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パナソニック、世界初の印刷法による有機EL 56型 4kテレビを発表

※ プレスリリースが出たので書き直し。

パナソニックがCESにて世界初となる 56型4K 有機ELテレビを発表。
 → 56型 4K2K 有機ELパネルを開発 | プレスリリース | Panasonic
 → Panasonic shows off beautiful 56-inch 4K OLED TV at CES | The Verge

パナソニック 有機EL 56型

仕様

 パナソニック (2013)Samsung (2010)
画面サイズ56型(55.6インチ)19型
解像度3840 x 2160960 x 540
ピーク輝度500cd/m²200cd/m²
階調表現10bit8bit
コントラスト3,000,000:1
色域NTSC(u’v’) 100%62%
厚さ(最薄部)8.9 mm
重量12.4kg


参考までに2010年11月にSamsungが発表した印刷法の有機ELを並べて見ました。
今回のパネルがいかに突き抜けたものかがわかるかと思います。
 → Samsung,印刷法で製造した19型有機ELテレビを出展 - Tech-On!



コスト面で優位なオール印刷法

大画面有機ELでの注目点は製法ですが、このパネルは 印刷法 とのこと。

しかも難度の低い白色ではなく、ハードルの高いRGB 3色塗り分けで製造したとのこと。これは衝撃的です。コスト面で優位な3色塗り分け印刷法での製品化に目処が立ったとすれば、未だ製品化に手こずる韓国勢にとっては相当な脅威です。
 → LG「製造は予想以上に難しい」

構造はトップエミッション方式。製造は難しいが光の利用効率が高い。
パナソニック 有機EL 56型 3色塗り分け印刷法

印刷法は真空蒸着が必要無く、マスクで覆うこともないため材料ロスも最小限。大型ガラスへの適応も比較的容易で、低価格化・大画面にもっとも適した製法とされています。一方で、有機材料の寿命など大きな課題を抱えているとされ、小型有機ELのトップランナーであるSamsungは55型でも蒸着法を採用しています。
 → 有機ELデバイスの低コスト化 - Tech-On

55型の有機ELテレビを披露した。グループ会社である韓国Samsung Electronics社が、2012年中に発売する計画のものである。(略)

低分子型の発光素子を、マスク蒸着技術を用いて形成した。55型の有機ELパネルでは「SMS (small mask scanning)」と呼ぶ、小型のマスクを移動しながら蒸着していく技術の導入が噂されるが、「詳細については明かせない」(同社の説明員)とした。
 → Samsung Mobile Displayが55型有機ELを出展、パネル仕様を明らかに - Tech-On!


印刷法で製品が作れるのであればコスト面では蒸着より圧倒的に優位です。LGは蒸着法か印刷法がわかりませんが、白色LED+カラーフィルターなのでスペックでパナソニックが優位に立ちます。



LGは発売日発表、Samsungは未定

CES 2013での各社動向。白色有機ELでハードルを下げたLGは米国での発売日を発表。しかしRGB蒸着法を選択したSamsungはいまだ発売日を決定できずにいます。
 → Samsung、有機ELテレビの発売時期には触れず - Tech-On!
 → 韓国LG電子、有機ELテレビを3月から米国で販売 | Reuters

2012年中に発売できなかったSamsungとLGを揶揄するソニーの平井CEO。
 → 平井一夫CEO「発売日を守れない会社もあるが」



開発を加速させた?ソニーとの提携

事前取材で解禁時刻を設定されていたと思われる記事が日経にあがっています。

パナソニックも解像度が4Kで画面サイズが56型の有機ELパネルを開発した。有機EL材料を大画面に均一に塗る「印刷方式」を確立した。真空装置の中で有機EL層をつくる方式と比べ、生産コストが安く、画面を大きくしやすい。有機ELパネルを共同開発しているソニーから主要部品を調達した
 → テレビ「4K」「有機EL」競う シャープやパナソニック  :日本経済新聞


ソニーから主要部品を調達した他、プレスリリースによればTFTの技術導入を受けたとのこと。トップエミッション方式の技術でしょうか。
 → Sony Japan | エンジニアインタビュー|スーパートップエミッション開発

パナソニック、ソニーの提携発表のPDFはこちら。

パナソニックは、大型化・低コスト化に優位な印刷技術の中でも、最先端のオール印刷法式による大画面・高精細有機ELパネルの技術開発で先行しており、この方式による生産を実現するための独自の設備技術・生産技術を有しています。
 → テレビ/大型ディスプレイ向け次世代有機ELパネルの共同開発で合意(PDF)


しかし、こんなものが出てくるとは。
Samsungの蒸着法はとんでもなく歩留まりが悪いという話もあり、韓国勢の積極性ばかりが目立っていた大型有機ELテレビですが、行方は混沌としてきました。
 → 蹴茶: LGが有機ELテレビでSamsungより先行した理由を考える [2013.1.4]


関連
 → “2013年中の量産技術確立を目指している”

 → Sony Japan | 技術情報|有機ELディスプレイの “スーパートップエミッション” 技術
 → LGディスプレー、有機ELパネル供給で日本メーカーと協議=CEO | Reuters
 → LG Newsroom
 → Panasonic Develops 56-inch 4k2k OLED Panel - MarketWatch

 → Samsung,印刷法で製造した19型有機ELテレビを出展 - Tech-On!
   2010年10月。色再現性は62%(NTSC比?)と液晶以下の色域

 → ソニーとパナソニックが次世代有機ELパネルを共同開発へ - ITmedia
 → 有機ELで500ppiの可能性、ソニーがオフセット印刷で実証 - Tech-On!
   赤と緑を印刷法(高分子材料)、青(低分子材料)を蒸着させたハイブリッド印刷法