dynabook V65W - SpursEngineのレビュー。 >> このレビューの判断基準
→ dynabook V65W - SpursEngine 詳細&ユーザーレポート
⇒ dynabook V65W 公式
今回のレビューは「dynabook V65W」。東芝がかなり前面に押し出してきている主力機で、その特徴はSpursEngine搭載です。SpursEngine搭載により、昨今HDDレコーダーでトレンドとなっている○倍録画に対応しています。天板色は往年の派手さがなりを潜めた赤色。
各メーカー競って伸ばしている圧縮録画。V65Wはこれ→
→ ASCII.jp:10倍録画が驚くほどきれい!? ソニー「BDZ-RX105」速攻レビュー
→ ASCII.jp:パナソニックから10倍録画対応の「ブルーレイDIGA」登場
→ ASCII.jp:BDレコも7倍録画!「AQUOS BD」登場
価格は変動する物としてあまり考えず、ハードウェアの素の状態を採点します。
評価 | ○ 良い点 × 気になった点 | |
筐体 | ○ キュッと締まった印象の筐体。背面にもコネクタがあり、分散している。 × 天板の貼り合わせが雑。WXWよりマシですがパームレストの光沢は難 |
|
キーボード | ○ 柔らかいキータッチは好みです。キー配置は他の外資よりも余裕あり × 若干地味になったが依然として光沢。タッチセンサーが邪魔。たわみあり |
|
排熱 | ○ 熱感ゼロではないものの、体温以下でほぼ気にならない × 夏場にどうなるかはちょっと気になるところ |
|
液晶 | ○ 真っ正面から見ている分には綺麗と言われそう × 視野角が狭い、コントラストが低く黒浮きする |
|
騒音 | ○ 高音ではない × 頻繁に回転数を変えるので耳障り。アイドル時でも静かにならない |
|
ソフトウェア | ○ 消費電力モニターなど他社にないツールが色々ある × 数が多すぎ、動作が不安定でエラーが頻発する |
|
性能 モバイル |
○ テレビ録画が多いなら意味のある構成 × 統合グラフィックスなので3D性能は底辺クラス | |
総合 | 3.5〜4 /5 | 評価はSpursEngineの使用頻度で大きく変わります。テレビを録画する機会が多い人にはかなり重宝します。テレビ録画よりもゲームが大きなウェイトを占めるケースでは、SEは無用の長物となるため独立GPU搭載ノートを探すことをお勧めします。 判断に迷うのがエンコード派のユーザーさんですが、目下Aviutlで使えるプラグインなどもありますがまだ自由度が少なく、やはりSEではなく汎用性の高いQuadコア機を押したいところです。 |
GPU | Intel HD Graphics |
CPU | Intel Core i5-430M (Arrandale) |
Chipset | Intel HM55 |
メモリ | PC38500 DDR3 2GB |
HDD / ODD | 東芝 MK3263GSX 320GB / Panasonic BD-MLT UJ 240ES |
Network |
「ダイエット成功」
ずっとWXWというボリュームのあるdynabookをいじってましたので、薄さのインパクトが強い。独立GPUというゲーマーの生命線を捨てましたが、その代わりに得たこの引き締まった筐体。スピーカーサイドのつや消しの曲線がとてもカッコイイ。冷却ファンは裏面に吸気口が1つ。横から排気します。
USBが右手前1、右奥1、左手前2といい感じに散っており、Ethernetは背面になっている。USBがもう1つ背面に1個あればなお良かった。USB以外にもUSB共用のeSATA、VGA、HDMI端子が用意されている。
前面
右側面
左側面
背面
旧dynabook WXWのキーボードは何だったのかと思うほど、キータッチはまともです。たわみはありますが、カチッと押し初めの固さが無い、この軽いタッチは好みです。
プリントスクリーンやF12を押しにいって、タッチセンサーに触ってしまう難点は変わらず。フルスクリーンでゲーム中にTVビューアーが立ち上がったりすると最悪の事態を招きます。
