ファースト・ソーラーの回収・リサイクル基金
ファースト・ソーラーは有害なテルル化カドミウムを使い、安価なソーラーパネルを生産、事業を拡大して来ました。問題はその太陽光パネルの廃棄です。
手っ取り早く日本語で読めるのが以下資料。
太陽光発電協会の技術部会が2010年2月4日に発刊したレポート。
3-2.First Solar 社における取組内容
First Solar 社は、顧客が太陽電池モジュールの廃棄を望めば、太陽電池モジュールの取外し方法 及び梱包方法の説明が書かれた説明書を送り、顧客自身で太陽電池モジュールを取外し、梱包を行 った後 First Solar へ発送するシステムを構築している。
システムの設置場所での太陽電池モジュール取外し及び、First Solar 社から送られて来る梱包材 にて梱包を行う事のみ顧客が実施し、発送費及び太陽電池モジュールのリサイクル費用は First Solar 社が負担を行う。
回収された太陽電池モジュールは、First Solar 社が保有するリサイクルプラントにて処理され、 モジュールに使用されていたガラスの90%は新しいガラス製品としてリサイクルされ、半導体材 料の95%が新しい太陽電池モジュール材料としてリサイクルされるとのこと。 First Solar 社が構築したシステムでは、太陽電池モジュールの回収やリサイクル費用は、製品が 販売された時点にて資金としてプールされ、顧客より要請が有った太陽電池モジュールの回収及び リサイクルの為のみに用いられる。
尚、プールされた資金は、First Solar 社の事業運営費とは別口座にて管理され、外部の第三者に より監査されている模様。更に定期的に太陽電池モジュールの回収,リサイクル費用の検証を行い、 販売時にプールする金額の見直しを図っている。
更に First Solar 社のリサイクルプラントは、米国内のみでは無く、生産拠点の有るドイツ,マレ ーシアにも保有し稼動を行っている。
→ 国内外における使用済み太陽電池モジュールのリサイクルに対する動向
販売時に最初からリサイクル費用を含めて積み立てることで、仮にファースト・ソーラー社が破綻しても回収業務が滞らないように資金繰りが設計されているとのこと。
とはいえ、ファースト・ソーラーが破綻した場合、再生品の引き取り先は見つかるのか、そもそもリサイクル施設は維持可能なのかといった疑問は残る所です。
いまのところ業績は好調なため、懸念は杞憂に終わっています。
2012年5月
→ カドミウム・テルル(CdTe)太陽光発電システムのライフサイクルにおける環境と健康安全に関する科学的レビュー
→ 蹴茶: 太陽光電池(ソーラーパネル)のリサイクル動向 [10.23]