「量子ドットが熱い」液晶の色を鮮やかにする量子ドット

幅広い分野で研究が進む量子ドット Quantum dot。
ディスプレイ業界ではここに来て一気に製品化の波が押し寄せています。


ディスプレイにおける量子ドットの役割

“量子ドットの役割は、青色LEDからの光の波長変換を行い、望む光の色を得ること”

　→　今、量子ドットが熱い - 日経テクノロジー


現在、LEDを使ったバックライトには、RGB（赤・緑・青）の3色のLEDを全部使う手法や、青色や紫外線LEDをベースに蛍光体で赤・緑を得る手法があります。

ノートパソコンなどではコストに優れた後者が主流。

そして、Kindle Fire HDX 7 への採用で注目を集める量子ドットLEDはまた別の技術です。

　→　Mini Tablet Display Technology Shoot-Out
　→　蹴茶: Nexus 7 に色域で劣る iPad mini Retina [11.20]

3Mと提携するNanosys社の資料を引用すると、365nmの紫外線から、異なる量子ドットを併用することで青から赤まで様々な色を作り出しています。



3M社が製品化した QDEFフィルムは青色LEDバックライトをベースに、赤と緑を作り出す量子ドットを内封しています。



これにより白色LEDよりも、さらにハッキリした色を得ることができる仕組み。


出典: Nanosys_DW2013.pdf



日本の技術？

日本メーカーの技術？
/ 見てみたい！次期iPhoneはさらに美しい「量子ドットディスプレイ」を搭載？
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― 夏野 剛 Takeshi Natsuno (@tnatsu) 2014, 2月 25

目下、ディスプレイ業界での量子ドットをリードするのは以下3社。

　・ Nanoco社（イギリス）
　・ Nanosys社（ドイツ）　→　Kindle Fire HDX 7
　・ QD Vision社（アメリカ）　→　ソニーブラビア

量子ドットの応用範囲は非常に広く、日本でも様々な研究開発が行われていますが、ことディスプレイにおいては日本がリードとは言えないと思われます（参考）。



課題

量子ドットの今後はバラ色一直線かというとそうでもなく、高性能な量子ドットにはカドミウムが使われるという問題が存在。

「Color IQ™」を用いてQD Vision社が製造した光学部品には、ごく微量のカドミウムが使用されていますが、これは密閉されたガラス内の硬化した樹脂に封止されたうえで、テレビに内蔵されております。そのため、お客様はカドミウムに触れることなく、優れた画質をお楽しみいただけます。

　このテレビは、ソニーが販売する地域・国の環境法規制に準拠しています。ソニーは製品のライフサイクルを通じて環境保護に取り組んでいます。このテレビについても、修理や廃棄時に、「Color IQ™」を用いた光学部品の適切な回収、取り扱い、リサイクル、廃棄がなされるよう、環境法規制に基づいて、関連する情報を消費者、修理業者やリサイクル業者などへ提供していきます
　→　一部のテレビに搭載されている「Color IQ™」について | ブラビア | ソニー

ソニーがカドミウムの回収を謳う一方で、Kindle Fire HDX 7 でカドミウムの話を全く聞かないのはちょっと不思議なところです。Nanosysの部材を採用しているようですが（参照）、Nanosys曰く「RoHS指令での規制値以下」だからでしょうか（参照）。

カドミウムフリーの量子ドットも徐々に登場。

　→　Cdフリーの技術でDow Chemicalと組んだNanoco




Kindle Fire HDX 7 の青帯問題

Kindle Fire HDX 7 は青色LEDの色が漏れるという問題が生じています。

これまでも縁から漏れていたのかもしれませんが、白色LEDから青色LED+量子ドットに変わったので色が目立つようになったのかもしれませんね。

　→　山口真弘氏レビュー：軽量化のメリットは大も、画面端にみられる青帯に注意
　→　「Kindle Fire HDX 7」のポジティブ過ぎる"言い訳"が気になる。(鴻池賢三)




Appleも

Appleも量子ドットの技術特許を取得しており、iPhone、iPadにも遠からず導入される可能性があります。

　→　Appleが量子ドットディスプレイの実用化で三つの特許を出願 | TechCrunch Japan




MSMSシャッターなども興味は尽きないですが、今後もディスプレイ技術は熱い時代が続きますね。

　→　蹴茶: Qualcommとシャープが作るMEMSディスプレイとは [2012.12.5]



参考ページまとめ