03
20
2013
過去のAppleによるシャープ出資話まとめ

過去のAppleによるシャープ出資話まとめ

日本経済新聞が「背水のシャープ」特集を組んでます。
 → (1)「裏切り者が」 サムスン提携に怒る鴻海

第1回は先日のSamsung出資と、鴻海会長ドタキャン再びのお話。
 → 蹴茶: Samsungのシャープ出資、ディスプレー事業出遅れの焦りか [3.8]

鴻海が「技術を出せ、経営参画!」と主張する一方、Samsungは「先端技術いらない、経営も興味無い」。なのでSamsungから出資を受けたという話。


第2回は亀山第1工場と亀山第2工場、工場ごとの事情を書いています。
 → (2)「液晶帝国」に列強の租借地、綱渡りの提携戦略

・ 亀1にはApple社員数十人が常駐するシャープ社員すら立ち入れない機密エリアがある
・ 亀1は2012年10~12月期はフル稼働するも、iPhone 5 のピークが過ぎると稼働率低下
・ 亀2は iPad 2 向けの供給が激減 → 減損危機
・ Samsung「亀2の32型パネルを買おう」→ 減損回避

鴻海はシャープの経営危機をテコにシャープの技術と経営を狙っていたと思われますが、シャープは折良くSamsungと利害が一致し、ぎりぎりで綱渡りできた形になります。見方によってはSamsungが横やりを入れたようにも見えます。


そしてApple。亀1にシャープ社員すら立ち入り禁止のAppleエリアがあるそうです。

これで思いついたのが、iPhone 5 のインセルパネル。インセルはソニーやシャープが技術を有する最先端のタッチパネル技術ですが、iPhone 5 のインセルはApple自身の設計によるものとする見方があります。
 → 蹴茶: iPhone 5 のインセル型液晶パネルはApple自身が設計? [11.21]

いくら設計ができても、実際の製造ラインで試作しないことには使い物にはならないと思うのですが、どこで試作ラインを確保したのか謎といえば謎でした。もし亀1の設備を自由に使えるのであれば、亀1で製造工程を煮詰めた可能性もありますね。



Apple、過去のシャープへの出資話

Appleによるシャープへの出資話は私の見聞きしただけでも過去に数度出ています。

まず2011年1月。

液晶の投資はそれぞれ1000億円を超える金額で、その大半をアップルが負担する枠組み。アップル側が出した条件に有機ELへの移行が含まれているという。
 → 東芝とシャープ、米アップル向け有機EL生産を計画 - 日刊工業新聞



この有機ELというネタは完全にスカしてます。

次に2011年8月。上と同一案件かもしれませんが、

シャープの亀山工場に10億ドル(約766億円)を投資する可能性がある。
 → 米アップル、シャープ亀山工場に10億ドル投資の可能性=アナリスト | Reuters



そして2012年11月。

アップル、シャープ救済のため23億ドルを拠出か | Appleウォッチ | トピックス | Computerworld - エンタープライズITの総合ニュースサイト
 → アップル、シャープ救済のため23億ドルを拠出か | Computerworld


詳しくはこちらも。
 → アップルは20億ドルでシャープを救済した? | maclalala2



シャープ下期営業黒字へ

まるで強国に囲まれた弱小国家のごとき外交手腕ですが、なんとか下期の黒字に目処を付けています。

シャープはすでに、サムスンにテレビ用の32インチ液晶パネルなどの出荷を開始。低迷していた亀山第2工場(三重県)の稼働率は6割程度に改善し、全社でも黒字を確保したとみられる。
 → シャープ、下期営業黒字へ サムスンからの液晶受注奏功 (朝日新聞デジタル)



今後は円安の恩恵が得られるので、パネルの競争力はついてきます。
気がかりはSamsungとの提携によるAppleとの距離でしょうか。