ヒューレットパッカード EliteBook 8560w

評価
GPUQuadro 2000M
CPUCore i7
DRAM16 GB
OSWin7 x64
投稿者totsumiura
2012-02-27 23:40:02
◆ 購入のきっかけや価格

ここ1年はスマホに浮気。気づけば2011年だけでスマホ11台も買っていました。
去年はノート関連のレポートをすることがなかったので、今年は早いうちに何かレポートしようと思い、書かせていただきます。

購入までいろいろあったのですが、簡単にVAIO Z以降の流れに関してご説明します。
VAIO Zは完全にしまい込んだ状態で、ThinkPadだけをほとんど使っていました。
X200s→X201s→T420siとつないできて、これを自分ではメインPCとして使ってきました。ところが年末にT420siで使っていたSSD(Crucial REAL SSD C400)が認識しなくなり、システムがクラッシュ。HDDに付けかえて運用するも、純正の320GBではやはりストレスのたまる体感速度で、我慢できなくなりIntelのSSDに入れ替え、これは事なきを得ます。
が、Core i3+NVS4200Mであることで、今度はA列車9でパワー不足に陥り、そもそもの存在を不満に思うようになりました。
そこで、ほとんど使っていなかった(というか、全く使う予定のなかった)VAIO Zを引っ張り出してメインに据え付け、代替機を探すことにしました。
まあ、こういう状態なので、ドスパラかマウスぐらいしか選択肢がないのではと思ったのです。どうせ今後はZを持ち出し用のPCにするので、据え置きの型落ちでいいかなと考え、とりあえずFHDで予算内(T420siの売却資金+2万程度)に収まる程度で、なおかつ一番ハイパワーなものを探すことにしました。(もっとも、別にT420siを使えばいいだけで、全く急ぎではないのも付け加えておきます)

その後、閉店間際の某地図の店頭で、この8560wを発見。あまり確信を持てなかったので、その日は帰ることにしましたが、このモデルが現行品で、メモリスロット4本あることが発覚し、さらにQuadro2000Mを搭載していたことで、そのまま興奮状態で徹夜し、翌日朝一で地図に入り購入に至りました。
価格は74,800円。あとはメモリが標準4GBなので、拡張メモリの4GBを1本。家に帰ってT420siからメモリを引っ剥がして合計16GBにしました。SSDも同じく引っ剥がしたIntelの80GB→Real SSD C400 128GB(復活させました)に変更。バランスはなかなかいいと思います。

T420siが66,000円で売れたので、目標としていた2万以内の機種変更が出来ました。
初HP、初モバイルクワッドコア、初メモリスロット4本機種と、10年に一度ぐらいの衝撃的なモデルを買ったと思います。

現在のスペック
Core i7 2620QM(2GHz)
DDR3-1333 16GB(4GBx4)
Real SSD C400 128GB
BD-RE
15.6インチ FullHD液晶
Quadro 2000M (2GB)
無線LANやその他は省略します。

◆ 体感速度の変化
通常処理ではほぼ何をやってもパワー不足になることはなく、出来ないことは最新の3Dゲームぐらいです。とはいえFHDでA列車9の高設定は厳しく、一部エフェクトをカットして、なんとか30fps確保しています。

◆ 液晶:輝度、視野角、発色の印象など
IPS液晶という情報があったのですが、どうも標準のノングレアFHD液晶のようです。
可もなく不可もなく、よくある液晶です。VAIO Zの液晶が鮮やかすぎて困ります。コレばっかりは比べるものが違いすぎると思います。
視野角はそれほど狭くはないのですが、今やスマホやタブレットもIPS液晶搭載だったりするので、その辺に比べて見劣りする感じはあります。ノートPCとしては普通でしょうか。
また、輝度も十分ではあるのですが、割に明るさセンサーが働いていても非常に暗いままで、明るさセンサーを切ったりしないとまともに使えなかったりするのが難点かもしれません。
同クラスのモデルはほとんどがグレアパネルということもあり、そういう点では高評価です。

