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2014
シャープ、白色LEDバックライトによる色再現性を改善
シャープ、白色LEDバックライトによる色再現性を改善
今月上旬に発表のあった新型の白色LED。液晶のバックライト用で、発色を改善。
→ シャープ、色の再現性を46%向上させた液晶バックライト用白色LED開発:日刊工業新聞
簡易な解説がシャープ技報に掲載されてます。
→ シャープ技報 107号
今までも高色再現性の“白色LED”はあったものの、代償として輝度が下がってしまう。その弱点を新しい組成の蛍光体で克服したとのこと。
これにより、輝度を維持したまま、白色LEDの弱点であった“緑”と“赤”の発色が劇的に改善。
他の手法はというと、
RGB LED バックライト
これまでの広色域ディスプレイでよく使われているのがRGB-LEDです。
青+黄=白の白色LEDを使わず、赤、緑、青、3色のLEDを併用することで色域を広げています。単純ですが効果はてきめんです。
出典: ソニー 1 / ソニー 2
製品に実装されたRGB LED(トリルミナス仕様)。
→ BRAVIA XR1世代の直下型RGB-LEDバックライトシステム
ただ、この方式、コストがかさみます。そして消費電力も増えます。
RGB-LEDバックライトの採用はテレビ製品として構成した際にコストが高くなることが避けられない。直下型で考えると、ある画面サイズにおいて、輝度ムラが出ないように適当な間隔を開けてLEDを敷き詰めるとして、単純計算でRGB-LEDは白色LEDの3倍の個数が必要になる。
しかも、各RGB-LEDを個別に駆動しなければならず、制御基板も複雑になる。コストが高ければ高額商品にせざるをえなくなり、一般ユーザーには手の届かない高嶺の商品となってしまう。そして、このLED個数に大きく関係することだが、RGB-LEDでは消費電力が高くなってしまう問題を生む。
→ 西川善司の大画面☆マニア -AV Watch
量子ドットフィルム
そして、最近出てきた新手法の量子ドットフィルム。
白色LEDと同様に青色LEDや紫外線LEDを光源とし、そこから量子ドット技術を用いて緑や赤を作り出します。
3Mがベンチャー企業のNanosysと組み、各メーカーに採用を働きかけているのが量子ドットフィルムの「QDEF」。
下図のLGP(Light Guiding Panel、導光板)の上にある「QDEF」がそれです。
出典: 3M
量子ドットフィルムにより、緑と赤がしっかり出ます。
出典: Nanosys
→ 蹴茶: LED+量子ドットフィルムを採用した製品 [2014.12.29]
解像度の次は発色になるかどうか
ヘビーユーザーはともかく、一般向けには「発色」は解像度以上にアピールしにくい性能です。友達と液晶を見較べて「赤色綺麗ねー」などとは普通言わないですし。単体で見れば最近の液晶はどれも綺麗です。
ただ今回の新型LEDや、量子ドットフィルムが安価に出回るようになれば、飽和しつつある解像度の次の進化項目としてメーカー側が注目しはじめるかもしれません。
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→ RGB-LEDのムラについて
→ 3チップインLED 特長 : 富士通フロンテック
→ RGB-LEDよりも白色LEDを各メーカーが推進する理由