2007年10月 富士通 DESKPOWER TEO

液晶の付かない、デスクトップ型の「TEO」は地デジ視聴&録画のリビングPCが本来の姿。

 → TEO秋モデルの発表  → HotHot レビュー 笠原氏
 ⇒ 
DESKPOWER TEOicon (富士通WebMart)

TEOでも今回は地デジから離れ、音楽や動画などを貯め込み、家族が任意に再生できるメディアサーバーとしての可能性を探ってみました。

TEOを選んだのは無線キーボード、リモコン付で下位のCeleronモデルなら8万円台という

トータルのコストパフォーマンスの良さ

筐体のコンパクトさが大きな理由。

小さな理由で、HDMI、GigabitEthernet、eSATAが使えるマザーが希望だったというのもあります。

今回お借りした上位のCore 2 Duoモデル

型番

TEO90X/D

CPU

Core 2 Duo T5500 1.66Ghz

チップセット

Radeon Xpress 1250

メモリー

PC2-5300 2GB

HDD

500GB

LAN

GigabitEthernet

今回のチェックで見たいポイントは以下の2点。

  • 静粛性: リビングに据え置いても気にならないかどうか
     
  • 省電力性: 常時Onにした時の電気代はいかほどか

 

ao.gif 標準規格「DLNA」がダメな理由は

「DLNA」というのは、家電やPCを相互に繋ぐ、多数のメーカーが賛同する共通規格です。

メディアサーバー志望なら、NASを置いてDLNAで運用すれば?という話もありますが、色々DLNAを試してきた感想としては、いまのところDLNAは「シンプルに再生」するための規格であり、凝った再生は苦手というのが蹴茶の認識です。

例えばiTunesでは当たり前の曲データベースを横串にソートし、特定アーティストでのシャッフル再生。動画だとHDDレコーダーでは当たり前の音声付きの1.5倍速再生。こういった便利な再生ができないのが現状のDLNAのもどかしさです。

DLNA以外でデータベースを作ろうとすると、人によってそれぞれだと思いますが、SonicStageだったり、蹴茶の場合はiTunesだったりします。動画は決め手に欠く状態ですが、メディアサーバー上でDVDのISO化と仮想ディスクでライブラリを作るのが便利と今は考えています。
※ 自分のDVDのISO化については議論のあるところですが、現状違法ではないようです。 → 参考

 

ao.gif 筐体のコンパクトさ

今回はリビングに置くことが前提なので、リビングボード(TVボード)のサイズをチェック。置き場所としては、VTRレコーダーの棚に置くか、REGZA脇のスペースに置くかのどちらかですね。

teo11.jpg teo12.jpg

棚の中に入れようとすると、サイズの制約で多くのPCが脱落します。自作なら薄型MicroATXケースが有力候補ですが、高さはOKでも奥行きがかなり厳しい。奥行き 43cmですが、実際はケーブルを挿すスペースも必要ですし、ギリギリ前に出ると格好悪いので、最低でも40cmは切りたいところです。

TEOはその点、横340×奥362.5×高78.5mmなので余裕です。REGZAとの接続はHDMIケーブル1本で完了。ネジを回すDVI端子と違って、挿すのが楽ちんなのはいいですね。音声も一緒なのはありがたいです。

teo13.jpg teo15.jpg

HDMIで繋ぐと、音声もREGZA側に移行します。この状態ではTEO本体のヘッドホン端子に繋いでも音が出ません。

設定で変えられるのかどうかは不明。

 

ao.gif ストレージの確保は

メディアサーバーにするにはそれなりのストレージ容量が必要ですが、TEOは地デジ非搭載モデルなら、PCIスロットが1つ使えることになっています。今回実際に増設はしていませんが、eSATAカードを使えば速度と容量の両面で確保できるはずです。

teo55.jpg

 

ライザーカード経由でPCIスロットが1つ使えます。

お借りした機には地デジチューナーが挿さっていました。
(認可の関係でB-CASカードは無しです)

 

ao.gif REGZAに映してみる

ではでは、REGZAに繋いでみます。

teo27.jpg

 

初っぱな、何もせず出る画面はこんな感じ。

レビュー機なので多少設定が違うかもしれませんが、とりあえず3m離れて見ると、文字が小さすぎて全く認識不可能です。

あとREGZAはデフォルトで「オーバースキャン」モードのため、四隅が切れています。

まずはオーバースキャンから設定し直し。REGZAだとリモコンの「クイック」ボタンを押し、クイックメニューから フルサイズ切換 → ジャストスキャン とたどればOKです。

 teo16.jpg teo17.jpg

設定変更後、より綺麗な画面になりました。
どう違うか、まとめてみると、

オーバースキャン

ジャストスキャン

ブラウン管時代の映し方
四隅を切るため、画面は引き延ばされる

解像度をあわせれば、dot by dot 表示
テレビもこの状態で不自由なく見られます

teo25.jpg
隅が切れています
 
teo24.jpg
にじんでいるのがわかるでしょうか
 
teo23.jpg

teo26.jpg
 しっかり全部表示
 
teo22.jpg
くっきり
 
teo21.jpg

 

ao.gif フォントとアイコンの調整

にじみは無くなりましたが、アイコンと文字が小さすぎるので大きくします。

付属の@メニューという富士通のランチャーからもアイコンのサイズなどがいじれるのですが、お勧め設定はおろか、特大でもいまいち小さいのが難点です。42型 フルHDはあまり考慮されていないのかな。

teo48.jpg

残る手は自力設定。デスクトップ画面で右クリック、個人設定、フォントサイズの調整とたどり、DPIスケールをいじります。選択肢には「大きなスケール(120DPI)」がありますが、これでも小さかったので、カスタムDPI設定で最大の192DPIまで上げました。