◆ キーボード:配列やキータッチ、タッチパッド
日本語のアイソレーションキーボード。マニュアルによればバックライトキーボードらしいのですが、ライトがつきません。これは大した問題ではないです。
なぜThinkPadを買い換えようかと思ったのかというと、タッチパッドの他にポインティングデバイスがあることが決め手になりました。
ThinkPadのキーボードとしてはX200sや、その前となるとX2*のキーボードが好きでしたが、案外今回のアイソレーションキーボードは打ち心地がいいことに気づきました。
似たような感じにたとえるとMac系なのですが、僕の好みだけで判断するならば確実にこちらの方が上だと思います。メカニカルキーボードにも若干似ているキータッチかもしれません。
ただし、十字キーの上下のように、かなり無理をして配置している部分もあり、このあたりはテンキーが変わりになるということなのだと思いますが、それにしてもあまりにひどいサイズの違いがあります。
キーに指が引っかからないのが、ポイント高いです。普段VAIO Zを使うようになってからこの指の引っかかりに結構苦労しているのですが、それがないだけで快適になるものだなあと。
タッチパッドは3ボタン。これはポインティング側も変わりません。すべて同じぐらいのサイズで、真ん中のボタンがやたら大きく感じます。かなりの頻度でクリックミスをしてしまうので、これはあんまりいいものではないですね。

◆ サウンド:音楽CDの印象や音割れの有無など
音ですか。う~ん、毎度僕のレポートはここに苦戦をするのです。フロントのパームレストあたりから音がでていますが、結構いい音します。さすがにステレオスピーカーです。筐体の割に左右非対称な位置ですね。
比べるまでもなくALTECスピーカーを採用しているコンシューマー向けと比べてはいけません。あっちよりは明らかに劣ります。サイズの割にはVAIO Zと大差ない音量しか出ないのも気になるところです。まあ、そもそもCADとかOpenGLの処理にスピーカーは必要ないでしょうけどね。
(ちなみに紹介ページによると、音もウリの一つなのだそうです。)

◆ 筐体:質感や強度、コネクタ配置
ボディは天板はアルミニウム合金、基本フレームにはマグネシウム合金を採用していることもあり、昔のVAIO 505を彷彿とさせる銀パソ的な感じがあります。この辺はこだわりを感じますね。
余談ですが、キーボードの部分を除いては鉄。そのキーボードの裏側にメモリスロットが2つあるのですが、取るためにはキーボードを力任せに背面から押してやるという何ともスリルたっぷりな仕様になっています。はずすためにはかなり力を入れて押し込まなければならず、キーボードが反り返るぐらい押します。フィルムケーブルが筐体につながってることを考えると、どうしたものかと思いますね。背面はドライバーレスということで、レバーを押し込めばOKです。メモリスロットが2つ、光学ドライブスロットにHDDユニットがこっち側で交換できます。まあ、本来はこっち側しか開けないものなのでしょう。
コネクタは、画面向かって左奥よりケンジントンロック、LANコネクタ、Display Port、eSATA/USB、USBX2、モデム。さらに下部にEXPRESS Card54スロット。フロントにSDカードスロット。右側奥よりVGA、光学ドライブ、USB3.0x2、マイク/ヘッドホン端子となります。背面はACアダプタ口のみ。
左右にバランスよく振り分けてあるのですが、個人的な観点だけ考えるとモデムはもういいんじゃないかと思ったりします。
地味にUSB3.0が、手持ちのケースでは相性で使えないといった残念な点あります。搭載チップはNECルネサス製です。同じ型番のDTだと大丈夫だったりするのですが。
全体的にスリムタイプ。VAIO Zの全体の薄さが、筐体の下半身と考えるとちょうどいいぐらいです。国内メーカーで同様のモデルとなると、やはりVAIO Fぐらい。最近の15インチLATITUDEもこのぐらいのサイズだと思いました。

◆ 排熱:筐体の温度
これは筐体がデカいので、軽量化するためにはボディの素材自体を軽いものに、かつ強度が必要ということで、マグネシウム合金が使われていますが、そこからの放熱も計算されているとすればなかなかスゴいですね。
それはそうと、筐体が熱くなることはほぼないです。A列車9を放置して1週間テストしてみましたが、冷却ファンが左後についているのですが、この辺を除けばほとんど熱くなりません。
むしろこの時期はパームレストをさわってる手で、筐体が暖められてしまいますね。

