のボトルネックになっていることは周知の事実ですが、CPUの性能によってここまで体感差が出るとは思いませんでした。
それに加え、体感速度が速くなったり遅くなったりと、本当に奇抜なマシンだと改めて感じました。
FEZは3DゲームのなかでもCPUの要求が高いゲームですので当然の結果であり、FPSにおいてもCPUの性能は、エフェクト処理に使用されますので私の用途にも問題ありですが、恐らく少し昔の3Dゲームなら設定を落とせば特にストレスなくできるのではないかと思います。
すくなくとも私はメモリやHDDを換装せずにレビューしていますので、CPU以外のアラを探すのもアリですね。
◆ 液晶の質
901-Xより発色がよく、見やすくなっています。
ただ画面の周りの枠がでかすぎる気が・・。12インチにできるくらい、枠が大きいので少しもったいない気がしました。
◆ キーボード:配列やタッチ
901-Xに比べてかなり良くなっております。
キーボードのサイズは一般的なノートPC並みの大きさを確保。
配列もそれほど気になりませんし、タッチ感も適度なやわらかさで良好です。
◆ サウンド
ミニノートにしてはなかなか良いと思います。
SRSプレミアムサウンドというソフトが初期からはいっておりますが、これによって
音質にエフェクトをかけることもできるので音にもやや凝っています。
◆ 筐体:質感や強度、コネクタ配置
天板はゴールドど呼び難い、少し地味な色です。同時にエレガントな演出を
醸しているので悪くはないです。開くと、液晶周りの枠がかなり目立つのが
欠点・・
強度もしっかりしています。
◆ 排熱:筐体の温度
パームレストがほんのり暖かくなる程度です。負荷をかけるとキーボードも
ほんの少し暖かくなりますが、それ以上にパームレストに付着する手の面積の方が
大きいので、さほど気になりません。
排熱は負荷がかかると、ゆっくりと息を吹きかけるように温風が噴出します。
GPU-ZでWarRockをプレイ後、GPU-Zで温度を確認すると59℃でした。
排熱はなかなか優秀かもしれません。
◆ 静粛性:HDD, 光学ドライブ, 冷却ファン
このあたりはAtomの見せ所を感じました。単独GPUを搭載していても静粛性は901-Xとほとんど変わらない程度です。
901-Xの静粛性を★★★★★とすれば
XPS M1330 | ★★☆☆☆ |
N10Jb | ★★★★☆ |
くらいの静粛性はあります。
アイドル状態では、ほとんど音がなく、オフィスワークにも適しています。
外に携帯しない時は、常にGeforceを稼動させていても問題ないと思います。
ちなみにCPUをOCするとファンが回りやすくなりますが、それほど差はありません。
HDDは容量160GBと、最新のネットブック並みの容量を備えていますが、速度は
イマイチかもしれません。
静粛性は問題ないですが、SSDや高回転のHDDに換装することで、更に体感速度がパワーアップする可能性は高いと思います。
◆ モバイル:軽さ、ACアダプタやバッテリーなど
901-Xよりは重いですが、家庭用:外出用=7:3の割合で使用する程度であれば
むしろ十分許容できますし、持ち運びに苦労する程の重さでもありませんので
さほど気になりません。
重量より、もう少し小さくしてもらえたら・・・
◆ その他
メインメモリを2GBに換装
HDDを評判の良いSSDに換装
外部ツールで2.0GHzにOC
グラフィックスドライバを最新に
上記の4つを行うことで、さらに体感速度が向上する可能性があります。
ネットブックではない奇抜なネットブックとしての範疇であることは否めないものの、これからどれだけ向上していくのか楽しみでもあります。
■N10Jc?N10Jb?
Geforce G105Mは9300MGSの高クロック化版の位置づけですが、どちらもGDDR2であるうえ、メーカー側がクロック数をいじっているのか、クロック数も両機種とも全く同じです。
ですのでN10JbもN10Jcもグラフィックス性能はほとんど変わりません。
唯一指摘するとすれば、G105Mのディスクリートメモリは9300MGSの倍の512MBの容量を備えている点でしょう。
とすれば、クライシス等のディスクリートメモリをたっぷり必要とするゲームは、N10Jbの方にアドバンテージがあるでしょう。
しかし性能はあくまで9300MGSと同じですし、ディスクリートメモリをたっぷり要するゲームのほとんどはローエンド程度の性能のGPUでは通用しませんので512MBの容量があったところで大した意味はないのではないかと思います。
最も軽めの3Dゲームを対象とするN10Jシリーズで高負荷なアプリケーションを利用すること自体、愚の骨頂かもしれませんが。。。
現状ではドライバが熟成しているN10Jcを選択するほうが賢明かもしれません。
N10JbにはASUS独自のオーバークロックツールをサポートしている点も嬉しい特典ですが、N10Jcでも公式からダウンロードして使用することは可能のようです。(但しその場合は自己責任でサポート対象外ですが)
◆ 総評
価格.comの口コミによると、N10Jcに比べ、不具合が散在しているようですが、
当方のN10Jbもその兆候が・・
デフォルトのスペックではCPU以外は換装によって改善の余地が十二分にあります。
勿論その場合は、保証対象外になりますが、ネットブックに毛が生えた程度の位置づけであるN10Jシリーズには単独GPUを搭載していることが、非常に大きな強みです。
とすれば、メモリやストレージ等、他のハードウェアも換装し、最強のミニノートに仕上げるカスタマイズ面での楽しみを与えてくれるのが当機種の最も大きな魅力なのではないのでしょうか?
今後、換装によって体感速度にどれほどの変化があったか後日またレビュしたいです。