いわゆるソニーのXMB(クロスメディアバー)などが想定する「10フィートUI」の世界になるわけですが、DPIを大きくするといっても17型WUXGAのパネルで上げるのとは感覚が全く違いますね。

teo30.jpg teo31.jpg

teo32.jpg 標準サイズに対する割合、200%設定

アイコンのサイズ設定はVistaになって場所がわかりにくくなってますが、「ウィンドウの色とデザイン画面」を出すと、下辺に詳細設定へのリンクがあります。右写真はアイコンでかくしすぎました。

teo50.jpg teo29.jpg

teo28.jpg これぐらいが個人的にはちょうどいいですね

 

ao.gif 他のアプリケーションは使えるか

◆ ブラウザ IE7とFirefox

IE7はDPI変更後、勝手にフォントサイズが大きくなりますが、Firefoxは変わらなかったので手動で文字サイズを変更します。画像を多用しているページや、CSSの構成具合ではレイアウトの崩壊するページもありますが、読めないほどではないです。十分居間で使えるレベルです。

teo51.jpg teo52.jpg

teo36.jpg

 

◆ メディアセンター

元来10フィートを想定してデザインされたメディアセンターだけに、さすがに使いやすい。メニュー構造自体は賛否両論あると思いますが、サイズ的な面ではまったく不自由なく使えます。

 

 

 

teo35.jpg

 

◆ iTunes

今回はTEO内にはデータベースは移行せず、外部のiTunesサーバーを参照していますが、DPI設定変更後はiTunesのフォントサイズも変わり、何もいじらずに普通に使えます

 

 

 

teo37.jpg

 

◆ その他

MS IMEもそうですが、高DPI設定を想定していないアプリが結構多いです。10フィートで全く普通のパソコンと同じように使おうとすると、色々と面倒くさいのは間違いないです。

スクリーンショットを忘れたので写真にて。Aと般の文字が小さくなってます。メニューフォントをいじれば良かったか?

 

 

 

teo38.jpg

 

◆ おまけ

ニコ動を見てみる。テレビで見ると不思議な感じですが、ブラウザ上で完結するので特に問題は無いです。家族で見るネタはあんまり無いですが...

ちなみにREGZA自体もブラウザを備えていますが、フラッシュ非対応なので、今のフラッシュ普及率を考えると厳しいものがあります。

 

ao.gif キーボード

マウスは付属せず、タッチパッド(名称「フラットポイント」)付きのキーボードが付いてきます。赤外線ではないので、どこ向いていても反応します。富士通はノートではキーボードが良好なことが多いメーカーですが、これに限ってはタッチパッドのボタンも含めてクリック感がとぼしく、キータッチはあまり良くないです。

リモコンは赤外線式。コンパクトなのでマウス代わりにしたいところですが、マウスに似た操作はできるもののそれもアプリケーションによりけりで、対応しないアプリでは「リモコン操作は現在できません」と表示され、カーソルも動かせなくなります。

対応アプリでもカーソル動作はカッカッカッカッ!と小刻みな動きになり、リモコンで全てをこなすのは難しいです。キーボード横のタッチパッドを使うことになりそうです。ちなみに、タブブラウザ「Lunascape」の特別版がTEOに入っており、リモコンでのブラウジングはこれを軸に考えられているようです。

teo34.jpg teo49.jpg

 

ao.gif 騒音

うーん、うるさいです。

またか、と言われそうですが、またです(^^;
LANDISK Homeが60dBA後半でしたが、TEOは60dBA前半の音がほとんど常時CPUファンから出ます。

HDDレコーダー(RD-XS24)が我が家に来た際も、後ろにファンが1つ付いているのでうるさいなぁと思ったものですが、感覚的にはRD-XS24の3台分ぐらいの音がします。

電源オフ時
teo41.jpg
 

 

動画付き(10秒 WMV 284kb) 

teo43.jpg

teo53.jpg

teo42.jpg

※ 騒音計が感度の悪い安物ということもあり、蹴茶レビューでは排気口の間近で計測しています。

teo47.jpg

 

電源ファンも小径ですが、電源ユニットの内側に付いているので少し離れて聞く分にはあまり気にならないです。

音が混じっているのはわかるので、聞こえないわけではないですが。

中を見ると音の原因は一目瞭然ですが、小ぶりのヒートシンクを、小ぶりのファンで冷却しています。これだと、いくらモバイルCPUを積んでも負荷が続けばファン音は大きくなってしまいます。

