2007年12月 人気の黒レッツ Let'snote R7 BlackEdition

レッツノートの誕生は11年前の1996年6月。初モデルでいきなり人気ですが、その3ヶ月後にLet'snoteの象徴ともいえるトラックボール搭載モデルが登場。その後も、ニフティフォーラムFPANAPCとパナソニック側が交流の場を持つなど、ユーザーの意見を積極的に取り入れ、着実に固定ファンをつかんでいきます。
 → 初代Let'snote AL-N1T512J5  → Let's NOTE mini 今出しても売れそう  → トラックボール搭載 AL-N2、N3
 ⇒ パナセンス Let'snote R

大きな転機は1998年のタッチパッドへの転換。これによって一部のヘビーユーザーは離れてしまいますが、ビジネスユーザーを中心に支持層を広げ、今の勢いをもつに至ります。

ao.gif Let'snote R7 概要

今回お借りしたのは、10.4型(XGA液晶)液晶搭載のLet'snote R7。
色は人気のジェットブラック。つや消しブラックです。
 → Let'snote 発表会

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GPU

Intel GM965

CPU

Core 2 Duo U7600 1.2Ghz

チップセット

Intel GM965

メモリー

PC2-4200 1GB (MicroDIMM)

HDD

日立 HTS542525K9SA00 (8MB, 5400rpm)

液晶

10.4型半透過型 非光沢 XGA

光学ドライブ

無し

LAN

1000BASE-T Gigabit、802.11a/b/g 

Bluetooth

無し

 

※パーツは固定されていないため、
  サプライヤーが異なることがあると思います

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    マニュアル

    紙マニュアルはレビュー機には付いてなかったのでノーコメントですが、電子マニュアルの方はなかなかの良作。初心者、というより中級者向けの内容で、無線LAN規格の解説やバッテリーの保管方法(10〜30℃、1ヶ月以上使わない時は満充電の3〜4割で本体から取り外す)など、かなり突っ込んだ中身になっています。

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ao.gif 筐体

液晶10.4型の筐体はコンパクトそのもの。黒いので余計に凝縮感があり、ノートというよりは‘PDAの親玉’みたいな印象を受けます。そしてこの筐体が結構スゴイ。バッテリーも含めガワと中身がガッチリかみあっており、ひとつのです。最近のたわむ天板が当たり前のモバイルノートに慣れていると、ちょっと驚きです。

店頭では盗難防止で固定されていることが多いのですが、どこかで持ち上げてみて欲しいですね。

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ノートの薄型ブームは過去にも定期的に盛り上がり、ソニーVAIO505、三菱Pedion、シャープMURAMASAとその時々の話題を独占する時のモデルが登場してきました。Let'snoteも一時期は薄さをアピールした時がありましたが、ここ数年は薄さには目もくれず、ひたすら剛健さを追求する路線をとっています。

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結果、こんなことをしても結構平気です。

VAIO SZや、dynabook RX1では恐ろしくてできませんが、天板だけつかんで持ち上げても、あまり危なげなし。

letsnote_r7_41.jpg PCカードスロットはシャッター式

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天板は片手オープンは可。

    ポート配置

    左側面のEXT.には外部ポートリプリケーターが接続でき、USB x 3、GigabitEthernet、ミニD-SUB15ピンが拡張されます。

    右側面
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    左側面
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    前面
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    背面
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    ACアダプタ

    松下製(中国製) 型番 CF-AA6282A M1
    44.8W ケーブル込みで205g 直挿しのコネクタは付属していませんが、軽量です。

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    内蔵メモリーカードリーダー

    SDカードの盟主である松下電器。そのノートがSDカードリーダー性能が悪ければ、格好がつかないところでしたが、きっちり速度を出してきています。

    CrystalDiskmark 1.0でのスコアです。1.0ではRandamテスト(下の2段)での不具合が確認されていますが、手元に実機がないため参考値として残しておきます。
     → CrystalDiskMark 1.0/2.0 のバグについて(まとめ)

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    PQI製 SD 2GB
    QSD15-SG

     

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    ADATA製 SDHC 4GB
    Turbo Series (class 6)

 

ao.gif キーボード&パームレスト

12型でも厳しいところをこのサイズなので、苦労のあとが見られます。パームレスト部を広く取っているため、このサイズにしては手の置き場所が楽なのですが、その副作用として、縦キーピッチの短さ、半角/全角キーや、DEL、Backspaceキーあたりのイレギュラーさにしわ寄せがいっています。

成人男性にはブラインドタッチでどんどんタイピングするのは厳しいキーボードです。慣れれば、なんとかなるかな?という気もしますが、すぐには使いこなせそうにないです。タイピングが多い用途であれば、もうひとつ上のW/Tシリーズにした方がいいですね。

