EIZO新商品説明会の話とUSBディスプレイ
先日行われたEIZO新商品「FlexScan EV2411W」説明会の模様をお届けします。前回はこちら → 蹴茶: [プチ特集] EIZO主催の液晶勉強会に行ってきました 2008.5.15
⇒ FlexScan EV2411W-H ブラック 製品ページ
「FlexScan EV2411W」は先日発表されたばかりの最新モデル。EcoViewをテーマに、LEDバックライト採用による省電力仕様や自動調光による省エネ設計が特徴です。公式の視野角スペックが上下/左右ともに178度ということで「TNなのにすげー」と思うのですが、少々実態は異なるのでその辺も書いていきます。
→ ナナオ、エコに配慮した24.1型WUXGA液晶
◇Q&A
今回は技術に明るいというイエナガ氏が同席。
色々と質問してきました。
Q.ナナオの視野角スペックについてですが、条件はすべて同じなのですか?
A.いいえ、TNモデルはコントラスト比 5:1、TN以外のモデルは 10:1になっています。
「FlexScan EV2411W」はコントラスト比 10:1では縦160度、横170度となります。
[蹴茶]
TNパネルなのに上下視野角が一緒という時点で胡散臭いのですが、やはり条件が違うそうです。買う側からしてみればモデル毎にスペック基準が違うなどというのは不便極まりない話です。どこぞの新興ブランドがやるならまだしも、信頼があるからこそユーザーが高くても買ってくれるナナオがそんなことをやっていいのか?という気はします。
Q.今回色域は書かれていませんが、色域はどの程度ですか?
A.72%です。
これは「ビジネスワイド」と分類しているモデルであまり色域には重点を置いていません。
[蹴茶]
LEDだから色域が狭いというわけではなく、使っているLEDの種類によります。最近出たVAIO type Aがそうであるように、3色LEDなどを基に設計すると異様に広い色域を確保できます。3色LEDなどは高コストのため、ターゲットの違いで使い分けられています。
Q.LEDバックライトの寿命はどの程度ですか?
A.CCFLと同程度です。
[蹴茶]
長寿命と紹介されることの多いLEDですが、大電流が流れる高輝度LEDでは封止材料の劣化など光量のダウンが早々と起きます。
ただ寿命に関しても現在猛烈に進化中で、今後さらに長寿命化していくでしょう。
Q.TNを選んだ理由は?
A.パネルの寡占が進んでおり、エッジライト式のLEDバックライトを使おうとするとTN以外に選択肢がない。VAのほとんどが消費電力的に不利な直下型のLEDバックライトになる。
[蹴茶]
開口率の差などもありVAパネルは省エネに向いていないですが、コスト面でも日本以外では画質よりコストの傾向が強いため、低コストで作りやすいTNが他を圧倒しつつあります。(ちなみに24型クラスの中型パネルは台湾・韓国系メーカーが非常に強い)
あと欧米では環境負荷のラベリングがますます重視されるようになり、環境規格を満たしていない製品は大手企業からはそっぽを向かれる事態に。これも省エネしやすいTNパネルにとっては追い風だと思います。
◇ ここからは新製品以外の話
Q.DisplayPortは検討してますか?
A.もちろんです。ただ規格自体の歴史が浅く、互換性があまり取れていない。
出力側のビデオカードも数が少ないため、開発は難航している。
Q.最近21型のフルHDパネルが各社から続々と出てきていますが、EIZOから出る予定は?
A.いまのところないです。
[蹴茶]
最近になって続々と発表されている21.5型のフルHDパネル。24型より一回り小さく高解像度が実現できる魅力的なパネルですが、目下の所ナナオから出る予定はないようです。TNなのでピボット縦では使えない可能性大ですが。
→ ベンキュー、実売34,800円の1080p対応21.5型液晶
→ LG、フルHD対応の3系統入力21.5型ワイド液晶
→ アイ・オー、地デジ内蔵の21.6型フルHD液晶を発表
→ 【地デジ/WiMAX編】三菱が未発表の地デジ搭載フルHD 21.5型液晶を展示
Q.ミニディスプレイの製品化予定は? USBディスプレイは?
A.USBディスプレイもコントローラーを作っているメーカーが限られており、難しい。
また速度の問題から、どうしてもカクカクした表示になってしまう。
[蹴茶]
個人的にホームサーバーの確認用にミニディスプレイが欲しいということもあってぶつけてみた質問ですが、イエナガ氏によれば内々にUSBディスプレイの試作品のようなものはもちこまれたことがあるらしい。またイエナガ氏もアイデアとしては以前提案したことがあるらしいですが、どの程度市場に受け入れられるかが全く未知数で、製品化の予定はないとのこと。
で、その話をした次の日にSamsungからUSBディスプレイの新型が発表されました。
実売はおそらく1万円前半。SamsungはUSB接続に積極的です。
→ サムスン、USBディスプレイにもなるフォトフレーム
ホームサーバー用のプチディスプレイに最適なサイズではありますが、USB接続ではBIOS画面はおそらく見ることができないでしょうね。USBディスプレイの共通規格ができてBIOSが対応するか、DVI端子付きミニディスプレイのどちらかに期待。
→ 日本Shuttle、7型タッチパネル液晶搭載キューブ「D10」
Q.USBディスプレイでは帯域が問題とのことでしたが、USB3には期待されてますか?
参考 → 蹴茶: USB3.0デモ近づく IEEE1394も高速化へ 2008.8.18
A.USBの弱点が解消される規格だと思います。
画像表示はもちろん、液晶が(周辺機器の)ハブになれる可能性もあります。
どちらかというとおもちゃに近いUSBディスプレイというのは、高画質を信条とするナナオにとっては邪道なディスプレイかもしれず、なかなか冒険はできないのかもしれません。
◇「FlexScan EV2411W」の実際の映りをチェック
写真ではピボット機能で90度回転させているので左右になりますが、やはり上下の視野角は厳しいです。ちょっとだけ横から覗いても反転してしまいます。個人的にピボットで縦にして占有スペースを小さくした状態で、ノートの傍らに置きたかったのですが、この視野角だと厳しい。
先日レビューしたGatewayのAUOパネルはTNながら、上下視野角もかなり良かったのですが、視野角拡張フィルムの差なんでしょうか。表面フィルムについてはナナオ側ではどうしようもないそうです。提供されたパネルのものをそのまま使うとのこと。
参考
→ site:www.yano.co.jp フィルム・シート市場 - Google 検索
→ 蹴茶: 最近TN液晶だらけ? TN復権に視野角改善フィルムあり 2008.9.19
◇ C@T-one
裏返すとパワーポイントが操作できるというマイクロソフトのプレゼンターマウスというのがありましたが、これは裏返すとTVリモコンになるという円形マウス。見た目の第一印象から受けるほど持ちにくくはないのですが、決して持ちやすくもないです。
TVをよく見る人にはコンセプトが合致するかもしれませんが、価格がかなり高いので売れるようには思えないのですが...どうなんでしょうね。