ファンの型番はDELTA製「AFB0712MB」(電源もDELTAです)。こちらのページによるとAthlon 64 X2 4600+のリテールファンとしても使われているようです。7cmファンで、0.24A、MAX 3300rpmとなれば、音が大きくて当然といえます。ヒートシンクとファンをもうちょっと大きくして欲しかったですねぇ。

teo46.jpg teo45.jpg teo54.jpg

たぶん開発の方も、筐体の低さと、コストの二重苦で渋々こうなってしまった気がしますが、薄型筐体で静音、という自作では難しい条件だからこそ、メーカー製の地力を見せて欲しかったところです。

 

ao.gif なるべくスリープさせてみる

音が問題なら、使っていないときはスリープさせてしまえ!と積極的にスリープを使ってみました。

スリープに入ると静かなのですが、寝てしまうと当然ながら共有フォルダにアクセスできなくなります。そこでWakeup On LANでリモート起動を試みましたが、完全に電源が切れていると起動するのですが、なぜかスリープから復帰しない(^^; うーん、失敗。

teo33.jpg

 

常時起動させていれば、ShowMyPCなどを使って簡単にリモート操作できます。標準のリモートデスクトップよりは重いので、ShowMyPC使用時はTEOのAeroは切るなど簡素化した方がレスポンスが良い気がします。

リモートデスクトップの方がなにかと便利っぽいですが、OSがVista Home Premiumなのでクライアントにはなれますが、サーバーにはなれません。
 → Vista各パッケージ毎の機能一覧

 

ao.gif 省電力性

アイドル時だと50W台前半。
スリープさせずに丸々1日24時間つけっ放しにしたとすると、約600円/月の電気代がかかる計算です。
動かしてないですが、地デジチューナーカードがささってることを考えれば順当なところだと思います。

teo57.jpg
スリープ時

teo58.jpg
デスクトップ画面でアイドル状態

teo59.jpg
HDDアクセス時

ちなみに、

LANDISK Tera 改 (HDD x 4)

52W

 (スピンドルを止めていないアイドル時)

 

LANDISK Home (HDD x 2)

40-41W

 

ao.gif ファイルサーバーとしては

ファイルサーバーとしてはLANDISKより間違いなく高速です。Netperfを使うのがポピュラーみたいですが、ずぼらして単純に4GB超のISOファイルのやりとりをストップウォッチで計測。何回かの平均をだした感じでは、

 

平均値

 

LANDISK Tera

10.85 MB/s

 LANDISK ←→ Inspiron 9400 (XP, GEX-1000T装備)

TEO

24.18 MB/s

 TEO (Vista) ←→ Inspiron 9400 (XP, GEX-1000T装備)

 

 

 ※ケーブルはCAT6 (PCi製), 間にはHubのみが挟まる CG-SW05GTPL(corega)

とおおよそ2倍の速度がでます。
4GB台のISOファイルだと、TEOで約3分前後で移動。LANDISK Teraだと6〜7分かかります。

 

 

ao.gif 総括

評価 2 騒音を許容できるのであれば

とりあえず騒音です。賑やかな店頭では全くわからない騒音ですが、いざ夜のリビングにもちこむとその存在感は相当なものです。個室ならいけるかもしれませんが。側で寝ている人がいると、ちょっと使いづらい。身近なもので他にイメージしやすい音源というと...うちの空気清浄機の「中」が同じぐらいの音です。

あとこれはライトユーザーにとっての障害だと思いますが、@メニューなどカスタマイズ機能が弱い。対象として、32インチ程度を想定しているかもしれませんが、急速にテレビの大型化が進んでいるので、これも現状にキャッチアップしないと使い物にならないと思います。ベテラン勢は自分でいじっちゃうでしょうが。
 → 昨年のデータですが、大型パネルの割合

今後、薄型テレビの普及と共にリビングPCへの需要も着実に増えると思います。CPUクーラーの静音化や、VAIO TP1のようなACアダプタの採用など、より一層の進化を期待したいところです。

 ⇒ DESKPOWER TEOicon (富士通WebMart)

◆ 評価ランクの指標 ver.2

旧採点法

評価 5 小さな不満が1〜2 名機レベル

90-100点

評価 4 小さな不満が3〜4 並みより上

80-89点

評価 3 大きな不満が1 まぁこんなもの

70-79点

評価 2 大きな不満が2〜3 失敗した買い物

50-69点

評価 1 不満だらけ 近日中に処分予定

0-49点

「価格を考えれば納得」といったコストパフォーマンスの良さが
認められる場合は通常の評価から1ランク程度アップさせます

 → 蹴茶 3Dゲームをノートで

 

マウスの「MDV MediaServer 100S」もお借りして、騒音、消費電力等を比較したかったのですが、残念ながらこちらはレビュー機がないとのことで断念。

  

ao.gif おまけ

マザーボードはGigabyte製? 型番「GA-600ME3-RH」自体は検索でもわからなかったのですが、Gigabyteっぽい型番です。色もGigabyteが好きな青系。なにやら怪しい銅線が(^^;

teo44.jpg teo66.jpg

teo65.jpg