工人舎 SR6 解体&SSD化レポート  桜華さん著 2008.7

−蹴茶より−
以前、Qosmio G30の解体レポートを届けて下さった桜花さんより、今回は「カッ!」と衝動買いされた工人舎のミニノートSR6の解体&SSD化レポートを頂きました。なにやら書かれている事以上に裏で苦労されたようですが、無事にベンチマークまで取ってくださっています。以下桜華さん著。

はじめに

 工人舎は小型ノートPCを多数世に出しているメーカーです。当初より徐々に改良が図られきており、液晶脇ボタン群やタッチパネルと二軸回転機構、比較的良好なキーボードなど、他の安価な小型PCにはない魅力があります。

 SR6は光学ドライブ搭載系列でのXP最終モデルで、完成度はなかなかです。しかし、小型のモバイル向けには、HDDというものはよろしくありません。衝撃に弱い。SSD化は当初から予定しており、さっそく分解してしまいました。

分解

 お約束ですが、分解したPCはサポート対象外です。分解の難易度も低くはなく自信が無ければ手を出さない方が良いです。壊れても私は責任を負いませんし、謝罪と賠償なんか論外です。よろしくお願いします。

 さて、大まかにですが、裏面のネジ外し、後部パーツ取り外し、画面部取り外し、キーボード取り外し、マザーボード取り出し、という流れで進みます。気を付けなければならないのは、光学ドライブを早い段階で取り外す必要がある点と、全体にツメで引っ掛けているパーツが多い点です。

 さて、着手する前に、光学ドライブは開けたままで電源を落とします。これをやらないと後で詰みます。後はケーブルやカードを抜き、バッテリを外しておきましょう。メモリはそのままでも特に問題ないです。

 裏面のネジ類を外しますが、一部ゴム足の下に隠れています。これも忘れずに取り外してください。写真中央のネジを外せば、光学ドライブは引っ張り出せます。蓋を開けたままで電源を落とす理由はこれです。光学ドライブを外した状態で左側のゴム足二つを外すと、奥のネジにアクセスできます。これも外しましょう。

裏面の写真

 ひっくり返して、液晶下のプラスチックパーツを外しましょう。ここは非常に難易度が高く、私は結局破壊したも同然の結果となってしまいました。こちらのwikiなど参考にしてみてください
 → SHシリーズwiki(SHシリーズのwikiですが、液晶基部の構造は同じのようです)

分解したところ

 次にキーボード固定ネジを外してキーボードを外すと、各種のコネクタやケーブルが見えます。外しましょう。液晶画面部は4本のネジでガッチリ据え付けられていますが、全部外すと結構な勢いで転倒しますので、液晶パネルを破損しないように注意が必要です。液晶周りのコネクタ挿抜にはラジオペンチと細身のドライバがあると良いです。写真では何故か電源が入っていますが、気にしたら負けです。

キーボードを外したところ

キーボード裏のネジを外すと、筐体上面を外せます。ツメに注意してどんどんバラしましょう。LANコネクタカバーと無線スイッチが無くなりやすいので注意。また、筐体右下にはネジ止め部があります。

最終的にこうなります

 さて、バラバラにしたところでいよいよHDDの交換です。用意したブツは以下の物

なんちゃってSSD

 トランセンドの16GBX300なコンパクトフラッシュと、CFを1.8型ZIFに変換するアダプタです。SSDと言いつつものすごーく微妙なモノを登場させてしまいましたが、1.8型ZIF(恐らく東芝型)などというマニアックなZIFではろくな選択肢がないのです。事前に16GBのコンパクトフラッシュは悉く地雷であるという情報は掴んでいましたが、趣味の世界にコストパフォーマンスなど不要。ウェルカム地雷、我こそは人柱(IYHer)なり。幸いにしてSR6はCFスロットを搭載しているので、事前にTrueImageでMBRまで含めて丸ごとコピー(ちなみにCFスロットは超遅いです→USBのリーダーで良かったんじゃないか疑惑)。そして…。

無事に認識するとこんな具合になる

 上手く行くとこのようになります。上手く行かないと…。実のところ、デフォルトのHDDに挿さっているフレキシブルケーブルでは、このアダプタには接続できません。物理的には入りますが、認識しません。破壊する前に別途調達しましょう。お陰でトランセンドからデータシート落として必死になって読んだり、検証用と称して要らん物を大量に買い込んだり、まあよくあることですが…。そのほか、デフォルトのHDDとは高さが異なっているらしく、そのまま純正のゴム緩衝材を付けると基板と干渉します。何か手を打ちましょう。

HDDでのベンチ速度

CFでのベンチ

 上がHDD,下がCF-SSDでのベンチ結果ですが、体感でも速くなった気はしません。書き込みだけ遅いMLCのような挙動を示していますが、素子(公式にはSLC)のせいではなくドライバがそういう挙動らしいです。書き込みが遅いため、OSが裏で何か活動を始めると、突然遅くなることがあります。これはEWFというツール(?)で回避できるようです。

 個人的には耐衝撃性の向上と、多少の軽量化、ひょっとしたら省電力という辺りを期待していて、最初から速度には期待していなかったので、あまり問題視してはいません。あ、それから。HDD時代にあった不定期な「カッコン」とかいう怖い音はなくなりました。まったく、サムスンはこれだから(以下省略)

 以下、フォトぎゃらり。一部のVAIOノートのような凝った基板小型化は実施していないようです。CPU周りの配線とか見てると内層でGNDガードしろとか、カスタムチップ造って部品点数削減しろとか、0603使えとか言いたく(以下省略)。まあ、その辺に凝り始めると10万円では買えなくなるんでしょうね。

基板の裏側

HDDは1.8型ZIF(IDE)というモノ

簡素すぎる…と思う

等長配線とは言うものの…

 以上、ありがとうございました。

−蹴茶より−
電源の入ったまま床に転がっている液晶は恐いものがありますが、最終的には見事にバラバラになっています。ただ解体に手慣れた桜花さんでも一部破壊に近い形になってしまったようで、おいそれと真似るのは危険です。VAIO TZなんかもそうですが、ミニノートの解体は難易度が高いことがあるので腕に覚えのない方は事前の情報収集は必須です。

 → 蹴茶 3Dゲームをノートで