2007年11月 キーボードに命運を託す dynabook RX1

いまや激戦区となったモバイルノート。Let'note、VAIO TZ、ThinkPadと強豪ひしめくなかに飛び込んだdynabook RX1。ライバルに勝つ魅力はあるのでしょうか?
 → http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0605/toshiba.htm
 → http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0605/toshiba2.htm
 ⇒ dynabook RX1 (東芝ダイレクト) 

ao.gif dynabook RX1 概要

店頭モデルのRX1と同型。ただし、不評をかっていたBluetoothの非搭載が改められ、海外モデルと同じようにBluetoothが内蔵されているのが最大の違いです。

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GPU

Intel 945GMS

CPU

Core 2 Duo U7600 1.2Ghz

チップセット

Intel 945GMS

メモリー

PC2-5300 2GB

HDD

東芝 MK1237GSX 5400rpm (8MB)

液晶

12.1型半透過型 非光沢 WXGA

光学ドライブ

MATSHITA UJ-844S USB Device

LAN

1000BASE Gigabit、802.11a/b/g 

Bluetooth

Bluetooth V2.0 + EDR

 

※パーツは固定されていないため、
  サプライヤーが異なることがあると思います

 

    マニュアル

    大きいマニュアルはこの3冊。

     rx19.jpg

 

ao.gif 筐体

何も知らずに触ると塗装されたプラスチック?と思ってしまうような筐体ですが、0.45mmという極薄のマグネシム合金だそうです。指で押せばへっこむほど薄い外装です。薄いと気になるのが、耐圧性能ですが、ホームページでも明記されている面加圧の他、一点加圧試験が実施されているとのことです。

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PCカードスロットはダミー式 PCカードスロットはダミー式

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天板は片手オープンは不可。

天板の強度はVAIO Gよりはしっかりしており、安心度は上です。
TZの強度と較べると...微妙ですね。同じぐらいでしょうか。

    ポート配置

    このクラスでは諦めるしかないですが、背面は全てバッテリーで覆われているため、残された左右の面に所狭しと各種ポートが並んでいます。排気口は左側。

    もっとも使うであろうUSBは全部で3つ。使いやすいように、全てバラバラに配置されているのは設計者のこだわりでしょうか。左側面の右端にボリュームダイヤルがあります。見た目はアナログ式ですが、実際は止めどなく回るソフトウェア制御です。

    右側面
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    左側面
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    前面
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    背面
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    ACアダプタ

    45W ケーブル込みで292g 直挿しのコネクタは付属せず。

    rx04.jpg RX1 ACアダプタ

    内蔵メモリーカードリーダー

    CrystalDiskmark 1.0でのスコアです。1.0ではRandamテスト(下の2段)での不具合が確認されていますが、手元に実機がないため参考値として残しておきます。
     → CrystalDiskMark 1.0/2.0 のバグについて(まとめ)

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    PQI製 SD 2GB
    QSD15-SG

     

    rx31.jpg
    ADATA製 SDHC 4GB
    Turbo Series (class 6)

 

ao.gif キーボード&パームレスト

RX1の生命線ともいえるキーボード。強力なライバルであるLet'snote、VAIO TZに打ち勝つためにはキーボードに最大限配慮。良好な配置とキーサイズはRX1最大の武器とも言えます。

実測でキャップの大きさは約16.5mm x 18.0mm、キーピッチは19mm x 18mm。ほぼ正方形なのは優秀な点です。ただし、軽量化のあおりを受けてキーパーツがギリギリまで軽量化されているためか、打鍵感は軽く、チープな印象を受けます。

あと、東芝の防水シート型キーボードの特徴のような気がしますが、たわみがわずかにあります。でも同じく防水型の初代dynabook SS MXなどと較べると相当良くなっていますね。

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    パームレスト

    パームレストの話に移ります。
    残念ながらパームレスト左は熱くなります。右は全く熱くない。おそらくHDDの熱でしょうか。今回からの新兵器「非接触温度計」で計測してみました。要するに、耳体温計の仲間です。

    放射する赤外線を計測するので、素材によって多少温度のずれが生じるのですが、そう大きくは違わないはずです。熱さの中心は、上の写真で赤丸で囲った付近です。40度弱ですから、熱を出した人の肌に触れたぐらいの感覚です。

    rx21.jpg rx20.jpg

 

