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⇒ 東芝サイト dynabook WXW/77GW
※ 商品企画の方から筐体仕様の意図についてメッセージを頂いたので追記してます。
この夏も他社より積極的に高性能GPU採用に動いている東芝。ゲーマー向けシリーズで上から2番目にあたる機種がこのdynabook Qosmio WXW/77GWになります。この筐体自体はワールドワイドに売られており、販売台数からして日本はマイナー市場ですので、ターゲットはおそらくアメリカや欧州を想定して作られていると思われます。
評価 | ○ 良い点 × 気になった点 □ プラスでもマイナスでもないコメント | |
筐体 | ○ ソフトウェア処理ながらダイヤル式の音量コントローラーをもつ。 × パームレストが高く、筐体の縁が手首にあたる。カードスロットが使いにくい。 |
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キーボード | ○ ファンクション列、テンキーの分離、カーソルキーの一段下げなどはきっちり。 × 表面の光沢コーティングで指が滑らず引っかかる。弾むようなたわみがある。 |
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排熱 | ○ パームレストの熱感はほぼゼロ。 × ゲーム中はキーボードの右側がやや(40度前後)熱くなる。 |
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液晶 | WXWと似たパネル。やはり3.5点ぐらいの印象。輝度ムラも同じ程度にある。上部のパネル端ではかなり落ちる。 |
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騒音 | ○ MAXの音量は小さい。
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ソフトウェア | ○ 静音ユーティリティはGood。FlashCardもだいぶ機敏になっている。
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3D性能 | ○ GDDR3とクロックのおかげで8600M GT SLIは凌駕 | |
総合 | 3.0 /5 | スコアとしては筐体とキーボードが大きく足を引っ張り、他も高い点には至らなかったので平均レベルの3.0。あとはコストパフォーマンスで評価を加点してください。 |
キーボードと筐体の使いにくさが気になります。
パームレストは前筐体と較べて若干低くなりましたが、それでも依然高さがあるので手首に筐体の縁があたる人は多いはずです。せめてもうちょっと縁が丸ければ良かったかもしれない。ヒンジも固い。メモリーカードスロットも使いにくい。キーボードはふわふわ感と表面の光沢が問題です。
※ 『冷却能力を犠牲にすればパームレストを低くすることは可能ですが、CPUなどの動作が不安定になることも想定されるため、パフォーマンス重視の設計を行った結果です』とのことです。
GPU | GeForce 9700M GTS (GDDR3 512MB) |
CPU | Core 2 Duo P8600 2.4Ghz (Penryn) |
メモリ | 2GB DDR3-8500 (1GB + 1GB) |
HDD | 160GB HTS722016K9SA00 |
ODD | DVD-R 8倍速 HL-DT-ST DVDRAM GSA-T50N |
ヒンジが固く片手オープンは不可。
※ 『ヒンジの固さはLCDが重いため。将来的にヒンジが緩んだ場合も天板の自重で動かないようにしてある』とのこと。
底部に3つ大きな穴が見えますが、大きな2つは排気口(うち1つは空)で、少し小さな穴はサブウーファがついてます。
※ ちなみに1つが空なのは将来的なキャパシティの確保で、SLIが出てくる可能性があるそうです。デルはSLI機を用意してくるでしょうし、当然といえば当然の設計です。実際搭載されるかどうかはNVIDIAのロードマップ次第ですね。
パームレスト高は約 3.2cm。ちょうど手首に前縁の角があたるのが気になります。
PCI ExpressCardスロットはダミーカード式。
左奥にあるeSATA/USB共有ポートはUSBコネクタが挿しにくい。これは些細な問題としても、カードリーダーの位置とカバーの開けにくさはなんとかならなかったのかと思います。
USBがばらけてある点、ダイヤル式のボリュームコントローラー、背面にEthernetポートがある点はいいですね。
前面
背面
右側面
左側面
HDDは2台分のスペースとコネクタがありますが、入っているのは1台。取り付け金具も1台分。
筐体と並んで気になるのがこのキーボード。カーソルキー、テンキーをタイピングすると相当にたわむ、というより弾みます。空箱にキーボードが載っているような感触です。動画
またキー表面は黒の光沢コーティングが施されていますが、これに指が引っかかります。ピアノを指で撫でる様を想像してもらうとわかりやすいと思います。キーを超低空で撫でるように打つ人だと、この光沢に指がひっかかる感触が常について回ります。
あとファンクションの上についている音楽関連のタッチキーも邪魔。ゲーム中にファンクションを操作しようとして手が触れると、たちどころにフルスクリーンを解除してくれます。これも簡単に一括オフに出来るようにして欲しいところ。
同時押し最大キー数 8 (PianoBoradで調査、Gamer's Gadget Memo参考)
タッチパッド
手触りが気持ちよく、滑りも滑らか。その反面、初動が鈍い。軽く触れた瞬間はカーソルが動かず、しばらくしてから動き出すことがあります。感じとしてはスリープしていたワイヤレスマウスを急に動かした時の感じに似ています。
