HDD vs SSD 攻防戦は3000円~5000円
少し前の話になりますが、HDD協会セミナー記事を見て。全体の意見としてSSDはHDDの脅威とはなり得ないとのこと。SSDの欠点は価格で、性能や信頼性は決め手にはならない。勝敗を分けるラインは$50(宮崎氏)。HDDも原価低減は続くので今後「3000~5000円」が境となるのではないかとのこと。
→ 日本HDD協会2009年1月セミナーレポート
→ 蹴茶:(HDD原価は)5000円が一つの山のようです 2008.2.18
今現在の部材コストをDRAM Exchangeのデータなどから見積もってみます。
(開発コスト、サポート費、不良品ロス等々は考えないこととします)
→ DRAMeXchange -- Price, Transactions, and research inside DRAM/Flash industry
【2009】
SSDコントローラー $10
MLC 約 $1.5 / 1GB (32GbitのMLC品から)
とすると、$50で作れるのは 27GB の SSD
$100で 60GB の SSD
$200で 127GB の SSD
セミナーで勝敗ラインと言われている$50で作れるのは 27GB。この容量だと、容量のやりくりに慣れていない一般ユーザーには不向きです。結果として、今現在NetBookにはHDD搭載機が多いということになるのだと思います。
市販の単品SSDはこれに外装コストやパッケージ費用、流通コストがかかってくるのでもっと高くなります。09年3月時点で60GB最安で1万円。ヘビーユーザーであればSSDに1,2万円は軽く出すのですが、全体を見ればそれは少数派なのが難しいところです。
次に2010年のケースを考えてみます。
今年末リリース予定の次世代AtomプラットフォームのLangwellにはSSDコントローラ内蔵という話があり、内蔵でコストが下がるものとし、コントローラー代を $2と仮定します。
→ Langwellではストレージインターフェイスとして汎用のATAではなく、SSDコントローラが採用される
一方NANDチップは2008年の値下がり幅が大きく、各社損失を出した反動で生産調整中。結果2009、2010年はさほど下がらない可能性が高い。セミナーでも下がって2割程度という意見が出ています。仮に今年、NANDが2割値下がりすると来年は
【2010】
SSDコントローラー代 $2
MLC価格 約 $1.2 / 1GB
とすると、$50で作れるのは 40GB SSD
$100で 82GB の SSD
$200で 165GB の SSD
13GB増えましたが、まだ40GB。Langwellが載るような携帯端末だと40GBで十分かもしれませんがNetBookなどは厳しい。ファンの法則で倍増すれば、60GB近くにはなるのですが。
2010年も2割下落ペースだと、2011年も10GB程度増えるぐらいであんまり変わりません。やはり3ビット/セル、4ビット/セルなどのさらなる多値化で「1年で倍」というファンの法則が戻らないと、SSDのシェア拡大は難しい。