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東芝、WesternDigitalから3.5インチHDD製造設備を取得
そうきたかと思わせるニュース。2.5インチHDDがメインの東芝。一応富士通から買収した資産などで3.5インチも若干手がけていましたが、今回の買収により『コンシューマ製品向け3.5型HDDを加える』ことになります。
→ PC Watch: 東芝、WDの3.5インチHDD製造設備を取得, WDへタイの製造拠点を売却
HDD業界はリーマンショックを機に儲からないHDD事業の売却が相次ぎ、Seagate・WD という圧倒的な2強+東芝という寡占状態へ移行中です。
Samsung → Seagateに事業売却
日立GST → WDに売却(まだ認可待ちで買収は完了していない)
需要面ではSSDがカバーできない外付け大容量用途や、クラウドのようなサーバー向けを中心に今後も需要は伸びると予想されています。(日本HDD協会2012年1月セミナーより)
供給が寡占化し、需要が伸びれば苦難の3.5インチHDDにもついに春が。東芝が3.5インチ拡充を検討しても何も不思議ではないですが、さらに渡りに船なのが欧州委員会からWDに一部資産の売却指令が出たことです。
(HGST買収を認めるには)3.5インチHDDの生産に関わる重要資産を第三者に売却することが条件で、WDは売却先を見つけるまでHGSTの買収を完了できない。Joaquin Almunia競争政策担当副委員長は「これにより業界における競争が完全に回復される」と述べている。
→ 欧州委、Western Digitalによる日立GSTの買収を条件付きで承認:ITpro
要するに「3.5インチのライバルをもう1社作れ」ということなんでしょうね。
Seagateはシェアが高いので買い手にはなれないでしょうし、実質的に現行プレイヤーで買えるのは東芝のみ。ファンドに売却する手もあるでしょうが、同業他社と競り合わないで済むのは東芝にとって絶好のチャンスです。
3.5インチHDDを調達する完成品メーカーにとっても、交渉相手が2強のみより、これまで日立が担っていた第3の選択肢を東芝が引き継いでもらえるならありがたい話です。東芝は2.5インチHDDの販路は持ってますから、3.5インチも作れば儲かるという算段が立ったのでしょう。
■ HGST売却の行方は?
上記の話はWDがHGSTを買収することが前提になっています。一方で、日立が売却取り止めに動いているという話もあり(当然違約金が必要)、まだ話がひっくり返る可能性は残っています。
→ 蹴茶: 日立、WesternDigitalへのHDD事業売却を再検討 [12.26]
とはいえ、今回の東芝との契約で欧州委員会の認可条件はパスしたでしょうし、よほど大金を積み上げるでもしなければキャンセルとはならないと思いますが。
■ おまけ
DRAMメーカー、エルピーダの坂本社長もHDD市場のような寡占化を目標としていた節がありますが、体力的に余裕のあった東芝と違い、体力(資金)が持ちませんでした。