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放射線災害ロボット出動、NASAは宇宙仕様のRobonaut

多くの方が福島第1原発の現場にはロボットを行かせればいいじゃないか!と思っていたと思いますが、ついに災害ロボットが出動。

前方にマジックハンドが付いており、それで積んでいる無線中継基地を途中で下ろしながら前に進むことで、約1.1キロ離れたところから無線操縦ができるという。
 → asahi.com:放射線量、危険な場所はロボットで測定 文科省が貸与


ただ物を動かしたりはできません。
基本的に放射線のモニタリングのみなのが非常に残念です。

開発元
 → 防災ロボットの開発 │ 防災技術開発 │ NNET

他にどんな耐放射線仕様のロボットがあるかは以下PDFに詳しい。
 → 安全・安心のためのセキュリティロボットシステムに関する調査研究報告

原子力プラント対応ロボット

基本的に用途はモニタリングや試料採取に留まっています。
一番汎用的な作業ができそうな右下のRaBOTの仕様は以下。
 → 資料1 放射線耐性型ロボットの主な仕様

搭載されているマニピュレーターはどの程度のパワーがあるのか。
停電&爆発で瓦礫の飛び散るプラントでの活動は難しそうです。

強い放射線下ではCPUにカメラ、モーターから何から何まで放射線の影響を受けるため、通常のロボット開発には無い耐放射線というハードルが加わることになります。たまに話に出ますが、ASIMOをそのまま現場に投入しても、原子炉の近くまで行くと壊れて瓦礫になってしまうかもしれない。誤作動で制御不能になると最悪です。
 → ASIMO 原発 - Google 検索

※追記 ASIMOのtwitterで原発では役に立たない公式見解が出されました。
ASIMO 公式見解

 → 耐放射線カメラ - 株式会社東芝
 → 高耐放射線性材料で構成した減速機付きサーボモータ - 日本原子力研究所
 → 鉛に替わる新素材高密度タングステンシート-環境に優しい放射線遮蔽材

人間が遮へい板を身にまとって動けるようなパワーローダーを作ろう、という意見もあります。ただ鉛やタングステンなど遮へい板をまといつつ、実用的な速度で動かそうとすると相当に強力なモーターと電源が要ります。ちょっとした装甲車サイズになるのでは。



■ アメリカNASAは宇宙ロボットを開発中

参考になると思うのですが、NASAは放射線飛び交う船外活動(EVA)も想定したRobonautを開発。最新型「R2」が先日のスペースシャトルで宇宙ステーションに行ってます。WikiによればCPUは38個のPowerPCからなり、アームは40ポンド(約18kg)の物を持てます。

YouTube 40lbsの鉄アレイを持つシーン


YouTube 船外活動イメージ


有線前提なので電源と無線の心配がないのが大きいですが。
いまこれを福島原発に持ってきても、ワイヤレスで動かないとたぶん意味ないですからね...


■ Boston Dynamics社

強靱な脚ロボットとしてはBoston Dynamics社の動画が有名です。

YouTube Petman


YouTube BigDog


ここまでできるものが既に世にあるわけで、日本でもお金をかければ作れるのでは。
有線仕様の本体と、配線専業のサポートロボの2体構成だと何かできそうな気もします。

誰だって決死隊になるのは恐い。本人は元より家族もそうです。
災害防止と同時にぜひロボット開発も進めて欲しいと思います。


<関連>
頭脳となるプロセッサも放射線を想定した宇宙用プロセッサなるものが存在しています。
 → 蹴茶: 宇宙からの放射線でパソコンがフリーズする 2008.11.2

 → Twitter / @長岡技術科学大学レスキュー工学研究室: 原子力災害で、決死隊を減らしたい。昔、原子力関係者に ...
 → Twitter / @Yoshi: 我がハイパーレスキュー(第三消防方面本部消防救助機動 ...
 → 「万が一の場合にもロボットで対応可能」との体制作成を