dynabook T551 - NVIDIA 3D Vision対応 レビュー
なるべく最初に読んで下さい。 >> このレビューの判断基準
⇒ ハイスタンダードノートPC dynabook Satellite T551
まえがき
モデル名は「Satellite T551/WDTBB」。NVIDIA方式の立体視「3D Vision」に対応する東芝のゲーム対応モデルです。梱包を開けると最初にNVIDIAの3Dゴーグルが出てきます(写真は後ほど)。15.6型と視野を覆うには物足りない画面サイズですが、立体視はどのような印象をもたらすのか。見ていきたいと思います。
評価
最初に結論から。価格は考慮せず、ハードウェアの素の状態を採点します。
評価 | ○ 良い点 × 気になった点 | |
総合 | B |
2,3年前の『艶』が無ければdynabookにあらず的な風潮から徐々に脱却し、本機の艶コートは一部に限定されています。外観上は艶が綺麗ですが、じっくり使い込むのであれば不要です。実直さが増した点は好印象です。 内部の仕様的には、dynabookシリーズのなかではGPU性能が高いですが、外資系のハイエンドモデルと比較すると特に突出した感はなく、SSD搭載機でもないことからレスポンスは凡庸です。 本機の最大の特徴は立体視「NVIDIA 3D Vision」ですが、画面が小さい事もあって飛び出る感は乏しく、奥行き感がメイン。どのタイトルでも効果的とはいえず、目玉にするにはやや弱い。 |
筐体 | ○ 手の触れる部分から光沢コーティングが無くなったのは好印象 × 筐体剛性は普通 |
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キーボード | ○ パコパコ感は大幅改善。しっかりしたキーボード底になっています。 × 5点と迷いましたが、Enterなどが横幅短め、全体が左よりなので -1 |
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排熱 | ○ ザラザラした筐体の効果もあるのか、ほとんど気にならない × |
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液晶 | ○ 四隅で暗さが気になったりすることはなし × 黒部分もうっすらと明るく光が漏れ、視野角も狭い |
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騒音 | ○ 耳障りな音が少なく、最大で66dB × 最近は無音に近いPCもありますが、さすがに無音ではありません |
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ソフトウェア | ○ 以前は強烈にもっさりだったユーティリティの反応が大幅改善 × 依然としてゴッチャ煮でソフトが入っているバラマキ感がある |
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性能 モバイル |
○ 2009年のハイエンドクラスに相当するシェーダー数 96基のGPU × 3DMark06値で1万Pを超えなかったのはやや力不足、中の下 |
スペック
GPU | GeForce GT 540M (DDR3 1GB) |
CPU | Core i7-2630QM |
Chipset | HM65 |
メモリ | 4GB |
HDD | MK6455GSXN |
ODD | BD-MLT UJ240ES |
筐体
少し前のテカって当たり前の筐体から、使いやすさ重視の地味な筐体へと変わっています。地味ではありますが、夏場など手に汗をかきやすい環境ではテカテカよりこちらの方が快適です。
各種ポート
端子類は左右共に手前の方に集中しているのがやや気になります。ヘッドフォンやLANケーブルを繋ぐと髭のように両サイドから線が出るため、邪魔に感じるかもしれません。
右側
左側
前面
電源
キーボード
窮屈な配置になってしまいがちな15.6型のテンキー付き。
ですが、T551は比較的無理のない良配置だと思います。カーソルキーも一段下がっています。ブラウザ更新などで頻用する「F5」も左がスペースで区切られているのでタイプミスしにくいです。
キー表面は艶消しでしっとりした触感。キー上を滑るように撫で打ちする私には打ちやすいですね。底もたわむことなくしっかり。
タッチパッド周りのパームレストは押すとへこみますが、キーボード部分はよほど強く打たなければたわみません。
タッチパッドはすぐ上に専用のオン・オフキーが付いています。
液晶
ハードウェアID CMO1598
液晶はいまいち。黒に締まりが無く、視野角もいまいちです。
元画像
dynabook T551
輝度
隅の暗さはあまり気になりませんでしたが、全体的な黒浮きが気になります。
左:正面から 右:少し前に傾けて
騒音
ファンノイズは間近での測定でMAX 66.2dBA(3DMark06計測時)。変動幅大きくなく、高音が少ないことから気になるレベルではありません。