タッチパッドはシームレスなタイプ。特に指認識が不安定ということも無かったです。またヒューレットパッカード機のように、タッチパッドのすぐ上にオンオフボタンが付いており、即切り替えることができます。
harma/kardon銘付きのスピーカー。あまり聞く機会を設けなかったのでノーコメントで。
典型的なTN液晶で、左右の視野角はまだマシですが上下は非常にシビア。視線が少しずれると白みがかりコントラストが低下します。最大輝度がさほど高くないのですが、暗部の浮きも気になります。
輝度は以下のよう。室内で使って暗いと思うことはないですが、日射しの入る窓際で使うと見えづらいかも。
60 | 79 | 77 |
64 | 86 | 80 |
63 | 69 | 63 |
AVG 71.2 |
アイドルでもうるさい。アイドルで52W前後、MAXで60W台中盤です。アイドル状態でも耳にしっかり音が届く状態で回転数が上下するため、うるさく感じます。
問題なし
右のパームレストの中央より、ちょうどタッチパッドの右隣にあたる部分が多少熱くなりますが、測ると32度前後。体温に近づかなければ不快な感じはないです。
左パームレストは30度以下。
これは問題有り。
プリインストールアプリが非常に多いです。多すぎて、不安定動作を招いています。具体的にはTVビューアーが落ちたり、Ecoマネージャーが落ちたり、エクスプローラーが落ちたこともありました。さして使い込んでいないデフォルト設定でここまで不安定なのは良くない。
「0」キーを押しながら電源ボタンを押して起動させるとリカバリが可能です。初期ソフトウェアが非常に多いため、リカバリにはかなりの時間を要します。2、3時間は勝手にセットアップと再起動を繰り返していたと思います。
最新タイトルは明らかに荷が重いので、少し前の「Call of Duty 4 デモ版」を試してみました。下のグラフがFPSモニターツール「Fraps」で測定したFPS変化です。オプション設定はほぼデフォルトのまま、解像度設定だけ画面の1366 x 768にあわせてあります。
Call of Duty 4 デモステージ スタートからクリアまで
結果は快適の目安である30 FPSを下回る結果に。ところどころでFPSが跳ね上がっているのはキーアサイン変更などでオプション画面を出したせいかもしれません。
一部の商業誌レビューでは「ほとんどのゲームが楽しめる」と書かれているIntel HD Graphicsですが、私の印象ではとてもそんな感じではありません。
FF11ベンチスコアと3DMark06スコア。
出力 90W。質量は全部込みで470g。
Qosmioロゴが出ている時にF12キーを数回押すことでBIOSイン。項目にキー入れ替えなどは無し。各ポートのオンオフ、Intel Turbo Boostのオンオフなどが設定できます。
これまでの「Intel GMA」から名前が変わり、「Intel HD Graphics」に変わってますが、表示はGMAのままですね。GPU-Zの方が未対応のようです。
Arrandaleコアです。
昨今のエコブームを反映してか、Ecoマネージャーという東芝純正ユーティリティが入っており、これを使うと消費電力がWindows上からわかるようになっています。バッテリー充電中は食い違いますが、充電していない状態ならワットチェッカーと一致。
放置していると液晶オフの状態で13W程度。
さぁ、肝である「SpursEngine」を見ていきます。SpursEngineは以前のdynabook F50Wレビューでも取り上げていますが、このモデルではDVD超解像度化に留まらず、YouTube動画の高画質化にも対応しているのが特徴です。
→ dynabook Qosmio Spurs Engine レビュー - アップコンバーターやエンコード -
まずYouTube高解像度化から。
「高解像度化に猫は厳しいだろ、猫は。」という声が聞こえてきそうですが、猫動画を目にする機会は多いですし、東芝公式の超解像度紹介ページにも猫の画像があるので、猫動画で評価しても問題無いでしょう。見たのはイーモバイルのCMでお馴染み「たまちゃん」の最新動画です。
→ YouTube - 添い風呂なねこ。-Maru is relaxed in the bathroom.-