    タッチパッド、指紋認証

    うーん、タッチパッドのボタンは押しにくい。ボタンの左端を押すと反応しないことがありますね。
    個人的にはデザインもイマイチ。ここだけ金属光沢というのが浮いて見えます。 

    指紋認証はAuthenTec社製。最近見たのはUPEK製ばかりでしたので、ちょっと新鮮。AuthenTecとUPEKは、指紋認証装置の2強で、2社でPC用シェア9割強を占めているそうです。(参照

    rx13.jpg rx22.jpg

 

ao.gif 液晶

半透過型液晶。発色は良好。白も白いですねー
ただし、視野角は猛烈に狭い。半透過型パネルの特殊性ゆえか、正面から見ても端が暗く見えます。

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 正面

 

 

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 前に傾けて (上下の視野角) 

 

 

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  横から (水平の視野角)

 

 

 

 

 

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アウトドア 夕方 輝度最小

 

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アウトドア 夕方 輝度最大

    半透過型液晶

    RX1の最大の特徴である「半透過型液晶」。詳細は以下URLを参考にしてください。
    端的に言うとパネルの中に反射板が仕込まれており、外光を光源にできるパネルです。
     → http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/0308/11/n_hantoka.html

    ノーマル液晶をもつInspiron 710mと比較。

    ◎ 夜の室内 右がRX1

    rx57.jpg

     

    輝度最小

    左がInspiron 710m、右がRX1。RX1の方が光量を絞れます。

    rx59.jpg

     

    バックライトオフ

    RX1ではGoogle Mapが見えます。

    (左のInspiron 710mはバックライトだけ切れないので、ディスプレイ電源オフの状態です。)

    rx58.jpg

     

    ディスプレイ電源オフ

    RX1もディスプレイ自体の電源を切ると、液晶分子への電圧が無くなってしまうので、何も見えなくなります。

    (RX1は非光沢処理がされているため、液晶表面は外光が拡散し、若干白く見えています。)

    ◎ 陽光の元で撮影
      今度は左がRX1 さっきと逆になってます

    rx62.jpg

     

    RX1:バックライト最大

    710m:バックライト最大

    rx60.jpg

     

    RX1:バックライト最小

    710m:バックライト最小

    rx61.jpg

     

    RX1:バックライトオフ

    710m:バックライト最小

    rx63.jpg

     

    最後にどっちもディスプレイオフ時。

    表面処理の違いがよくわかります。

    (外では光沢パネルの方が見やすいですね。)

    見て欲しいのは、RX1はバックライトを切っても陽光下で見える点。
    ただし、バックライトがあった方がより見やすいことには変わりありません。

    アウトドアで見やすくするには、VAIO TZのような高輝度パネルで太陽に負けない明るさにするのが正面突破の正攻法。ただこれはディスプレイの電力消費を増してしまいます。一方、RX1は太陽光を逆に利用し、外で視認性と省エネを両立しています。

    その代わり、副作用として画質が低下してしまうのが大きな難点です。電力消費を無視すれば、正攻法である高輝度パネルの方が見やすいことに代わりはありません。

    ついでに消費電力

    ワットチェッカーにて消費電力のチェック。バッテリーは外し、電源設定は「省エネ」で測定しています。起動後、デスクトップ画面のまま放置。VistaのHDDフェチのせいで、なかなかアクセスが無くならないため、タイミングを見計らって値を読んでいます。

    1. HDDアクセス時  23〜24W
    2. HDDアクセス無し  19W
    3. HDDアクセス無し、液晶輝度最小 14W
    4. HDDアクセス無し、バックライトオフ 14W

    バックライト輝度を最小にした状態であれば、ほとんど電気は喰っていないようです。これだと、省エネ目的でわざわざバックライトを切る必要はないですね。バッテリー駆動時間よりも、やはりメインは屋外での外光対策に役立つ機能ですね。

 

ao.gif 騒音

ファン音はdB値は高くないですが、ファン口径が小さいこともあり高周波が聞こえてきます。
静粛性に関しては、わざわざサイレントファンと銘打っただけあって、VAIO TZの方が優れています。

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あと、光学ドライブが妙な音を出します。
 「チッチッチッチ」
HDDのシーク音のでっかい版のような音。問題ないのかな?

