25
04
太陽光42円 全量買い取り案 家庭の負担額はどうなるのか
経済産業省の「調達価格等算定委員会」が委員長案として42円20年間の買取案を提示。→ 太陽光発電の価格42円、全量買い取り制度で経産省委原案 | Reuters
→ 太陽光買い取り価格 原案は42円 NHKニュース
太陽光発電は1キロワット時あたり税込みで42円(出力10キロワット以上)。
風力は同23.1円(出力20キロワット以上)とした。
→ 太陽光42円・風力23.1円 再生エネ買い取り、委員長案 - 日本経済新聞
“42円”
高くないですか?
欧州と較べても相当に高いです。
例えばドイツの現在の買い取り価格は1キロワット時 13.5円です(参考)
人件費等々諸条件が違うとは言え、日本はドイツの約3倍の価格をつけることになります。
出典: 欧州の固定買取制度について
ドイツでは10MW超のメガソーラーは補助無しです。
導入量が増えすぎたというのもありますが、グリッドパリティ達成目前のため、あとは自力でやれということになっています。
全量買取も部分的に取り止めになっています。
出典: [PDF] 石油・ガスの生産実態 ドイツの太陽光・風力発電
2011年のドイツの太陽電池導入量は7.5GWでした。
家庭用で約31円/kwh、メガソーラーだと約23円/kwhの買い取り価格にも関わらず7.5GW。
2012年は3月の価格改定までに駆け込みで3GWが導入されたと言われています。
→ 蹴茶: 台湾Gintech社、ドイツでの太陽光発電ビジネスは屋上設置タイプへシフト [3.16]
さてドイツより大幅に高い、キロワット時 42円、しかも日照量がドイツの2割増しの日本。
どれぐらいの規模で導入されるでしょうか。猛然と導入が進むのは間違いないです。
ドイツは日本より平均日照量が2割方少ない。同じ導入コストの設備でも、発電コストは2割方高くなる。それでも、2020年までに発電段階でのグリッドパリティを達成見込み。資料再掲。epia.org/publications/p… full reportのP.29に当該グラフ。
― Keiichiro SAKURAIさん (@kei_sakurai) 2月 28, 2012
気になる一般家庭の負担ですが、平成22年のエネ庁試算があります。
ここでは2020年に2800万kW(28GW)導入されると想定されています。
(※ 今回の42円という買い取り価格はもちろん試算には入ってない)
出力抑制があると負担が軽くなるのは、出力抑制なしだと電力網を強化する必要に迫られるためです。おそらく電力会社に押しつける(=電気代に上乗せ)ことになるでしょう。
月額900円ですら相当な負担だと思いますが、この試算には今回のFIT価格は入っていません。これで収まるとはちょっと思えないところです。
ちなみにドイツの一般家庭は毎月14.7ドル、約1200円をFIT費用として支払っています。
国家財政は超優良、景気も絶好調のドイツだからこそ許容されている面もあります。
はたして日本はどうなるのか。
出典: [PDF] 低炭素社会実現のための次世代送配電ネットワークの構築に向けて
数年後、毎月数千円もの負担を強いられるハメになって文句を言おうにも、当時の責任者が政府内に誰も居ないという事態はやめて頂きたいものです。
「再生可能エネルギーの普及を促進させるための価格設定だ。高くもなく低くもない」
何を根拠に高くないと言えるのか、今後の検証に注視したいところです。
関連
→ 蹴茶: 孫正義氏 1キロワット時40円で20年間固定買い取りを検証する [3.22]
→ 目標は建設コストの半減、メガソーラーの工法改革 環境ビジネスの今 :日本経済新聞
→ Germans Revise Solar PV Tariffs for 2012 and Set New Degression Schedule | Renewable Energy News Article 4月2日付け、13.5ユーロセントで決着