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2013
博打に勝ったソフトバンク、TD-LTE対応 iPhone 登場を示唆

博打に勝ったソフトバンク、TD-LTE対応 iPhone 登場を示唆

※2013/6/28更新 松本氏の打ち消しツィートを追加。引用範囲を少し拡大。

ソフトバンクモバイルの元副社長、現在は特別顧問の松本徹三氏がTD-LTE対応 iPhoneの登場を示唆しています。

加入者数が142万1200になったとし、次のように語っている。
「ソフトバンクはiPhoneに集中してきたため、Androidがここに及んでいない。そしてiPhoneはTD-LTEをサポートしていない。それが、数字がそれほど大きくない理由だ」

一方で、松本氏が「ただ、今年はおそらくこの数値が跳ねる。理由は言えませんが」と述べると、会場は笑いの渦に包まれた。この発言の裏には、TD-LTE対応iPhoneの登場を示唆する意味合いがありそうだ。
 → TD-LTEの普及状況を語るソフトバンク、3.5GHz帯での実験も予定



巧い。美味すぎる展開。

「誰か引き取れよ!」

的な存在だったウィルコムを約410億円で引き取ったソフトバンク。
当時は “大誤算” などと揶揄されてました。

 → はてなブックマーク - ソフトバンク〝大誤算〟 ウィルコム全面支援で410億円の借金背負う - SankeiBiz

ところがどっこい、TD-LTE対応iPhoneが出れば状況は一変します。
AXGPは当初は「次世代PHS」という触れ込みでしたが、名前は国産にこだわる総務省への配慮であって、中身はTD-LTE互換です。

 → 松本氏「TD-LTEと100%互換性があり、エコシステムを共有できる」
 → 孫氏「TD-LTEに100%互換」
 → 基本的には端末側は何もしなくてもそのまま100%コンパチで動くように

ソフトバンクCTO 宮川氏
元々、AXGPはオフロード用の位置付け。だから、AXGPと同じ時分割方式(TD)を使うTD-LTEとの互換性確保にこだわった。これから主流になっていくLTEのチップセットを搭載した端末ならTD-LTEでも使える。その端末からAXGPを使えるようにすれば、本来はLTEで吸収すべきトラフィックを、新しいインフラを打つことなくオフロードできることになる。
 → ITpro



410億円で敷地込み、鉄塔込み、そして周波数帯域込みの実質 iPhone専用のネットワークが手に入ることになります。これは安い。



確信はあったのか?

ソフトバンクがウィルコム支援に名乗りを上げたのが2009年。ウィルコムは元々KDDIグループでしたので、KDDIが積極的に乗り出せば引き取ることも可能だったはずですが、ここでみすみすライバルに譲り渡したことになります。

もっとも、TD-LTE対応 iPhoneの話が表舞台に現れはじめたのが2011年ごろ。
 → 「アップル、iPhoneのTD-LTE対応を確約」- チャイナ・モバイル会長がコメント - WirelessWire News

2009年時点で、次世代PHSをTD-LTEコンパチにし、さらにTD-LTE対応 iPhoneに流用できると読みきるのは高すぎるハードルです。故ジョブズ氏に内々に情報をもらっていたりすれば別ですが、iPhoneと距離を置いていたKDDIには無理な話です。

孫社長が当時、どのような皮算用でウィルコムを買ったのか。
これはぜひ直撃取材で明らかにして欲しいネタです。

アプリの発祥の地アメリカ、成長力第一の中国、そして加入者の増加で中国をも上回るインドでTD-LTEが始まるというのが、私のTD-LTEブレイクの予感の根拠である。LTEの時代にはFDDよりもTDDが主流になるのではないかという感じさえしている。
 → TD-LTEのブレイクしそうな予感 - ウィトラのつぶやき





追記:松本氏の追加コメント

松本氏がツィッターにて先の発言をかき消すようなツィートをされています。
長いのでまとめて。

現在AXGPの基地局は3万台になっているのに、加入者数は150万にも満たない。うまく行っていないのではないかという人がいるので、この理由を「ソフトバンクの主力はiPhoneなのに、AXGPはAndroidしかないからだ」と、上海で説明しました、ところがこの後に一言、I expect this number will soon will jump up, though I cannot tell you the reason why と言ったのが憶測をよんででいる様なので、大変当惑しています。

まず、「理由」はexpect の理由であって、jumpの理由ではありません。次に、soon ほ今年かもしれないし、来年かもしれません。そしてその理由は、Android端末の拡大かもしれないし、iPhoneのTDサボートかもしれません。何れにせよ、私は現状を説明したり、将来を予測する事はできても、他社の方針についてコメントする立場にはありませんから、色々な憶測をされるのは困るし、大変迷惑している事をお伝えしておきます。尤も、公の場での発言にはもっと気をつけなければと反省はしていますが。

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ケータイwatchでは
「ただ、今年はおそらくこの数値が跳ねる。理由は言えませんが」
となっており、今年跳ね上がるなら “主力” のiPhoneしかないと読めますが、松本氏は「今年とは言ってない」と否定する展開となっています。


iPhone 5s, 5c リリース、AXGP対応せず

iPhone 5s LTE バンド
出典: Apple - iPhone 5 - View countries with supported LTE networks.


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