もう一点。ゲーム中(Crysis、CoD4)にマウスの中ボタンが使えない不具合が発生。Fn+F9キーでFlashCardを呼び出しタッチパッドをオフにしても復活せず。最新のロジクールドライバを入れてもダメでした。Pavilion dv5など他のモデルではドライバも導入せず、挿すだけで普通に中ボタンが使えるのでなにかしらトラブっているような感じがします。
左手前のスピーカーに完全に左手が乗っかる形になる。もうちょっと場所は邪魔にならない位置にして欲しかったですね。音質的には明瞭感にかける印象が。音がかぶっているのかもしれません。前筐体の方が若干良かった感じがします。
A, S, Dポジションだと左手がスピーカーに乗る
デフォルトではDolby Control CenterとRealtekのMAXX Audioがエフェクトをかけています。ゲームには良いかもしれませんが音楽試聴には向かないように思います。特に透明感のある声質のボーカルやバイオリンは異質な音になりがちなので、状況に応じて切った方が良さそうです。
輝度がさほど高くないため、パッと見の鮮烈な印象はない。印象としては旧WXWとそっくり。同じパネルかどうかは不明です。Qosmio G50(W)は色域公開パネルなので、液晶を重視したい人はG50やVAIOを検討した方がいいかもしれません。
※ 写真は参考程度に
輝度 (※写真写りと数値は一致しません)
上端の隅は輝度がかなり落ちます。
55 | 67 | 58 |
55 | 67 | 62 |
72 | 79 | 84 |
冷却ファンはエアコンを入れた室内だと停止することもありますが、ほとんど回りっぱなしです。残念なのは一番低い回転数でもブォーという音が耳につくこと。深夜静かな環境下では気になります。もう一段低い、50dBA以下で収まる回転数があったら良かったかもしれない。
左は空っぽ。中央よりの穴に冷却ファンがある。
CD/DVD静音ユーティリティ
光学ドライブの回転数を制限します。CD-Rからのデータ読み込み時で、約53→約44dBAに静粛化されました。家族が側で寝ているときなどは重宝しますね。代わりにデータ転送速度は標準モードの方が2〜3倍速いようです。
分厚いだけあって排熱は優秀です。ゲーム中も冷却ファン音はあまり大きくはならず、パームレストの熱帯びもほぼ無し。キーボード右側が多少熱くなります。表で最も熱いのはファンクションキーの上についているタッチパネルキーの辺りです。この辺は50度近くまで上がります。普段触らないので構わないですが。
消費電力はゲーム中で90W弱を確認。アイドル時は47W。
プリインストール一覧
グレーアウトしているCrysisはあとから入れたものです。
なぜかウイルスバスターに加え、マカフィーのサイトアドバイザーが入っている
セキュリティソフトはウイルス発見時だけでなく、更新が近づいた時もしきりにポップアップを出して邪魔するゲーマーの敵みたいなものです。敢えて入れるならゲームを重視した「サイレントモード」を搭載したというノートン2009など、配慮を見せて欲しいところです。
以前、「重すぎる」と苦言を呈したFlashCard(Fn連動の機能を担当するユーティリティ)はせり出すアニメーションがなくなり、反応速度が大幅改善。機敏になりました。まだBIOSによるコントロールには及びませんが、大きな不満なく使えるレスポンスにまで改善しています。CPUビジー時などは依然としてもたつくので小さな不満はあるかな。
指紋認証はAuthenTec
処理の核となるStreamingProcesserは48個とハイエンドと呼ぶにはやや少ない。しかし高クロックなのが効いており、ベンチスコア的には中の上といったところ。
Call of Duty 4 デモ版をプレイ。設定はCoD4が立ち上げ時に設定したそのままでプレイ。
WXGA+(1440×900)だとほぼ全編を通してFPS 30オーバーを達成。WSXGA+(1680×1050)では時折30以下になりますが、シングルプレイなら大きな問題にはならないと思います。
Crysisは製品版をプレイ。低解像度でも重いので先に進まずステージ1でFPS計測してます。
解像度は800×600という低解像度ですが、それでもFPS 30キープできてません。v1.2パッチを当てましたが、相変わらずCrysisはDirectX9の方が軽いです。
PQI製のSD規格カードだけが遅い。他のモデルでは順調に性能が出てるので相性かな。
性能よりも気になるのは扱いにくさ。筐体の段差のせいでカバーが外しにくい。完全にカバーがはまった状態だと、普通に正面を向いたまま手探りでカバーを外すのは至難の業。
GPU-Z 0.2.6ではデータベース未登録でしたが、0.2.7でデータが登録され、以下のような結果が出ています。GPU-Zが間違った情報を出すこともあるので信じ切るわけでにもいかないですが、これを見る限り65nmになっています。
ちなみに4gamer.netではデバイスID「10DE-0649」をシュリンクしたコアと書いてあるが、GPU-Z 0.2.7では「10DE-0649」も65nmと診断します。
EISTでクロックは低めで動作中。
2GB×1という構成もありましたが、本機は1GB×2のオーソドックスな構成。デュアルチャネル構築。
総じて高い。足を引っ張っているのはHDDですが、これも7200rpmの2.5型HDDということで5点以上を確保しています。SSDモデルだとこの辺は伸びそう。
もともと東芝ノートのキーボードは他社に較べてふわふわした感じが強いのですが、今回は特にそれが顕著です。デザインを重視したと思われる光沢キーも素早い操作が必要なゲームにおいては逆効果。つい触れてしまいがちな位置にあるタッチキーや、サクッとオフにできないタッチパッド、2種のセキュリティソフトなど、ゲームをしない人が作ったゲームノート感が少々。
Acer傘下のGatewayや、ASUS、MSIなど台湾メーカーから魅力的なゲームノートが次々に出てきているので、もうちょっとヘビーユーザー向けに細かい配慮を入れ込んで欲しいなぁと思ったり。