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letsnote_r7_43.jpg キーの印刷は貼り付け。

    パームレスト、排熱

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    パームレストは熱くないのですが、キーボード左側が熱くなります。

    常時手をのせる場所ではないので、パームレストの熱さほど問題ではないですが、気になる点です。底面も熱くなります。

    測定結果は以下の通り。

    letsnote_r7_54.jpg

    ファンが小さいため、どこかで放熱はしなければならず、おそらく確信犯的に熱をパームレストからキーボードへ持ってきているのだと思います。

 

    タッチパッド

    印象的な円形のタッチパッド。本田氏は嫌っていますが、蹴茶はこれでもいいかなと思います。

    利点はスクロールとの親和性です。普通のタッチパッドだと、画面スクロールで指を何度も行き来させることになりますが、丸いとぐるぐるエンドレスに回すことができます。iPodのホイールのようなものですが、サイズが大きいのであれよりも使いやすいです。

    逆に弱点はその狭さ。やはりもう少し広い方が便利ですね。ただ、そうすると今度はパームレストが狭くなってしまうでしょうし、隅まで使えない円形ゆえの難点です。あと、周りを取り囲む右左のボタンが押しにくいのもマイナスとしてあげられると思います。

    メリットとデメリット、どちらが大きいかが焦点ですが、ボタンの押しやすさが改善されれば個性を持つ意味でも「円形」でいいように思います。ある程度大きなサイズのトラックボールに戻すのもいいと思いますが。

    円形タッチパッド 狭いが、スクロールはしやすい円形タッチパッド

    ThinkPadのトラックポイント、東芝のアキュポイントなどもそうですが、タッチパッド以外のポインティングデバイスはライトユーザーに敬遠されるのが通説のようです。昨今、PCが一般消費財化するなかでシェアとコストカットを両立するためには、タッチパッド以外のデバイスは切られる傾向にあります。

    BIOS

    Let'snoteのBIOSは代々CTRLキーとFnキーの入れ替え機能が付いていますが、このモデルも例外ではありません。Windows上でも設定ユーティリティがあるようですが、BIOSいじるのに抵抗なければこっちで変えてしまった方が確実でしょうか。

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ao.gif 液晶

モバイルノートだからといって特に画質が大きく劣ることはないですね。発色はまずまずの通常レベル。輝度もそこそこですが、視野角は狭い。スピーカーがモノラルであることからもわかるように、エンターテイメント用途はほとんど考えていないので、こんなものでしょう。

ライバル機と較べると、半透過型のdynabook RX1より画質はずっと上ですが、VAIO SZには余裕負けといった感じです。最近、モバイルの理想液晶は光沢(外光下では非光沢より見やすい)+LEDバックライト(R6からLED?)による高輝度パネルと考えています。

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 正面

 

 

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 前に傾けて (上下の視野角) 

 

 

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  横から (水平の視野角)

 

 

 

ao.gif 騒音

ファンレスだったLet'snoteはSantaRosa世代からファン付きに。このR7にもファンが付いています。後々のメンテナンスがしやすいようにか、ファンだけ別のパーツで覆われ、ネジ一本で外れるようになっています。

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ファンの回転は松下謹製のファンコントロールユーティリティである程度制御可能。

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低速モードではアイドル時には完全にファンが止まりますが、負荷をかけると回りだし、MAXで66dBA台まであがります。標準、高速モードでは最大70dBA台にのってきます。逆に負荷が無ければ、高速モードでも50dBA台に落ちてきます。

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ファン口径は極小のため、音の質は高音中心です。回転数の遷移がかなり滑らかに行われることもあり、不思議と嫌な感じはあまりしなかったです。

 

ao.gif 3D性能

統合コアのため未計測。

letsnote_r7_47.gif 負荷をかけ続けると、ファン回転を高速にしてもクロックダウンが起きます。

 

ao.gif プリインストール

プリインストールはPanasonic謹製のものがほとんどです。あとはAdobe、Intel、Microsoft、タッチパッドのSynaptics、サウンド担当のSoundMAXといった最低限必要なソフトが中心。ただ今回借りた機体には入ってませんでしたが、スペック表をみるとマカフィーも入っているようです。
 ⇒ Let'snote R スペック

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スタートアップ

 

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プリインストールソフト

そのほか、純正ユーティリティのスクリーンショットは最後のおまけに掲載。
余計なデコレーションがなく、シンプルに機能を追求したユーティリティはまさに真の裏方。

 

ao.gif サポート

サポートというと、エプソンダイレクトが優秀というイメージがすぐ沸くかもしれませんが、パナセンスのサポートもかなり手厚い。通常の保証業務の他、クリニックと称した定期点検を3000円ほど(プレミアムエディションは無償)でやってくれます。手間を考えればほぼ実費だと思います。
 ⇒ レッツノート・クリニック 