720p | 360p | 360p SpursEngine処理後 | |
全 体 |
|||
等 倍 |
|||
等 倍 |
一目でわかりますが、どちらかと言えば逆効果。
猫毛のふわふわ感が消滅してしまい、お腹の毛は毛玉のようにゴワゴワになっています。
次にアニメを見てみます。話題になった「恋するネズミ」を視聴してみました。一番上の全体画像はクリックすれば等倍の画像へリンクしています。
→ YouTube - 自主制作アニメ 「恋するネズミ」 第1話
全 体 |
||
等 倍 |
||
等 倍 |
||
等 倍 |
どうでしょうか。人によって評価が分かれると思いますが、引き延ばされてぼやけた絵にメリハリが出る一方、作者さんがわざとぼかしているであろう月の陰影まで強調されてしまうあたりは違和感のあるところです。
次にエンコードについて。
V65Wには標準でSpursEngine対応のエンコードソフトとしてDVD MovieWriter for TOSHIBAが入っています。ただエンコードでは内蔵された4コア(SPE)は全く動きません。エンコード時は一緒に入っている専用エンコーダーが処理します。4コアが稼働するのはインデクシングなど動画解析を行うときのみです。
→ dynabook Qosmio Spurs Engine レビュー - アップコンバーターやエンコード -
SpursEngineモニターユーティリティではSPEが稼働しているように出ていますが、わかりやすいように専用エンコーダー稼働時にも反応が出るとのこと。(東芝の方に確認済み)
4コアでバリバリ処理してくれる期待を持っていたのでションボリです。「TOSHIBA Quad Core HD Prosessorを使用」と誇らしげなチェック項目がありますが、特定の条件でしかQuadでは動きませんので微妙な表現です。
SPEは無関係ですが、エンコードそのものはCore i5でやるよりは早く終わります。
次に非リアルタイムの高解像度化機能を見ます。
既に上で紹介したアプコンはYouTube上でリアルタイム処理のものでしたが、次は「DVD Movie Writer」で行う高解像度化です。時間をかけて行うだけあって、よりまともな高解像度化が行われる傾向があります。斜線部のシャギーなどは綺麗に処理されていますね。
全 体 |
||
等 倍 |
もう1枚。SpursEngineオフ(Before)とオン(After)でコマが違っているので全く同じはないですが、参考までに。
取り上げたコマでは視線が行きやすい黒目部分が高解像度処理によって2本の線になってしまっています。これは流して見ていても結構気になりました。眼以外は綺麗に処理されています。
全 体 |
||
等 倍 |
随所にサポートセンターの電話番号が書かれているのは好感がもてます。背表紙付きで製本されたマニュアルが3冊も入るのは台湾系メーカーなどではあり得ないことです。
HDDレコーダーでトレンドの圧縮録画が可能、テレビ録画がしたい家族向けモデルです。玄人的にSpursEngine使ってガンガンエンコードしてやるぜーという方にはかなりの苦労が待ち受けていると思われます。お仕着せのセッティングで回すのであれば大して苦はないのですが。
17インチ超のdynabookキーボードはたわみが盛大でしたが、15インチ級は昨年のモデルでもまずまず良かったので、その流れを継いでいる本機のキーボードも大きな不満は感じません。東芝のキーボードは他の外資系モデルより面積が広く、それが日本語配列時の窮屈さを緩和しているのもプラス。世界展開するモデルのなかでは良い方です。
ターゲットがカジュアルユーザーなのか、プリインストールソフトが非常に多い。ベテランユーザーには邪魔でしかなく、あまりの邪魔さに切れてクリーンインストールしてしまいそうです。勿論してもいいのですが、SEという独自ハードが入っている分、再セットアップは面倒そうです。
SpursEngineについては便利なシーンはあるものの、効果的に機能するシーンがかなり限られます。ベテランユーザーならば、汎用的に使えるQuadなCPUをお勧めするという結論は以前と変わりません。