※追記

音の原因ですが、ドライブ内に保護用と思われる型紙が入っていました。

 

ao.gif 3D性能

未計測

 

ao.gif プリインストール

非力なマシンスペックを考慮してか、プリインストールソフトは比較的少ないのが印象的です。おかげで動作も軽快。

rx33.jpgウイルスバスター2007が入っているのですが、インストールされていない。デスクトップにセットアップするためのアイコンが置かれています。セキュリティソフトは好みがあるので、これが一番ですね。

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スタートアップ

 

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プリインストールソフト

基本的にモバイルノートでSSDが欲しいのは変わりませんが、プリインストールが少ないこともあって、HDDでも思ったより軽快。目下の価格差を考えるなら、HDDモデルでも十分満足できるという人も多そうです。 

 

ao.gif ライバル比較

ちょっと比較してみる。キーピッチを仕様表に書いてないメーカー多すぎです。何度か訂正しています。
X61sのキーピッチはTabletと一緒でしたっけ? 購入前にメーカーに聞いてもらった方が確実です。

型番

キーピッチ

パームレスト縦幅

LOOX R

18.0mm / 16.0mm

約 9cm

dynabook RX1

19.0mm / 17.5mm

約 7.5cm

VAIO TZ

17.0mm / 16.5mm

Let'snote W7

19.0mm / 16.0mm
一部縮小

約 10cm

ThinkPad X61s

18.5mm / 縦も18.5?
一部縮小

A4サイズノート

19.0mm / 19.0mm
のことが多いです

様々

 

ao.gif 総括

蹴茶の個人的評価まとめ。  >> 判断基準

チェック箇所

評価

○ 良い点  × 気になった点

筐体

評価 4 

○ 端を持ってもきしむことなし
× フレームで支えられない力、天板やキーボード面への圧力でたわみやすい

キーボード

評価 4 

○ このクラスでは上々のキーピッチ。これ以上はバッテリーをどうにかしないと
× タッチパッドのボタンの駄目っぷり

排熱

評価 3 

○ いまのところクロックダウンは経験せず
× パームレスト左が熱くなる

液晶

評価 5
評価 1

○ 「観る」という行為を無視すれば、屋外でも輝度を高めずに「見える」のは利点
× コントラスト、視野角は最悪クラスに悪い もうどっちを取るかです

騒音

評価 3

× アイドル時もファン音は中程度の音量で、VAIO TZよりうるさめ
  ファン口径が小さいためか、甲高い音も聞こえます

ソフトウェア

評価 5 

○ 非常に少ない おかげで動作も思ったより軽快
× 重箱の隅ですが、ConfigFree、gooスティックなども要らない人はいそう

モバイル

評価 4

○ 軽くて薄い
× 筐体が薄いが故のたわみ、天板の柔さと片手であけられないのはマイナス

総合 

3.5

液晶の価値をどこに置くかで激しく評価の変わるモデルです。半透過型を良しとするなら、4.5点。画質を重視するなら、3.5点です。ここでは蹴茶の好みを入れて、3.5としました。
 ※当初は間をとって4.0としていました。

× 小問題  × 大問題

触れば触るほど、VAIO TZとの設計思想の違いが感じられるモデルです。VAIO TZが物欲刺激型なら、RX1はその真逆。なんとも色気の無いノートです。まさに「道具」として買うノートですが、道具としての出来は相当なものです。軽量薄型の筐体。ほぼ正方形のキーボードはVAIO TZ、Let'snoteを凌駕します。

しかし、賞賛されるべき0.45mmの極薄マグネシム筐体は高級感とは縁遠く、半透過の液晶も色艶という点では最低クラス。仕事で使うノートとしては最強ですが、私的に使うなら物足りなさ爆発のノートです。派生バージョンで、液晶重視版などあればいいのですが。

 ⇒ dynabook RX1 (東芝ダイレクト) 

◆ 評価ランクの指標 ver.2

旧採点法

評価 5 小さな不満が1〜2 名機レベル

90-100点

評価 4 小さな不満が3〜4 並みより上

80-89点

評価 3 大きな不満が1 まぁこんなもの

70-79点

評価 2 大きな不満が2〜3 失敗した買い物

50-69点

評価 1 不満だらけ 近日中に処分予定

0-49点

「価格を考えれば納得」といったコストパフォーマンスの良さが
認められる場合は通常の評価から1ランク程度アップさせます

 → 蹴茶 3Dゲームをノートで

 

 

 

 

ao.gif おまけ

USではモデル名「Portege R500」

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SSD換装を目標に分解を試みるも、ポート側が集中する右側面のカバーを外すことができず、断念。
借り物なので無茶はできません。

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