  • 外観、内部のホコリを清掃
  • バッテリーの実容量をチェック
  • ウイルスチェック
  • HDDチェック
  • (有償オプション)天板カラー交換
  • (有償オプション)キーボード交換

ヒートシンクのホコリは放置しておくと熱篭もりの原因となり、熱暴走や、マザーボードを傷める要因になります。ベテランユーザーは自分で分解清掃したりしますが、それを公式にやってくれるのはありがたいですね。また天板の交換や、キーボードの交換もありがたいサービスです。ぜひとも他のメーカーにもやってもらいたいサポートだと思います。

 

ao.gif 総括

蹴茶の個人的評価まとめ。  >> 判断基準

初心者、エンターテイメントには目もくれず、ビジネスにターゲットを絞ったモデルです。

きしまない筐体、ソフトウェア面も含めて作業を邪魔しない設計思想はかなり快適です。あとはユーザーの求めるサイズに応じて、R、W/T、Yから選べばOK。これでバッテリーが持つわけですから、レッツノートが快調に売れている理由を再確認したレビューでした。Menlowバージョンが出たら末恐ろしい。

Rのサイズは応急的にメールを打ったり、Webで調べ物をする程度は便利ですが、大量の文章を打つには向いておらず、まとまった量をタイプするのならお薦めしにくいです。スピーカーと液晶も素っ気ないので、動画や写真を見たりと見せたりするプライベート用途にも向いてません。

光沢+LEDバックライトの高輝度モデルがあると、個人向けの物欲指数はグンと上がるとおもうのですが、Panasonicが対象を個人用途に広げるかどうかは疑問ですね(^^;

チェック箇所

評価

○ 良い点  × 気になった点

筐体

評価 5 

○ 局所的な強度は不足しているという話も聞きますが、筐体パーツのかみ合わせは
  抜群に良く、ガッチリ感は文句なし。PCカードスロットもシャッター式。

キーボード

評価 2 

× 短い縦ピッチ。ESC、Backspace周りの変則さ。タッチパッドのボタンが押しにくい
  不満ありとはいえ、物理的にどうしようもない中で良くできていると思います +☆1

排熱

評価 2 

○ パームレストが熱くならないのはGood
× その代わりキーボードが熱くなる クロックダウンのリスクが除外できていません

液晶

評価 3

○ 発色はまずまず
× ノングレア処理が強めなのか、視野角は狭い気が

騒音

評価 4

○ ファンは付きましたが、ファンコンを用意してくれているので静粛性優先も可能
× ファンの口径が小さいために、高周波は避けられず

ソフトウェア

評価 5 

○ 余計なおまけソフトが非常に少ない。純正ユーティリティは多いですが、どれも
  でしゃばらず、裏方に徹した動作がとても好印象です。

モバイル

評価 5

本来はゲームの欄ですが、統合コアなので今回は無視します。
変わりにモバイル欄を付け加えます。

総合 

3.5

無駄なソフトが少なく、純正ユーティリティも作業を邪魔しないよう裏方に徹しているのがひっじょーに好印象。筐体の完成度は間違いなく高く、PDAで満足できないビジネスマンには最強のパートナーといえます。個人のエンタメ用として使うには微妙。4.0にするかどうかかなり迷いましたが...サイズによる情状酌量をせず3.5にしました。

× 小問題  × 大問題

正直、3.5という点数は過小評価という思いはあります。ただ、蹴茶個人の用途として長時間のタイピングは外せないので、このようになりました。今後 Menlowプラットフォーム、SSDなどが採用されれば、熱問題は改善しそうです。液晶はワイド化はあっても、光沢化することはまず無いでしょうか。あと指紋認証とBluetoothも欲しいですね。今後のさらなる進化に期待してます。(液晶についての一部修正)

 ⇒ Let'snote R (パナセンス) 

◆ 評価ランクの指標 ver.2

旧採点法

評価 5 小さな不満が1〜2 名機レベル

90-100点

評価 4 小さな不満が3〜4 並みより上

80-89点

評価 3 大きな不満が1 まぁこんなもの

70-79点

評価 2 大きな不満が2〜3 失敗した買い物

50-69点

評価 1 不満だらけ 近日中に処分予定

0-49点

「価格を考えれば納得」といったコストパフォーマンスの良さが
認められる場合は通常の評価から1ランク程度アップさせます

 → 蹴茶 3Dゲームをノートで

 

 

 

 

ao.gif おまけ

拡張用のメモリモジュール。W7/T7はSO-DIMMになりましたが、R7はMicroDIMMになっています。

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面倒な省電力設定を一括でやってくれる

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詳細設定も可能。

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Intelのビデオドライバ。
アスペクト比の維持設定が可能。

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Panasonic製プロジェクターを制御できるユーティリティのようです。

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