◆ 静粛性:光学ドライブ、冷却ファンなどのノイズ
いや、これは筐体サイズを考えればずいぶん静かだと思います。が、残念ながらGalleria GTよりうるさいかもしれないです。
スペックを考えるとかなりの薄型。それでいて轟音じゃないモデルは基本的にないと思います。
個人的にはVAIO Zと大差はないですが、それほど頻繁に回ることがなく、高負荷テストの時のみ全開といったような感じでした。
通常使用ではまず回りませんので、それはうれしいですね。

光学ドライブはBD-REに交換済みなので、純正がうるさいかどうかは不明です。

◆ モバイル:軽さ、ACアダプタやバッテリーなど
カタログスペック上では3キロ弱なのですが、かなり詰まっているので、非常に重く感じます。
バッテリーは割と4時間程度持つぐらい。これでも容量は8Cellなので、7000mAhぐらいはありそうだと思います。(時間があまりないので調べてません)
ACアダプタは230wタイプ。巨大ノートではおなじみのサイズです。なので、ACまで含めると明らかに4キロをオーバーします。
快適さと重量はトレードオフだと思っていますが、背中に背負うにはいいサイズ。肩に掛けるには確実に肩をやられるサイズです。

◆ その他
拡張という点ではもう1台HDDがつくとうれしいのですが、背面パネルを開くと耐ショックなどにその辺が振り分けられており、基本的に光学ドライブを入れ替えるしかないのかなあと思ったりしています。(どうせほとんど使わないので)
細かいところでは、SDHCに若干相性があるようで、トランセンドの少ない容量のものは、なぜか読めない謎があります。いずれも純正アダプタをサンディスク製のものに変えたりすると動いたりするのですが、未だにUSBがらみの相性が特に記録メディアやメディア制御チップなどにあることに疑問を感じます。
有象無象あるものを対象にしてる以上は、かなり厳しいでしょうが、規格が開示されているのにこうなってしまうことはよくわからないですね。
DELLの65wACアダプタで起動可能でしたが、高負荷がかかるとACが壊れるというがありました。
想像ですが、Precisionなどの大容量ACで利用すれば問題ないのでしょう。

◆ 総評
非常に高いレベルにまとまったスペックに、高級感あふれる総合金ボディ。無駄がないという意味で「エリート」を名乗るだけあるモデルです。正直な話、これだけハイエンドなPCを買うと、毎回用途を考えることが多いのですが、値段がミドルエンドレベルで、このスペックなので、普通に使うぐらいしか思いつかないです。
十分に満足出来るPCですので、この値段で販売されていれば、何も考えずに買ってしまっていいでしょう。

元の金額をベースにした場合として考えると、正直モノはいいのですが、この値段ではそもそもワークステーション用途で、よほど予算のある方で、HPへの信頼度が高くない限りは購入しづらいのではないかと思います。プラスアルファに10万近い価値を見いだせるかどうか。

少々主旨から外れることではありますが、それだけの価値がありながら、Webサイトではわからないことが多すぎで、実機を触ってわかる価値だけでは、今は売ることが難しいのではないかと思います。どうせ同じモノなら実機が触れられるThinkPad W520(T520)買うほうが安心出来るというのは、人の心理として当たり前のことではないでしょうか。(もっとも、所望する用途は限られるのだから、コストを掛けないで売るというのは、当たり前の話ではあります)
過去にDELLなどでも同様なことがあり、その後家電量販店などで展示され、一時期はリアルサイトで企業向けPCなども見せてもらえることがありました。HPは企業向けPCこそ割と量販店で投げ売りされることはあれど、そのものの展示は聞いたことがありません。

ともかく、割とハマる方というのは少ないかもしれないです。最近も某地図で売っていたので、現物を見られるなら、一度見てから購入する事をおすすめしたいと思います。