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初音ミク AX2011 ミクノポリス 海外の反応を探ってみた
※ YouTubeを埋め込んでいるため重いです。しばらく読み込ませてください。2011年7月2日のロサンゼルス公演成功(AnimeExpo2011)で話題のボカロ(=初音ミク)。日本人ファンの身内びいきではなく、海外で本当に盛り上がっているのだろうか? そんな疑問をGoogle Insights for Search(検索数の推移)で確認してみました。
→ Google Insights for Search
→ データはどのようにして抽出されますか? - Insights for Search ヘルプ
ロサンゼルス公演の模様については以下リンクページからどうぞ
→ 初音ミク MIKUNOPOLIS リンク集
◆ 目次
- 検索条件
- 米国
- Hatsune Miku 検索の推移
- AKB48、Gorillazと比較
- ガガ様を混ぜてみた
- 日本
- Hatsune Miku と 初音ミク の差
- Hatsune Miku と Vocaloid の差
- Hatsune Miku 検索ボリューム地図
- 検索人気度の国ランキング
- 検索語:初音ミク, Hatsune Miku, 初音未來
- 検索語:Hatsune Miku, 初音未來
- 検索語:Hatsune Miku
- 欧州
- イギリス
- フランス
- ドイツ
- スペイン
- ロシア
- 南米
- チリ
- アジア
- 台湾
- フィリピン
- インドネシア
- タイ
- マレーシア
- まとめ
■ 検索条件
URL | : | http://www.google.com/insights/search/ |
期間 | : | 2007年7月~2011年7月(「初音ミク」発売日 2007年8月31日) |
検索日 | : | 2011年7月17日 |
検索語 | : | Hatsune Miku 初音ミク(日本、台湾) 初音未來(アジア圏) Мику Хацунэ + Мику Хацуне(ロシア) |
■ 米国
○ 「Hatsune Miku」検索の推移
地域を「米国」に設定し、検索の推移を見てみます。
[A] Digital diva Hatsune Miku makes her U.S. debut at this weekend’s Anime Expo
AnimeExpo公演があるよという事前のニュース
[B] Toyota’s New U.S. Saleswoman: Virtual Idol Hatsune Miku - Driver's Seat - WSJ
ウォールストリートジャーナルがTOYOTA CMに初音ミクが採用されたことを報じる
[C] Japanese 3D singing hologram Hatsune Miku becomes nation's strangest pop star
昨年「ミクの日感謝祭」の映像が世界中で取り上げられる
元もと徐々に増えていましたが、今年になって跳ね上がっておりTOYOTAの影響力が見て取れます
初音ミクのアニメは存在しませんが一般的には「Anime」、下手すると「hentai」に区分されて終わってしまうところを、大手メーカーの広報採用(WEB限定?)により、Otakuの垣根を越えて興味を引いたと思われます。
○ AKB48、Gorillazと比較
Hatsune Mikuの検索トレンドだけ見てもピンと来ないので比較してみます。
まず昨年2010年のAnimeExpoゲストだった「AKB48」、
そして老舗バーチャルバンドである「Gorillaz」と比較してみます。
Gorillaz強いですね。Gorillazは映像としてカートゥーンを使いますが、ボーカルは合成ではなく人間が歌っています。2010年のGorillazは各国の主要チャートにランクインした3rdアルバムをリリース。ライブ活動も活発に行われた年です。
検索期間を2011年1月~に設定しなおし拡大
一瞬だけ公演パワーでGorillazを超えてます。さらに拡大、2ヶ月間のグラフ↓
○ ガガ様を混ぜてみた
ちなみにガガさんを混ぜると桁違いのボリュームによりグラフ崩壊。
「最も検索された女性」でギネス認定は伊達じゃありません。
■ 日本
米国がアウェーなら、ホームである日本の傾向はどうでしょうか。
キーワード「初音ミク」、地域「日本」で検索したのが以下。
興味深いことに検索トレンドとしてみると登場時のインパクトを超えることができていません
ニコ動ランキングなどのツールもあり検索する必要があまり無いのもありますが、「ミクの日感謝祭(2010年3月)」も国内ではほとんど報道されておらず、一般層の興味を引くには至っていないと思われます
→ 蹴茶: 初音ミクを取り上げる海外メディアがその後も相次ぐ 追記 2010.11.12
→ 東京ITニュース 初音ミク コンサート
■ 「初音ミク」と「Hatsune Miku」
「初音ミク」「Hatsune Miku」「初音未來」で地域「すべての国」で検索したのが以下
