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ソフトバンク、Sprint買収狙う 気がつけば日本がTD-LTE先進国

米国第3位の携帯電話キャリア Sprint Nextel の買収騒動。
交渉の有無すら煙に巻いていたソフトバンクですが、Sprint側が肯定したことを受け「協議していることは事実」とコメントしなおしてます。

日経はソフトバンクが仕掛けた米Sprint買収はTD-LTEの普及を狙ったものとする記事を掲載。TD-LTEは世界各国で普及が進むポピュラーな(FD-)LTEとは違い、TD-LTEは後発の中国がプッシュする別方式のLTEです。
 → ソフトバンク、米スプリント買収で狙う中国LTE - 日本経済新聞

中国プッシュと聞くとゴリ押し?と思いますが、そこまで無理を通す話でもなく、周波数帯を有効利用しやすいTD-LTEが FD-LTEを補完していくことになりそうです。
 → TD-LTE方式のメリット・デメリット


■ 世界各国のTD-LTEへの対応は?

TD-LTEの商用サービスを開始、もしくは準備段階にあるキャリアは以下の通り
(参照: ITproGSAレポート、白地図はleebrimelow.com

TD-LTE世界地図


● TD-LTE ラウンチ済み ・ TD-LTE 試験・開発・検討中

 ● ポーランド
 ● サウジアラビア
 ● ブラジル
 ● オーストラリア
 ● インド
 ● スウェーデン
 ● イギリス
 ● オマーン
 ● ロシア
 ・ オーストリア
 ・ カナダ
 ・ フランス
 ・ ドイツ
 ・ マレーシア
 ・ チェチェン共和国
 ・ スペイン
 ・ 台湾
 ・ タイ
 ・ ウルグアイ
 ・ ベネズエラ
 ・ クロアチア
 ・ マダガスカル
 ・ モンテネグロ
 ・ ネパール
 ・ ナイジェリア
 ・ デンマーク


■ TD-LTE先進国、それは中国ではなく…

そしてTD-LTEの“本場”、中国移動や大唐電信の商用化は2014年ごろと言われる中、ガンガン実用化に突き進む国があります。

 “ ソフトバンク冬スマホ発表会: 全機種TD-LTEと互換性を持つSoftBank 4G対応

そうなんです、気がつけば 日本がTD-LTE先進国になっています。

ルーターという形では実質TD-LTEである “AXGP” ルーターが昨秋、既に発売済みですが、先日発表された冬モデルで主力スマホも対応が完了。TD-LTEの本格運用がスタートします。

“AXGP” ルーター
 → SoftBank 4G 発表、下り最大110Mbpsの高速通信サービス - Engadget Japanese


■ 排除勧告との絡み

ソフトバンクの米国進出で連想するのは、米国議会との絡みです。
先日米国下院は中国資本である HuaweiとZTEの排除勧告を出し、大きな話題となりました。
 → ASCII.jp:米政府、HuaweiとZTEの通信インフラを導入しないよう推奨
 → 華為技術(Huawei)製品に中国政府によるスパイ機能が仕組まれるか: 極東ブログ

HuaweiもZTEもソフトバンクとは蜜月関係です。もちろんエリクソンなど中国系以外とも取引してますが、HuaweiはソフトバンクとLTEの実証実験を一緒にやってますし、先日買収したイーモバイルの基地局ベンダーでもあります。ZTEはAXGPの基地局を手がけています。
 → 孫正義が絶賛する中国の通信ガリバー

民需を規制すればWTO行きですが、ソフトバンクにもなにかしら影響はありそうです。買収に横やりが入るという事態も無きにしも非ず。今後の展開が気になるところです。


関連
 → 蹴茶: ソフトバンク、XGPを終了しAXGPへ完全移行。その思惑とは [12.3]
 → 蹴茶: SoftBank 4G = ウィルコム AXGA ≒ TD-LTE [2011.10.4]

 → 「TD-LTEは最終的に世界の人口の46%をカバーする」
 → 「TD-LTE基地局の契約数と市場シェアはZTEが世界1位」
 → Time-Division Long-Term Evolution - Wikipedia, the free encyclopedia
 → 華為技術 日本株式会社(ファーウェイ・ジャパン)会社概要