発熱
ベンチマークを走らせている最中でも温かくなる程度で、不快さはなし。
性能
コア数 96基の「GeForce GT 540M」を搭載しています。
性能は3DMark06で1万に届かず、GeForce 500M世代のなかでは中の下あたりの位置づけになります。しかし、3DMark06スコアは8000点オーバーと、「Intel HD Graphics」のような統合型グラフィックスと較べると遙かに高速です。
NVIDIA 3D Vision
本機の目玉立体視。専用ゴーグルも勿論付いてきます。
電池内蔵なので、USBケーブルで繋いで充電します。
NVIDIA 3D Vision 感想
バイオハザードデモ、ロストプラネットデモ、SuperSonic、3DMark06で試しました。
最初に言っておくと、画像が飛び出て思わず仰け反るといったシーンは皆無です。映画館での立体視感は視野を丸ごと覆う大画面あっての効果なので、画面が視野の一部で留まる画面サイズでは飛び出すというより、奥行き感がメインになります。画面枠のなかに、箱庭が置いてある感じです。
立体視をこのレビューでお見せすることはできませんが、原理としては以下の動画を参照。
ゴーグル無しでは2枚の絵が重なっているように見えますが、ゴーグルを通すと1つの絵しか見えません。ターゲットマーカーがわかりやすいですね。こうして左と右に若干ずれた映像を見せることで立体視を可能にしています。
上記のロストプラネット2デモは綺麗に見えるのですが、バイオハザード5デモはゴーグルをかけても滲んでしまいます(クロストーク)。Supersonic Sledも同じく滲みます。深度設定を変えてみましたがやはりダメでした。一方、立体視を想定していない3DMark06はドライバの立体視処理によってきっちり立体化。クロストークも見えません。タイトルによってかなり当たり外れがありますね。
NVIDIA公式の立体視対応リストは以下
→ NVIDIA 3D Visionによるゲーム
立体視で一番迫力があったのは初期セットアップ後のデモにでてくる右下のメデューサっぽいモンスターの静止画。
視野を覆えないのと、お目当てのタイトルで3D感が得られるかどうかわからない(合わないと目が疲れる)ので正直「欲しい?」と聞かれると微妙なところです。
3D Vision 設定画面
ACアダプタ
ACアダプタは120W。昔は100Wを超えると「うわ、すげー」と驚いたものですが、最近は当たり前になりましたね。サイズもそんなに大きくない。デスクトップ向けGPUの大食らいと較べれば可愛い物です。
ソフトウェア
かつては不満だらけだったFn+ファンクションで出てくる「Toshiba FlashCard」は動作が大幅に改善。結構サクサク動き、これなら不満はありません。dynabook R730ではデスクトップを動き回り邪魔だったぱらちゃんですが、本機のデフォルト設定では不在。ぱらちゃんを消そうとクリックすると分裂する恐ろしい仕様はオフィスアシスタントのイルカを超える逸材です。
初期セットアップ直後、デフォルトのデスクトップ画面です
プリインストールは相変わらずの多さです。
東芝謹製の節電(電源管理)ユーティリティが入っており、キーボード上に設置されたecoボタンで切り替わります。最近この手のユーティリティが脚光を浴びていますが、東芝は昔から力を入れていたこともあり即席で作った感はありません。
GPU-Z
GPU動作をモニターするGPU-Z
2枚目からはクロックの変化。性能に貢献する最大クロックはもちろんですが、アイドル時の発熱を抑える意味で最小クロックもしっかり下がっていることが重要です。
基本情報
最大値
最小値
Speccy
Speccy バージョンは v1.09.231
Window エクスペリエンスインデックス
CPUが足を引っ張っています。次点でSSD化されていないストレージ。
おまけ1
デスクトップ画面には3年間の延長サポートの告知が大きく出てきます。多くのユーザーは延長保証の存在など知ることなく、故障に直面してしまう人がほとんどだと思うのでこの告知はナイスです。
おまけ2
i1Match 簡易モードの測定結果。輝度設定はMAX。
あとがき
最大のアピールポイントである「NVIDIA 3D Vision」ですが、15.6型と画面が視野を覆うサイズではないことから、飛び出るではなく、奥行き感に留まっています。また立体視がよく効くゲームが、3D Vistion Readyタイトルであっても当たり外れがあるのは残念な点と言えます(体質的な個人差があるかもしれない)。
付属メガネが疲れるのも難点です。バッテリー内蔵でメガネ自体が重いのと、仕組み上、輝度、解像度も半分になるのでつい目を寄せてしまいがちです。ゲームプレイは映画のように1,2時間では終わらないことも多いので疲れます。
普段は3Dメガネ無しで遊び、たまに友達が集まった時などにネタとして立体視を披露して楽しむ。もし私が買うならそういった使い方をすると思います。