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Qualcommとシャープが作るMEMSディスプレイとは
クアルコム日本法人幹部が「特定の端末・部品メーカーとは組まないことを基本方針にしてきた。
… 前例にない」(参照)
と言っていたQualcommですが、提携契約を締結。
→ 日本経済新聞 / 47NEWS / ロイター
→ 公式ニュースリリース
出資額は当初50億円。
その後の提携の進捗具合を見て最大で総額100億円を出資とのこと。
鴻海の代わりにはならず
50億円という額自体は鴻海やIntelとの提携話に較べるとかなり少額です。海外3工場 550億円で売却という話もありますので、財政への影響度としてはあまり大きくはないです。シャープ幹部のコメントも色々です。
・ 資本政策にも寄与する
・ 鴻海からの出資に代わる資本政策とは位置付けていない
銀行からは、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行からそれぞれ約2500億円ほど借りており、さらに1800億円ずつの融資枠も新たに設定。そういった金額と較べる微々たるものです。
→ 東洋経済オンライン
開発するのは液晶ではない新型パネル
通信大手の Qualcommと何を共同開発するのか?という疑問が沸きますが、目的はQualcommの子会社であるPixtronix(ピクストロニクス)の技術を活用した
新型パネル の開発
Pixtronixは2年前に日立とMEMSディスプレイで協業し、試作までしています。2011年実用化という予定でしたが、ジャパンディスプレイへの統合などもあってか上手く行ってません。
→ 蹴茶: 液晶でも有機ELでもない 新型MEMSシャッター ディスプレイ 日立 [10.6]
→ Phile-web / Tech-On!
その後、台湾大手のCMIとも協業でパネルを試作しますが、2012年にPixtronix自身がQualcommに買収され、今回再び日本企業と提携したことになります。
→ Pixtronix, CMI make 5-inch MEMS display
このMEMSディスプレイの特徴は省電力性能。液晶のように光を何層も通さなくて済む分、バックライトの利用効率が非常に高くなっています。Pixtronix曰く対LCD比で平均75%削減とか。
一方で開口率はグッと狭いので、この辺、画質にどう影響するかは気になるところです。
他にも広色域、広視野角、高速な反応速度などが挙げられています。
・ 135% NTSC color gamut
NTSC比 135%の色再現域
・ 24-bit color depth
24ビットカラー深度
・ 170-degree viewing angles
170度の視野角
・ 100 microsecond shutter response times
0.1秒のシャッター応答速度
・ all at a 75% average power reduction versus LCD displays
LCDに較べて75%の電力カット
→ News Releases : Pixtronix
光源にはRGBのLEDバックライトを使用し、時分割方式であるフィールドシーケンシャル(FS)駆動によってフルカラー化する。最大の特徴は光透過率が60%程度とシリコンTFTの7~10倍と高いことで、この結果、消費電力もTFT-LCDの1/2以下に低減できる。また、液晶材料を用いないため応答速度も速く、-20℃の低温環境下でも表示特性が維持できるなど動作安定性にも優れる。もちろん、マイクロカラーフィルター、液晶材料、配向膜、偏光板は不要だ。
→ 株式会社ステラ・コーポレーション
Qualcomm、もう1つのMEMSディスプレイ
Qualcommにはもう1つ、子会社の米Qualcomm MEMS Technologies Inc.が開発する mirasol ディスプレイがあります。
→ mirasol Technology 公式
仕組みは全く違いますが、こちらも同じく特徴は省電力性能。ポジションとしては電子ペーパーに近く、既に電子書籍リーダーとして実用化の段階に入っています。
→ 「mirasol」,約10億米ドルを投じ台湾に新工場 - BPnet
→ そろり実用化されたQualcomm社の「Mirasol」、本格量産は2012年春 - Tech-On!
→ 西川善司: CES 2012 特別編 mirasol -AV Watch
動画もいけます。
YouTube: 大画面マニア CES mirasol -AV Watch - YouTube
動画も(一応)映せる電子ペーパーといった按配ですね。