史上最強の民間ロケット「ファルコンヘビー」 2013年打ち上げへ
ついに史上最強の民間ロケット打ち上げへ。→ スペースX社、ファルコンヘビーロケットを2013年に打ち上げ | ファルコン | sorae.jp
→ Space Exploration Technologies Corporation - Press
民間ロケットと言っても多額の補助金が入っていますが、運営主体はPayPalのイーロン・マスク氏がCEOをつとめる打ち上げベンチャー企業SpaceX社。
Falcon9ロケットはマリーン1C(Merlin 1C)エンジン 9基を束ねてあり、一部のエンジンがトラブルを起こしてもミッションを完遂できるよう冗長性を持った設計になっています。RAID5みたいなものですね。
→ 蹴茶: アメリカの民間ロケット Falcon 9 初号機打ち上げ成功 2010.6.6 4:55
Falcon9 Heavyはこれをさらに3つ束ね、計27基のマリーンエンジンを搭載します。
各国ロケット性能比較表(SpaceX社HPより)
ロケット名 | 国名 | 軌道傾斜角 | 高度 | 打ち上げ能力 |
ファルコン9ヘビー | 米国 | 28.5度 | 200 km | 53,000 kg |
スペースシャトル | 米国 | 28.5度 | 200 km | 24,400 kg |
デルタIV ヘビー | 米国 | 28.5度 | 407 km | 22,980 kg |
タイタンIV-B | 米国 | 28.5度 | 150 km x175 km | 21,680 kg |
プロトンM | 露国 | 51.6度 | 200 km | 21,000 kg |
アリアン5 ES | 欧州 | 51.6度 | 407 km | 20,000 kg |
アトラスV 551 | 米国 | 28.5度 | 200 km | 18,810 kg |
H2B | 日本 | 30.4度 | 300 km | 16,500 kg |
長征3B | 中国 | 28.5度 | 200 km | 11,200 kg |
アポロ計画で使われた「サターンV」ロケットはこのFalcon Heavyのさらに2倍ですから驚きです。
エンジンの生産体制
現在は「Merlin 1C」は年産50~60基のペース(アップグレード版「Merlin 1D」も同じ)。
年 400基は生産可能で、需要があれば500基まで増やせるとのこと。
イリジウムの打ち上げ受注など、需要も増えてますのでガンガン作ってます。
→ SpaceX: Falcon Heavy, Falcon 9 tag team set to share 20 launches a year | NASASpaceFlight.com
将来はサターンV級も
Falconヘビー型でもサターンVロケットには及ばないと書きましたが、将来はサターンVロケットに匹敵するプランFalcon X / Falcon X Heavy / Falcon XXが構想されています。
→ images.spaceref.com/news/2010/SpaceX_Propulsion.pdf
一番左がサターンV。Falcon9 Heavyが爪楊枝のようです。
Falcon XロケットではMerlin1エンジン x 9基ではなく、新設計のMerlin2 x 3基を使用。Falcon X Heavyではこれを3本束ねて(3基 x 3 = 9基)LEO打ち上げ 125トンを実現。Falcon XXではMerlin2 6基を1本に集めて、LEOへ140トンの打ち上げを実現するそうです。
衛星を打ち上げるにはデカ過ぎますが、用途は火星や小惑星への有人探査がターゲット。小さなロケットだと数回の打ち上げ後、ドッキングする必要がありますが、一度に大きな宇宙船を打ち上げられればドッキング無しか、回数を減らすことができます。
→ STSJ: 2010年10月30日:Space X社の野心的な火星有人飛行計画
まだ構想段階ですが「こんな構想ありますよ、お金出しませんか?」と米国政府に秋風を送っているようです。
→ 米、2030年代に火星へ有人飛行 新宇宙政策を公表:日本経済新聞
→ アメリカの宇宙開発政策が大方針転換: 松浦晋也のL/D
<関連>
中国はLEOへ25トンの打ち上げが可能な長征5号 (Long March 5)を開発中。
→ 長征5号、打ち上げは2015年以降 | 長征 | sorae.jp