検索数の盛り上がらない日本を尻目に、アルファベット圏ではジリジリと検索数を増やし、最近では「Hatsune Miku」が「初音ミク」を上回っています。「初音未來」は主に台湾と香港です。中国本土は検索といえばGoogleではなく百度なので統計には入ってきていません(Google香港のシェアは多少あり)。
■ 「Hatsune Miku」と「Vocaloid」
ヤマハの音声合成技術としてのワードである「Vocaloid」と「Hatsune Miku」を地域「すべての国」で比較したグラフが以下。
世界的に見ると「Vocaloid」という技術的側面が注目されていたと言えます。LA公演をきっかけに逆転。ただこの傾向に沿わない例外国もあります。これは別ページにて。
■ 「Hatsune Miku」の検索ボリューム分布
検索ボリュームマップ。検索数の絶対数ではなく、総検索数に占める割合です。
中文を入れると台湾が筆頭になるのですが、アルファベットだけだと東南アジアでよく検索されており、メキシコ、南米、ロシア、オーストラリアなどがボリュームレベル的には高くなっています。
■ 検索人気度の国ランキング
検索の絶対数ではないのでご注意を。
人口の少ない国でも活発に検索されると上位に上がってきます。
○ 検索語:初音ミク, Hatsune Miku, 初音未來
台湾での人気は予想通りといった感じですが、欧米勢はランクインしていません
○ 検索語:Hatsune Miku, 初音未來(「初音ミク」を除外)
日本語を外すと台湾・香港がランクを下げ、フィリピン、シンガポールが上位に上がってきます
台湾・香港では「初音ミク」で検索されているケースが非常に多いです
○ 検索語:Hatsune Miku(「初音未來」を除外)
ここで10位に米国が入ってきます。中南米勢が謎の存在感
もうお腹いっぱいかと思いますが、さらに詳しく見ていきます。
■ 欧州
○ イギリス
Gorillazの地元である英国
米国と似たような推移です
○ フランス
AnimeExpoと同時期にJapanExpoが開催され、よく国内メディアで日本のサブカル人気が報道されるフランス。
ミクの日感謝祭のインパクトを超えていません。自国のイベントで忙しい?
○ ドイツ
フランスのJapanExpoを上回る規模とも言われる日本祭りヤーパンターク(Japan-Tag)が6月に開催されるドイツ。もし欧州でボカロコンサートするならドイツも可能性大です。
フランスとは逆に今回のLA公演のインパクトが色濃く出ています
ちなみに朝日新聞が作ったボーカロイド動画の統計では、欧州からはドイツが一番多いらしい
(一般人は統計は見られません。↓中の人特権。)
○ スペイン
実はボカロ生誕の地であるスペイン。初めて子音を喋ったのはバルセロナの地です。
→ Togetter - 「ヤマハ・剣持秀紀氏のVOCALOID開発昔話」
検索語「Vocaloid」で調べると2007年から検索がかけられていますが、初音ミクは2008年に入ってから関心を持たれています
○ ロシア
とりあえず欧州に分類。
歌い手Fyeさんが一時期話題になったロシア。他国と較べて検索人気度は比較的高め。
検索語として「Мику Хацунэ」と「Мику Хацуне」を追加。
フランスと似て感謝祭のインパクトは現れていますが、LA公演の影響は少なめ
■ 南米
○ チリ
南米で検索人気度の高いのがチリです。
感謝祭のインパクトが綺麗に出ています。LA公演の影響もくっきり。
■ アジア
○ 台湾
アジアのなかでも特にサブカルへの関心が高い台湾。検索語に「初音未來」を加えています。
2007年に既にピークがあるなど日本と非常に似てます。
サブカルに関してはほぼリアルタイムで話題が展開されています
○ フィリピン
英語圏のイメージもあるフィリピンですが、タガログ語ベースのフィリピン語への移行が進展中。そのフィリピン語のボカロ曲もしっかりあります。
○ インドネシア
2009年からジャカルタ日本祭りが行われ、その中で日本アニメ映画祭なども催されているようですが、サブカルはどうなんでしょうか。
○ タイ
ネギキーホルダーを売っているらしい。Vocaloidは「โวคาลอยด์」と書くようですが、初音ミクもタイ語あるのだろうか。
○ マレーシア
Comic Fiesta、GACCなどサブカルイベントが翻訳系サイトに載ったりしているマレーシア。
結構初期の頃から検索されてますね
■ まとめ
日本 では既に「初音ミク」がサブカル層、音楽業界等々には周知されているためか、イベントがあってもあまり検索が増えてません。潜在的支持層の壁を越えて一般に波及すかどうかはテレビ報道の有無で決まると思われます。無理に超える必要もないですが。
海外 では知名度が低く未開拓な潜在的支持層が残っているためか、ここ数年はほぼ右肩上がりに検索数が増えています(日本とほぼリンクしている台湾除く)。イベントのニュースなどにも綺麗に反応が出ています。
Japanイベントがニュースになりやすい欧米と較べて、アジアのイベントはあまり報道されないので支持層のイメージが掴みにくいのですが、着実に浸透はしているようです。それにしてもミクさんは何カ国語で歌っているのだろうか。