Alienware M17x レビュー

Alienware M17xのレビュー。  >> このレビューの判断基準

 → Alienware M17x 詳細&ユーザーレポート
 ⇒ Alienware M 17x

まえがき

デルの高級ゲーマーズモデル。アメリカではかつては独立したゲーマー専用PCメーカーだったAlienwareをDELLが買収し、いまはDELLのゲームPC部門を担当するブランドです。その名の通り、宇宙人をモチーフにした奇抜なデザインと派手なLEDイルミネーションが特徴です。

alienware_intro1 Alienware M17x_intro2

評価

価格は変動する物としてあまり考えず、ハードウェアの素の状態を採点します。

  評価 ○ 良い点  × 気になった点
筐体 評価 2 ○ イルミネーションは綺麗だが、最初だけかもしれない
× 天板が重い、角が尖っているのでFPS体制だと左手が少し痛い
キーボード 評価 4 ○ ストロークはいい感じ、気持ちよく打てる
× 好き嫌い分かれそうなラバーな感触
排熱 評価 4 ○ 膨大な熱が出ていそうだが、パームレスト温度は維持
× ただしキーボード裏から熱気が上がってくる
液晶 評価 4 ○ 発色、コントラスト良好、視野角も広い
× 映り込みが遠慮無いことと、下部からの光漏れ
騒音 評価 3 ○ 性能を考えると静かな方か、9400Mとの使い分けが効果あり
× それでも50dBA前半まで落ちることはなく、基本的にうるさい
ソフトウェア 評価 3 ○ プリインストールはさほど多くない
× リカバリ後、謎のトラブル発生×2
性能
モバイル
評価 5 ○ 文句なし。9400Mに切り替えである程度のバッテリー駆動も可
× SLIが有効なタイトルは限られる
総合  4.0 /5 この仕様だと騒音はやむを得ず。それ以外でカバーして総合的な魅力を上げて欲しいですが、動作が不安定なソフトウェア面と、いまいち使いづらい筐体が点数を引き下げます。価格的には4.5ぐらい確保して欲しいですが、評価はぎりぎりの4.0。

スペック

GPUGeForce 280M×2, GeForce 9400M G
CPUCore 2 Extreme Q9300 2.53Ghz
ChipsetnForce 730i
メモリDDR3-1333 4GB (2GB*2)
HDDWD35 00BJKT-75F4T
NetworknForce 10/100/1000 Mbps Ethernet, Broadcom 802.11n

筐体

引っかかった点を箇条書き

 • ライバル機種と較べて圧倒的な重さ(質量)
 • ヒンジが固めの上に天板が勢いよく閉まりすぎ
 • 前縁の角が尖っていて手が痛い
 • 左側が配線で混雑しやすい、物が置けない

ヘビー級ノートは色々見てきましたがこれはズバ抜けて重いです。最小構成時 5.3kgですが届いたモデルを体重計で測ると5.6kg。Alienwareより筐体が大柄なdynabook WXW/79HWでも4.3kg。巨大な銅製ヒートシンクでも入っているのかもしれません。

重さは据え置きならほとんど問題にならないと思いますが、重さより日常的に気になるのが天板の開け閉めが大変なこと。ただでさえヒンジが固めなのですが、ヒンジにバネでも入っているのかと思うほど勢いよく閉まります。壊れそうなのでゆっくり閉じようとすると結構な力がいる上に面倒とあって減点対象です。

3つ目の前縁が尖り具合は普段使いではたまに気になる程度ですが、長時間プレイしていると気になってきます。4つめの配線については次のポートの項目で。

alienware筐体3

alienware筐体1

alienware筐体2

各種ポート

今回のインターフェイス撮影では我が家のInspiron 9400、ThinkPad W700と比較。重い順に下から積んでます。

使いやすい順に並べると以下の順。
  使いやすい ← Inspiron 9400 Alienware ThinkPad W700 → 使いにくい

W700はUSBが右手前という一番邪魔になるところに3基が塊になっているというイマイチさ爆発のポート配置ですが、Alienwareは右中程に2基、左に2基とまずまず普通。難点は背面が排気口で占められ、映像端子類やEthernetが左に集中。左側に線が集中しがちで若干使いにくい。左のUSB2基が縦に密着して2列なので、幅のあるUSBメモリなどを挿しにくい点もマイナス。

前面 前面
右側面 右側面

左側面 左側面
背面 背面

キーボード

表面はラバー調。自転車のタイヤチューブのスルスルした表面に似ており、指が引っかかるような感じはありません。それより気になるのは、手に汗かいた時に跡が残る点でしょうか。軽く拭いても消えないのでちょっとやっかい。

キータッチはラバー調ゆえの若干の違和感が最初ありますが、すぐ慣れました。キーストロークの抵抗は柔らかい感じながら、へなへなした感じはなく個人的にはとても気に入った感触。

‘たわみ’は軽度にありますが、気になるほどではなくこの文章を書く段になって「そういえばたわみあったかな?」と確かめる程度のたわみです。キーストロークが良い感触なので気にならないのかもしれません。

もう1点、熱に触れる必要があるのですが後の排熱コーナーに回します。

キーボード

タッチパッド タッチパッド表面

キーボードは良いのですが、逆に全然なってないのがタッチパッド。パームレストとの境界がシームレスなタイプですが、手先が乾いていると感度が非常に悪い。ボタンも左右のボタンが独立していない一枚構造のシーソー式で押しにくい。

「パッドはどうせ使わないし」という人も多いと思いますが、緊急避難的に使うこともあるので最低限の使いやすさはキープして欲しい。ハイエンド機なのにこのボタンは無いだろと。タッチパッド機能はタスクバーを触ることなくFn+F12で無効にできます。マウスを繋いだ時に自動オフにする設定も可能。

サウンド

スピーカーは左右手前にありますが音質はいまいち。薄型ノートよりはいいですが、籠もった音で抜けが悪いと言えばいいか。低音もインパクトがないので迫力で誤魔化せず、ゲームでは物足りなさを感じます。WXWはサブウーファの低音があるので迫力があり、ゲームサウンド比較ならWXWの方が満足度は上です。

スピーカー

液晶

ハードウェアID SEC5443

発色、コントラスト、視野角いずれもまずまず良好。欠点としては輝度のばらつきと底辺からの光漏れが挙げられます。でも平均的なパネルよりは上です。

液晶正面 液晶正面

上下視野角 上下視野角

左右視野角 左右視野角

輝度

輝度の偏りがあります。下部より光り漏れ。左は正面から、右はやや前に傾けての見え方。

光漏れ正面光漏れ傾け

光沢のため映り込みもあります。ゲームの合間などふとしたときに目の疲れを感じる犯人。暗いダンジョンだと特に気になるか。

映り込み

78 90 78
96 112 94
124 133 120
AVG 102.8

騒音

GPUのスイッチ機能のおかげで、GeForce 9400Mにすることで静粛性が高まります。とはいえ、アイドル時でも50dBA後半というのはあまり静かとは言えない。冷却ファンが3基もあることもあり、3D負荷時は75dBA近くまでうるさくなる爆音設計です。GPU構成が違うとはいえ、この辺の低ノイズ性能はThinkPad W700に完敗です。

騒音1 騒音2 騒音3

発熱

冷却ファンは3基。パームレストは不快な熱はもたずに維持。キーボード裏からはムンムンと熱気があがってきますが、キー自体はラバー素材のおかげもあるのか、あまり熱くならず。ゲームプレイ中でも40度オーバーにはなりません。30度台半ば、人肌程度のキーがほとんどです。キーの隙間を狙って測定すると40度を超えます。

3つの冷却ファン 筐体の熱2

ソフトウェア

うちに届く前に誰か他の方がレビューに使っていたそうですが、届いた時点でコントロールパネルの一部が開かなかったり、Windows Update画面が出ないという不具合状態で到着しました。工場出荷リカバリで収まったのですがいくつかソフトを入れると再び発症。

再度リカバリし、今度は慎重に1つ1つ確認しながらインストールやUpdateを実施。無事全部インストールが完了し、なんともないなぁと安心した2,3日後、再び発症。レビュー機だけのトラブルであればいいのですが、とりあえず本機に関してはこの不安定さはマズイ。

下記のような事例もあるようですが、Vistaでリカバリしても再発するので対処法は試してません。
 → コントロール パネルが開かない

これもレビュー機だけの仕様かもしれませんが、リカバリのたびにキーボード設定が英語配列になってしまいます(@を打っても@が出てこない)。直せばいいのですが、初心者の人にはこの作業は結構難しいのでは。

下はリカバリ直後のインストール管理画面。セキュリティソフトの体験版さえ入っていません(その代わりノートンのDVDが同梱されてました)。右上にあるのはAlienware管理ユーティリティ。ゲームPCはこれぐらいすっきりしている方が良いです。

ソフトウェア1

入っているソフトの数は少ないのですが、Alienwareの顔認証機能は使う気がない場合も登録手順を踏まないと消えてくれないのは不便。他の常駐ユーティリティ群もそうですが、ヘビーユーザー率が高いと思われるモデルだけに「使わない」という選択肢を用意しておいて欲しいです。

ソフトウェア

性能

時間が限られていたこともあって、あまりやってません。もうちょい追記しますが、性能は間違いなくトップクラスで、おかげさまでBattleField HeroesのWUXGAプレイで最高スコア、キル数をマークしました。

ACアダプタ

大容量タイプとしては珍しく薄い。でも面積の大きなACアダプタ。質量は1kgオーバー。そんなに熱くはなりません。出力は確認し忘れました。教えてもらえないかお願い中。

ACアダプター 質量 ACアダプター 温度

ACアダプター 質量

BIOS

オーバークロック設定とグラフィックの設定が特徴的。今回は時間無かったですので、ほとんどいじってません。

BIOS1 BIOS2

GPU-Z

当たり前ですが、GPUを切り替えるとGPU-Zの表示も変わります。肝心の9400Mのスクリーンショットを撮り忘れ。

GPU-Z

CPU-Z

Quadコア。Dualコアでは動作クロック3Ghzオーバーも存在しますが、Quadのクロックは低めになっています。

CPU-Z
 Mainboard   / Memory   / SPD

消費電力

3DMark06測定中の消費電力 MAX 227Wというのは歴代レビューの最高値を記録。内蔵GPU(GeForce 9400M)のアイドル時は35W前後まで落ちます。ここまでは液晶の輝度最大での値。輝度を最低まで落とすと約6W下がります。

消費電力1 消費電力2 消費電力3

Windowsエクスペリエンスインデックス

Windowsエクスペリエンスインデックス

あとがき

この高価格帯モデルは「少々無理してでも買って良かった」と言えるだけの満足度が欲しいですが、ソフトウェア面での3度の不具合発生と扱いにくい筐体が評価を引き下げてしまいました。

SLI機なので静粛性が犠牲になるのはやむを得ないですが、できれば「GeForce 280M」単騎の非SLI構成で、もう少しお手頃価格、静粛性も上なモデルを用意してもらえるとありがたいかなと。

 ⇒ Alienware M 17x

蹴茶 3Dゲームをノートで